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最新戦法の事情 【居飛車編】 2022年8・9・10月合併号 豪華版

どうも、あらきっぺです。

タイトルに記載している通り、相居飛車の将棋から最新戦法の事情を分析したいと思います。

なお、当記事の注意事項については、こちらをご覧くださいませ。

前回の内容は、こちらからどうぞ。

※ お知らせ ※

今回は三ヶ月分の内容をまとめているため、普段よりも分量が1.5倍近くになっております。つきましては、お値段を450円に変更させて頂いております。ご理解頂けますと幸いです。


最新戦法の事情 居飛車編
(2022.7/1~9/30)


調査対象局は270局。それでは、戦型ごとに見て行きましょう。


◆角換わり◆
~スライド形に誘導せよ!~


65局出現。出現率は前回の期間から横這い(23.2%→24.1%)となっており、これに関しては変化がありません。ただ、環境には小さくない変化が起こっています。

角換わりの先手は、[腰掛け銀・早繰り銀・桂ポン]のどれかを選ぶことになります。そして、現環境で人気が集まっているのは腰掛け銀ですね。これは腰掛け銀で目指したい形があることに起因します。これの存在は環境に大きな影響を与えているので、今回はこれを軸に話を進めましょう。

先手が目指したい形は、すばり「スライド形」の将棋です。


■ 腰掛け銀 スライド形

「スライド形」とは、上図で示した局面の定跡を意味します。基本形から一手ズレていることが特徴ですね。

これと基本形は瓜二つなので、どちらが勝るのかは長らく評価が定まっていないところがありました。しかし、現環境ではついに結論が出つつあるのです。単調直入に述べると、スライド形は先手良しという見解が固まったように感じますね。

それでは具体的な解説に入りましょう。ここで先手には複数の選択肢がありますが、▲7九玉△5二玉▲8八玉△4二玉▲4五桂で、玉を8八に移動させてから先攻するのが有力と見られています。(第1図)

対して、後手は△4四銀▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2九飛△6五歩▲同歩△7五歩と進めるのが定跡化された手順ですね。(第2図)

この局面を迎えたとき、従来は▲2二歩と捨てて相手を壁金にさせるのが有力視されていました。しかし、現環境では違う手段が面白いと見られているのです。

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