サーモン寿司は最高の寿司だから世界中で愛されてるって話

サーモン寿司が大好きだぁーーーーーーっ!!!!!!!

魂の叫びから本稿をスタートさせて頂きます。挨拶が遅れましたがこんにちは、新木正と申します。さて! 「好きな寿司ネタはサーモン」だなんてインターネット上でいうとあっという間にツッコミ、ヤジ、罵倒、憐れみなどなどが降ってきそうですけれど、それでも美味しいんだから仕方ないじゃないですか。本稿の意図はサーモン寿司がいかに世界中で愛されているかを記すことによって「そんなに多くの人が好きだというなら、意外とサーモン寿司も悪くないのかな」と読者の皆さまに認識を改めて頂くことにあります。日本人の右へならえ的習性に訴えかけようというわけですね。

そんなわけで、まずはこちらの写真をご覧ください。

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何か気がついたことはありませんか? 「パック寿司のふたに醤油をあけるのってなんだか貧乏くさいよね」ですか、そうですか。そうですよね。ごめんなさい。だってこの写真を撮ったときには記事で使うなんて思わなかったし……。

……いやそんな話をしたいわけじゃないんですよ! 見てほしかったのは醤油と箸の袋に記されたアルファベットです。そう、この寿司は英語圏ーーカナダのトロントで販売されていたものなんです! その名も「スパイシーサーモンロール」。サーモンとキュウリを巻いた細巻に、辛みのあるマヨネーズベースのソースをかけた寿司で、欧米で広く食されている巻き寿司です。生魚のクサみがピリ辛のソースで軽減され、ワサビを付けなくても美味しく食べられますから、生魚の握り寿司に馴染みがない文化圏の人にもマッチするんですね(特にエビデンスのない筆者の推測)。

お次はコレ! ユニークな寿司が並んだ写真ですが、左下にご注目。

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そう、これもサーモンロールですね! ちなみに場所はブラジルの大都市・マナウスの国際空港にあるフードコートです。サーモン「ロール」と記しましたが、この寿司はカニカマをメインのネタとして作った裏巻き寿司(※inside out rolls。海苔が内側に来る巻き寿司で「カリフォルニアロール」が代表例)の上にサーモンを乗せるという、巻き寿司と握り寿司のあいのこみたいな構造でした。ブラジルには日系移民が多いからか、巻物に衣をつけて揚げるなど独特の寿司文化がありますが、そんな国でもサーモンは定番のネタなんです。

さてさて、お次は世界の最先端・ニューヨークのとあるスーパーマーケットをご覧頂きましょう。SUSHIコーナーに並んでいるのは……

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サーモン・サーモン・またサーモン!!! 並んでいるパックの8割方にサーモンが含まれるという驚異の打率です。モードなニューヨーカーたちも、サーモン寿司を好んで食べているんですね。日本と異なるのはサーモン寿司に高確率で白ごまがまぶされていることでしょうか。写真がなくて恐縮ですが、以前パリのスーパーマーケットで購入したサーモンの握り寿司にも白ごまがかけられていました。なのできっとサーモン×白ごまの組み合わせは万人に好まれる……んだと……思います(あいまいな言い方をするのは、他にサーモンと白ごまを合わせた料理が思いつかないからです……何かあったら教えてください)。

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こちらの写真は日本、というか我が家です。生活感があふれすぎてるのはムシしてください。高級寿司店では敬遠されることも多いサーモンですが、回転寿司やテイクアウト専門の寿司店では定番のネタですよね。家族でワイワイ食べる寿司にはやっぱりサーモンが必要です。脂が濃く、ネタ自体にうまみが詰まっているサーモンは小さな子供でも美味しく食べられますからね! 大人になると繊細な味わいの白身魚に日本酒を合わせたくなったりもしますが……それはまた別のお話ということで。

ここまで色々なサーモン寿司について記してきましたが、サーモン寿司アンチの方々はきっとこうおっしゃるのでしょうーー「どれも安物の寿司ばかりじゃないか。本格的な江戸前寿司の店ではサーモンなんか出さない」と! ではなぜ高級寿司店にサーモンがないのか? その理由は簡単で「握り寿司が生まれた江戸時代、生の鮭を食べることは危険だったから」に他なりません(一応予防線を張っておきますが、本稿では鮭と赤身の鱒とサーモンの違いを無視しています。話が複雑になるのでそうさせてください……お願いですから)。

確かに野生のサーモンには寄生虫がいますから、生で食べると食中毒の危険があります。でもこれは冷凍して寄生虫を殺したり、そもそも寄生虫が発生しない環境で養殖すれば解決可能な問題です。マズイから食べないのならともかく、令和の時代に危険だからという理由でサーモンを避けるのはナンセンスじゃないでしょうか。ペレット(人工餌)で育てられたサーモンは身から養殖魚っぽい臭いがするという指摘もあるようですが、炙るなりヅケにするなり、身の臭みを低減する方法はいくらでもあります。それこそスパイシーなソースをかけたっていいですし! また、北海道では産卵時期を外れて回遊してくる鮭を「ときしらず(時知らず)」と呼んで寿司ネタにする文化があり、そのせいかサーモン寿司の地位が東京よりも高い印象を受けます。ときしらずは淡水の川を遡上してくるときではなく、海を泳いでいるときに捕まえるため生食しても寄生虫のリスクが少ないんですね。

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上の写真は小樽のとある寿司店で撮ったものですが、一番左にサーモンが映っています。カウンターで店主から直接寿司が供されるようなお店でもちゃんとサーモンが出されるんですよ! 

話がいったりきたりしますが、海外でサーモン寿司が好まれるのは、恐らくこの魚がもともとカルパッチョやスモークサーモンなど生~半生の状態で食される機会の多い食材だったからだと思います。白身魚は焼いて食べる文化の国にも、スモークサーモンはありますからね。

つまりサーモンは

①安全に生食できて
②身自体にうまみが詰まっていて(調理しなくても味が濃い)
③世界中どこでも流通している

魚だから、寿司ネタとして世界中に普及しているんだと思います。ここでいう「世界」にはもちろん日本も含まれますから、寿司文化発祥の地である日本に住まう我われもガンガンサーモン寿司を食べていきましょう!

……最後のまとめがやや牽強付会気味でしたので、ネット記事らしく本質情報を記して筆を置きたいと思います。「ときしらず」の寿司ーー実は回転寿司チェーンの「トリトン」で食べられるんですよ!



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