23区で魚釣り④:若洲海浜公園のイシモチちょい投げ釣り(江東区)
江戸前鮨の"江戸前"が何を指すか、ご存知ですか? あまり意識したことがないという方も多いんじゃないでしょうか。手元にある広辞苑(第5版)によれば、江戸前とは「江戸湾(東京湾)付近で捕れる魚類の称」とのことです。 一見すると工業・生活排水やプランクトンの大量発生などで汚れきっているようにみえる東京湾にも、美味しいお魚さんたちが活きいきと生息しているんです!
とはいえ、わざわざ釣り船に乗るのは敷居が高いと感じる方も多いでしょう。お手軽に東京湾の魚をキャッチ&イートする方法はないだろうか……という方にオススメなのが、新木場駅からバスで23分に位置する若洲海浜公園での投げ釣りです。安定した足場が確保されており、釣り場のすぐ近くに飲料の自動販売機や釣り餌の販売・タックル一式のレンタルを行うショップもありますので、初心者やお子さま連れにもやさしい環境です。
▲落水の危険がない、安定した釣り場。小さいお子さまがいても安心! ただし釣り以外の娯楽はないので、集中力の低い未就学児にはツラいかも。
本記事のタイトルではイシモチ釣りと記しましたが、若洲海浜公園では季節や時間帯、潮の動きによって多種多様な魚種が釣れます。東京シーサイド・お台場エリア周辺の公園情報について詳しい海上公園なびによれば
マハゼ、セイゴ・フッコ(スズキの若魚)アイナメ、カサゴ、メバル、マアナゴ、クロダイ、カタクチイワシ、サッパ 、サヨリ、イシモチ、マコガレイ、ボラなどの魚が釣れます。
とのことです。余談ですが、筆者はここでどうしてもメバルが釣りたくて、ジグヘッドに極小のワームをつけたものをひたすら投げ続けた結果ボウズだったことがあります。何をどう釣ることを楽しむのかは人それぞれとはいえ、無理をして特定の魚種・釣法にこだわるよりも、釣れるときに釣れる魚を釣るのがやっぱり楽しいんじゃないかなー、と筆者は思うのです。
▲筆者はここでイシモチ以外の魚を釣ったことがありませんけれど……。
仕掛けは至ってシンプル。小型テンビンの先に1mほどの幹糸をつけ、幹糸からは2〜3本の枝糸・枝針を伸ばします。手作りしても勿論よいのですが、イシモチ・五目投げ釣り用の市販品で問題ないでしょう。エサはアオイソメですが、針への付け方は人によって異なります。「ちぎってつけた方が体液の臭いが広がるので集魚効果がある」派と「生きたまま一匹掛けにした方が動きで魚にアピールする」派の人がいますけれど……ぶっちゃけどちらでも釣れるので、迷ったら両方試してみましょう!
イシモチ釣りは仕掛けも単純ですが、釣り方はさらにカンタン。堤防から沖目に向かって上述の仕掛けを20m〜30mほど投げ、着水後は竿先を水面に向けた状態で仕掛けが沈むのを待ちます(仕掛けが沈んでいく間にアタリが出ることもありますので、糸の動きは常に注視しましょう)。底に着いたらしばらくアタリを待って、反応がなければ竿先を12時の位置までゆっくりと持ち上げる→水面に向けて竿先を下ろしつつ、糸のたるみを巻き取る→再度アタリを待つ、という動作を繰り返せばOKです。根掛かりが気になるようなら、テンビン仕掛けではなく胴付き仕掛けを用いて、オモリのみ着底させて探るのも良いでしょう。アタリは明確に現れますが、大体の場合向こうアワセでフッキングしますので、慌てて竿をアオるよりも手元にビクビクと振動が伝わってからリールを少し早巻きして深く針を刺す、くらいのイメージが良いでしょう。即アワセするより、ある程度間を置いた方がダブルヒットの可能性も増します。
▲サビキ釣り以外の岸釣りでダブルヒットってなかなかないですよね。
釣れたイシモチをキープする際は、氷を入れたクーラーボックスに放り込んでしまうのもアリですが、生きている間にエラを切って血を抜くと身が臭くならず、より美味しく食べられます。あらかじめ折りたたみバケツに海水を汲んでおき、釣れたらすぐにエラをハサミやナイフで切り取ってバケツに投入。数分経ってあらかた血が抜けたら魚体をビニール袋などで覆い、氷に直接触れないようにしてクーラーボックスに入れる……というやり方が、多少面倒ではありますが最も魚の鮮度を保てます。逆に、海水を張った容器の中で長々と生かし続けていると、魚にストレスが掛かってどんどん身が劣化してゆきますので要注意です。生簀で調理の直前まで生かされていた魚が、市場で仕入れた魚より必ずしも美味しいとは限らない――なんて料理マンガなどで語られがちな理屈と同じですね。
イシモチはクセのない白身ですので、幅広い料理に対応します。やはり刺身や軽く炙った状態が美味しいですが、江戸前の魚を生食することに抵抗のある方は、煮付や天ぷらなどもオススメです。
▲ちゃんとさばくのは家に帰ってからで大丈夫。
あ! 今さら気がつきましたが、使用タックルについて一切触れていませんでした。……が、わざわざ書くのを忘れてしまうくらいですので、正直にいって「なんでも大丈夫」です。15〜30g程度のオモリを投げられて、3号程度のライン(※モノフィララインの場合。PEなら0.8号〜1.5号くらい)を背負えるタックルなら、性能差によって釣果の差が出ることはないでしょう。それよりも針先が鋭く保たれていること、餌のアオイソメが新鮮であることの方がずっと重要です。
参考までに、筆者の使用タックルを記します。
ロッド:7.1ft ミディアム 先調子 スピニングロッド
リール:小型スピニングリール
ライン:PE1号(その先に小型のテンビンと市販のイシモチ仕掛けを装着)
……カンのいい方はお気づきかもしれませんが、普段使っているシーバス用の道具をそのまま流用しています。そのくらいざっくりした準備で問題ない、とお考え頂ければ。
▲筆者を案内してくれた友人は本格的な投げ竿を用いていました。そう、偉そうに解説記事など書いていますが、筆者の知識は全て受け売りなのです!
釣りが楽しめる海上公園は、若洲海浜公園に限らず都内に数多く存在します。足場がよく安全で、飲み物や軽食・釣り餌などを販売するお店が近くにあり、ほとんどの場合入場料や遊漁料も求められないという海上公園を未体験のアナタ! 次の休日にぜひ、家族や友人と出かけてみてくださいね。
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