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令和3年の秋、今こそパン鯉の楽しさを知ってほしいって話

「パン鯉」という釣りの方法があります。その名の通り、食パンを餌にして鯉を狙うという釣り方なのですが、これがなんとも癒されるんです。何故かというと、ほぼボウズ(魚が一匹も釣れないこと)がないから! どんなに理論や技術を積み重ねても結局は偶然性に左右されてしまう釣りという遊びにおいて、100%に近い確率で狙った魚をゲットできるパン鯉はまさに救済。仕事や家庭で体力・気力はすでに使い果たしている、釣れるか釣れないか分からない魚にこれ以上振り回されたくない……なんていう疲れた大人にはピッタリの遊びです。もちろん、釣果ゼロという現実を受け入れられるほどオトナになれないキッズ(年齢を問わず)たちにも。

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▲50cmを超える魚とのファイトを近所の川でお手軽に味わえるって素敵。

また、特段これといって狙ってみたい魚がいるわけではないけれどアウトドア遊びの一環としてなんとなく釣りに興味がある方や、ギリギリ釣竿を持てる年齢のお子さまなど"ガチ初心者"が初めて挑戦する対象としてもオススメできます。ただ、未経験者が「釣りを初めてみたい」と言った場合、それはすなわち「自分で釣った魚を食べてみたい」という意味だったりすることも多いので要注意! そういう方にはハゼ釣りやサビキ釣りなどが好適です。

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▲食パンで大きな鯉が釣れたことにはしゃぐ4歳児と34歳児(父)の図。

前置きが長くなりましたが、本稿の目的は"釣り初心者にパン鯉の楽しさを伝える"こと。ここでいう初心者は「糸に針を結び、餌をつけ、リール付きの釣竿を使って前方10メートル程度先に仕掛けを投げられる人」を想定しています。釣り道具の取り扱い自体おぼつかない! という方はぜひ釣具店で店員さんに聞いてみてくださいね。ちゃんとその店で道具一式を購入するなら、時間の許す限り丁寧に教えてくれるはずです(話だけ聞いて買わずに帰り、あとでネット通販を利用するなんてのはマナー違反ですよ!)。

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▲派手さはないが、強く粘り強い鯉のファイト。竿がギュンギュン曲がる!

さて、いよいよ解説に入ります! パン鯉とは「サイトフィッシング」すなわち「見える魚を釣る」釣りですから、まずは目視で鯉を探しましょう。水底をついばんでいる個体(貝類や水生昆虫などを食べています)や速い速度で移動している個体はあまり口を使ってくれませんので、同じ位置に何をするでもなく定位している個体や、水面の浮遊物をパクパク食べている個体が狙い目です。首尾よくそんな鯉が見つかったら、姿勢を低くして釣り人の気配を消します。それから針にちぎった食パンを付けて、鯉から少し離れた場所(真上に落とすと驚いて逃げることがあります)にパンを投げると、つつつつつ〜〜っと鯉の方から寄ってきてパンを吸い込むので、一呼吸おいてグイっと合わせる――これだけです。

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▲パンのサイズはこのくらいが目安。あくまで「目安」でこれより大きくても小さくてもOKだが、あまりに小さいと針の重さでパンが沈む。

単純な釣りですが、いくつかコツのようなものはあります。たとえば、訪れたフィールドが川であれば、狙いをつけた鯉より上流にパンを落として、ターゲットまでなるべく長い距離を流してあげると、人間が投げた餌だと疑われにくくなるでしょう。また、鯉はしばしば狭い範囲に何匹も群れていますが、その場合には釣り上げる順番を工夫することで針がかりした魚以外に警戒心を与えず、同じポイントから複数の魚をゲットできるかもしれません。詳しくは以下の写真をご確認ください。

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▲赤丸の鯉を釣ったせいで他の魚が逃げる可能性もあるので、数よりサイズが大事なら、初めから一番大きな個体を狙うのがオススメ。

タックルの性能は特に釣果を左右しませんが、最低限「鯉の強烈な引きに負けない強度」だけは必要です。竿はバス釣り用のルアーロッドでいうならミディアムアクション以上、トラウト用なら本流域での釣りを想定したモデルが良いでしょう。糸はナイロン3号以上、もしくはPE1号&リーダー16lbs以上。針も太軸が好適ですね。リールは上述のラインを50メートル以上巻けるものであれば何でも大丈夫です。いずれにしても、わざわざパン鯉のために専用の道具を揃える必要はありません――が、鯉釣り自体は非常に奥深い世界ですので、パン鯉で入門してから吸い込み釣りやぶっこみ釣り、ヨーロピアンスタイルなどに食指を広げるのも楽しいですよ! 専門的なタックルを手に入れるのは、自身の好みや嗜好をちゃんと把握したあとからでも遅くありません。

日本中の河川でお手軽にビッグファイトを味わえる「パン鯉」は老若男女を問わずオススメできる外遊びです。単純すぎるからか雑誌やウェブメディアなどではあまり扱われませんが、密を避けてのレジャーが求められる現代において、改めて見直す価値のある釣りですよ! 次の週末はぜひ、余った食パンと適当な釣り道具を抱えて近所の川に出かけてみてくださいね。

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▲余談だけれど、パンで釣れるのは鯉だけではない。写真は4歳児が食べ残したバジル&ガーリックのピザを餌にして釣ったニゴイ。小麦粉で作られた食品はプランクトン食&雑食の魚全般にとってごちそう!

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