デザイナーとしてダークパターンと向き合ってみる
こんにちは、フェンリルで働いている4年目デザイナーの荒川です。
私はフェンリルでダークパターン勉強会を運営しています。
その勉強会では、ダークパターンの事例を紹介して危険性を伝えたり、ダークパターン脱却に向けたクライアントへのアプローチ方法を考えたりしています。
今回のnoteではダークパターンの概要や、デザイナーとしてダークパターンとの向き合い方について書こうと思います。
ダークパターンってなんだろう?
皆さんは「ダークパターン」という言葉を聞いたことはありますか?
ダークパターンとは、ユーザーを騙して意図しない行動へと誘導するデザインのことです。
この言葉は、2010年にUXデザイナーのハリー・ブリヌル氏がダークパターンに対する認識を広め、阻止することを目的としたサイト
「DARK PATTERNS」を開設されたことで広まりました。
最近は日本でもダークパターンが問題視され始め、2022年6月には特定商取引法を改正する法律が施行されました。
しかし、いまだにダークパターンが使われているウェブサイトやアプリも多いのが現状です。
日本経済新聞が明治大学とプリンストン大学から助言を受けて行った調査では、国内主要サイト100のうち6割にあたる62のサイトでダークパターンが確認されたそうです。
ダークパターンとアンチパターン、ナッジの違い
ダークパターンとよく間違われる事例として「アンチパターン」や「ナッジ」という言葉があります。
アンチパターン
・純粋なデザインの失敗のこと
・意図せずして生まれた未熟な設計
・企業と利用者の双方にメリットがない
ナッジ
・行動経済学に基づいた手法
・ユーザーが自らの選択を行う余地があり、透明性が確保されている
・人の心理に訴えかけることで、意思決定や行動をデザインする手法
このように、ダークパターンはユーザーを欺く悪意のあるデザインなのに対し、アンチパターンやナッジは悪意はなく、ユーザーの行動を強制させないデザインであることが分かります。
ダークパターンの種類と事例
ダークパターンは大きく分けて7種類あり、それぞれの種類の意味や事例をご紹介します。
1.スニーキング(こっそり)
ユーザーにとって重要な情報を隠したり、公開を遅らせたりする行為のこと
2.アージェンシー(緊急性)
時間制限を提示され、行動を完了するよう圧力をかけられる行為のこと
3.ミスディレクション(誘導)
ユーザーの注意を惹きつけたり逸らしたりすることで、特定の選択へと誘導する行為のこと
4.ソーシャルプルーフ(社会的証明)
自分よりも周囲の判断が正しいと思い込む心理を利用する行為のこと
5.スケアシティ(希少性)
偽りの情報で、商品の人気が高く品薄になっているかのように見せかける行為のこと
6.オブストラクション(妨害)
キャンセルや解約などを思い止まらせるために、その手続きを著しく複雑にする行為のこと
7.フォースドアクション(強制)
ユーザーに無許可で特定のアクションを実行したり、本人が望んでいないタスクを強いたりする行為のこと
ダークパターンの種類ごとに事例を紹介しました。
実際に皆さんも見覚えがある事例も多かったのではないでしょうか。
デザイナーとしてどう向き合うべきか
ダークパターンが生まれる原因は、企業が利益を優先し、ユーザーが不利益を被っても構わないと判断してしまう倫理観にあります。
企業にとっては魅力的な施策に見えるかもしれませんが、不信感や消費者トラブルへ発展することもあり、結果的に損失を生み出してしまうきっかけになります。
利益を優先すること自体は悪いわけではありません。
中には、ダークパターンと知らずに「この施策をやってほしい」と言われてしまう場面もあると思います。
そのとき私たちデザイナーはどのように向き合えば良いのでしょうか。
1つの方法としては、デザイナーがダークパターンを使用することのリスクを理解した上で企業へ説明し、代替手段としてユーザー体験を高めダークパターンを回避できる提案をすることです。その結果、企業への信頼感とユーザーへのハピネスにつながっていくと思います。
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