最新戦法の事情【豪華版】(2020年1月号・居飛車編)
どうも、あらきっぺです。
タイトルに記載している通り、プロ棋界の将棋から居飛車の最新戦法の事情を分析したいと思います。
なお、当記事の注意事項については、こちらをご覧くださいませ。
最新戦法の事情 居飛車編
(2019.12/1~12/31)
調査対象局は98局。それでは、戦型ごとに見て行きましょう。
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◆角換わり◆
27局出現。対局数に大きな変化は表れていませんが、指されている作戦の内容に小さくない変化が起きつつあります。
まず、今まで後手は基本形の将棋を目指すことがポピュラーでした。さらに踏み込んだ話をすると、そこから△5二玉→△4二玉と玉を往復して戦機を伺う指し方が人気を博しており、それで特に不自由なく戦えていた情勢が長く続いていました。
しかし、12月では、なんと僅か3局しか指されなかったのです。代わって、後手は基本形から△6三銀と引いたり、一手パス待機策にするなどして、違う作戦に鞍替えする動きが顕著になりつつあります。
今回は、なぜ今まで有力だった手法の人気が下落したのかを掘り下げたいと思います。結論から述べると、現環境では攻撃志向型がとても強力だからです。
この仕掛けに対しては、△2二銀と引くのが最強の応手です。以下、▲7五歩△同歩▲5三桂成△同玉▲7四歩△4四歩▲7三歩成△同金までは定跡化された進行ですね。(第1図)
ここから先手は▲4五歩△5五歩▲4六桂とさらに踏み込んで行きます。これには、△5六歩▲5四桂△同玉と応対するのが定跡となっています。(途中図)
さて。前回の記事では、ここから▲4四歩と取り込む手を解説しました。ただ、それには後手にも強靭な受けがあり、先手も容易ではありません。詳しくは、こちらをご覧ください。
そこで、先手は新たな攻め筋を打ち出します。ここから▲5五銀が新機軸でした。(第2図)
2019.12.2 第78期順位戦A級6回戦 ▲糸谷哲郎八段VS△羽生善治九段戦から抜粋。
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