最新戦法の事情【豪華版】(2019年3月・居飛車編)
どうも、あらきっぺです。
今月から、居飛車編の豪華版にも着手していきます。少しでも参考になれば幸いです。
なお、当記事の注意事項については、こちらをご覧くださいませ。
最新戦法の事情 居飛車編
(2019.2/1~2/28)
調査対象局は75局。それでは、それぞれの戦型ごとに見て行きましょう。
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◆角換わり◆
21局出現。その内、17局が相腰掛け銀の将棋でした。
少し意外だったのは、基本形の将棋が2局しか指されなかったことです。これは、1月の記事で紹介した△4四歩から激しく斬り合う変化で、後手が自信が持てていないことが理由の一つだと考えています。その変化の詳細は、こちらをご覧ください。
では、後手は代わりにどのような形で戦っているのでしょうか。それは、△9三歩型です。(第1図)
2019.2.12 第69期大阪王将杯王将戦一次予選 ▲藤井聡太七段VS△池永天志四段戦から抜粋。
△9三歩型とは、上図のように9筋の端歩を詰めさせる指し方のことです。端の位を取らせるのは損ではありますが、その間に△4四歩と△3一玉の二手を指すことができることが後手の主張になります。
第1図の局面で注目していただきたいのは、[▲6七歩型・△4四歩型]という部分。この組み合わせは、後手のほうがダイレクトに桂を跳べるので先攻しやすい意味があります。すなわち、△7五歩▲同歩△6五桂という手順で仕掛けることが可能なのです。(第2図)
先手はこの早い桂跳ねを咎めたいので、▲6八銀△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8一飛▲6六歩で桂を召し取りに向かいますが、そこで△3五歩が後手期待の攻め筋です。(第3図)
6・7筋周辺だけの攻防なら後手の攻めは頓挫していますが、3筋を絡めることで攻めの継続が可能になります。
そして、こういったときに△4四歩と△3一玉の二手が入っていることが非常に大きいですね。つまり、先手は桂が4五に移動できないですし、玉が低い位置にいることから3筋を突き捨てる弊害が少ないという訳です。
本譜は▲5八角と打って辛抱しましたが、ここに角を使ってくれるのなら後手は仕掛けた甲斐があったと言えるでしょう。以下、△7七歩と叩いて後手は攻めを継続します。(第4図)
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