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最新戦法の事情 【居飛車編】(2022年6・7月合併号 豪華版

どうも、あらきっぺです。

タイトルに記載している通り、相居飛車の将棋から最新戦法の事情を分析したいと思います。

なお、当記事の注意事項については、こちらをご覧くださいませ。

前回の内容は、こちらからどうぞ。

※お詫び

今回、記事制作中にパソコンが壊れてしまい、普段とは異なる環境で記事制作を行っております。それに伴い、図面がいつもとは違う形になっております。ご理解頂けますと幸いです。

最新戦法の事情 居飛車編
(2022.5/1~6/30)


調査対象局は142局。それでは、戦型ごとに見て行きましょう。


◆角換わり◆
~腰掛け銀は△9三歩型に注目~


33局出現。出現率は23.2%。少ない訳ではありませんが、前回の期間からは約6%ほど減少しています。今回は相掛かりが増加していたので、その影響を受けたのかもしれません。

現環境の角換わりは、何か一つの形が集中的に指されているのではなく、様々な作戦が幅広く指されています。中でも、今回は△9三歩型の腰掛け銀の将棋が活発だったので、それをテーマに解説を進めたいと思います。

△9三歩型は、端の位を取らせる代わりに△5四銀や△4四歩を優先できることが利点です。こうすれば陣形整備が相手よりも早く進むので、先攻を狙いやすくなることが、この作戦の特色になります。

これに対して、先手が▲4八金型で対抗すると、この図になることが予想されます。プロ棋界でも多くの前例がある局面ですね。

さて、ここで先手には複数の方針があります。以前は、▲5六銀△3一玉▲3八金と進めるのが有力視されていた時期がありました。

自ら金を玉と反対方向へ動かしているので、傍目には奇異な手に感じますね。ただ、これは△2二玉を待ってから▲4五歩で仕掛けたいという意図があります。先手は仕掛けるのであれば、敵玉を入城させた方が都合がよいのです。

ただ、この指し方は中央が手薄になるので、△6五桂で仕掛けられる手を誘発していることが課題ではあります。これはこれで難解なのですが、現環境では後手が十分に戦えます。詳しい理由につきましては、以下の記事をご参照くださいませ。

【△6五桂と跳んで後手が戦える理由】
https://note.com/arakippe/n/naef157371154#eb20974b-2be0-40fc-b51a-f6f6ef3383b1

そういった背景があるので、現環境の先手は違う指し方を模索しています。まずは、ここから▲7九玉△3一玉▲8八玉でさっさと矢倉の中に玉を入城させる指し方を見ていきましょう。


■ △9三歩型の腰掛け銀 VS ▲4八金・▲8八玉型

先手はご覧の通り、9筋に位を取っています。つまり、普段よりも囲いの広さが違いますね。なので、この指し方は▲9五歩型の恩恵を最も直接的に活かしに行く構想だと言えるでしょう。

なお、この指し方をするのであれば、右銀は4七に置いておくことが必須です。理由は後述するので、ひとまず指し手を進めます。

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