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人生初の写真展を通じて感じたこと

はじめに


今回、プリンターのレビュー企画の一環で、
グループ展に参加させていただくことになりました。
そしてそれが本日、終了しました。

初めての写真展ということもあり
ほぼ全ての日に在廊してみました。

最初は単純に
自分の作品が大きく印刷された!
わーい!!

という感動ばかりでした(笑)

ただ、改めてセミナー時には見られなかった
他の方の作品をじっくり見たり、
ブックを拝見させて頂いたり…

皆さん、それぞれ良い部分があって、
学びがたくさんでした。

そんな風に待ち時間も充実して過ごしていたわけですが
初めての写真展ということもあり
実際にやってみて気づいたことがいくつもありました。

本日はそれらの気づきや感動について、
思いのままに書き殴ってみたいと思います。

長文になってしまいますが
よろしければお付き合いをいただければ幸いです。


【写真展に対する驚き】

「プリント」という行為がもたらす芸術性


私はフィルム写真を撮ったことがない
完全なデジタルカメラ世代なわけですが、
これまでプリントもきちんと取り組んだことがなく、
単に「デジタルデータを印刷するだけ」と思っていました。

しかし、そんなことは全くありませんでした。

  • 紙の選び方。

  • 紙に合わせた作品の追い込み方。

  • 余白がもたらす効果。

  • マットがもたらす効果。

  • 額がもたらす効果。

  • 展示のレイアウトがもたらす効果…


その他、数えきれないくらい多くの要素が
プリントという行為1つで生じてくることに
気づかされました。

そしてそれら1つ1つと自分なりに可能な限り向き合った結果、
自分でも驚くほどの完成度の高い作品が出来たと
プリント初心者ながらとても驚いています。

ここまでのものか…と。

「プリントは実物を見ないと分からない」

この思いを改めて強く感じさせられました。
だからこそこれからは写真展にもっと通いたいな、
そんな決意を新たにしつつある今日この頃です。


アナログの素晴らしさ

先の話に通じる部分があるかもしれませんが、
アナログのすばらしさを改めて実感させられました。

デジタルは入力が同じなら出力も同じになるのが原則です。

しかし、アナログだとそうはいかないのです!

不確定要素がとにかく多い。

そしてこれはマイナスでなく、プラスの意味です。
その不確定要素こそが「カオス」となって
化学反応をもたらしてくれるんですね、きっと。

些細な1要素を変えるだけで、
全体の雰囲気が全く変わることも学びました。

「神は細部に宿る」とはまさにこのことか・・・。

私は今回、展示作品の印刷に当たり、
こんなにも面倒な手続きを踏んで行いましたが、
今となってはこれでも足りなかったのではないか?
というくらい、やってよかったと思っています。

  1. テストプリント用にA5用紙を制作

  2. A5でテストプリントし、必要に応じて元データの再現像

  3. 修正後データでテストプリント

  4. プリント紙の決定

  5. 余白量の決定

  6. A4で額装のシミュレーション

  7. A3で本番プリント


だからこその4枚まとめてみた時の統一感であったり、
タイトルやキャプションとの一体感であったり。
個人的には今持てる力はすべて出し切った感じです。

デジタルデータだと特にその傾向が強いですが、
「数秒」しか見てもらえないことを前提に
作ってしまいがちなんですよね。

でも、写真って本来はそうでないはず。

私は、

10年先、20年先に見ても
その時の感動が蘇るような…
そんな写真が撮りたい

と思っています。

もちろんそれは私の勝手な思いであって、
第3者に伝わるような話ではありません。

しかし!

写真展だとその片鱗を伝えることが出来るんですよね。

写真展であればデジタルデータより明らかに
しっかりと見てもらうことが出来ます。

だからこそ、
ストーリーで勝負したいような作品の場合、
写真展のポテンシャルはすさまじいものがあるな、
とそんなことを強く感じさせられました。

展示予定作品をA5ベルベット紙でテスト印刷


写真展での出会いと再開

写真展では皆さん、
作品以外にも何かしらのグッズを持ち寄っていました。

恐らく、
「せっかく来ていただいたのだから楽しんで欲しい」
というおもてなしの心からのことだと思います。

私もささやかながら、

  • 名刺

  • フォトブック

  • ポートフォリオブック

の3つを置かせていただいてました。

そこで足を止めて見ていただけると、
当然会話が生まれます。

写真を通じてコミュニケーションが図れるんですね。

これは素晴らしい!
写真展でしか味わえない醍醐味だと思いました。

知らない人と、写真を通じて繋がっていける。

そんな世界が実現したら、
世の中もっと平和になるんじゃないか、と
本気で思っています。

また、コロナでずっと会えずだった写真関係の知り合いと
思わぬ再会を果たすこともできました。

業界どんだけ狭いの(笑)

と思いつつ、こういう出会いがあることも
写真展の魅力の1つかと思います。

私から来場者の方々へのお土産


【額装並びに展示に関する気づき】

湿気が紙やマットが変形する


雨が降った日もあり、
入口の扉を開けっ放しにしているからか、
湿気が結構すごいです。

それが原因なのか、
特にベルベット紙の影響が大きいように見えましたが、
紙が膨らんだように反ってしまっている作品がありました。

同様に、マットも膨らんで隙間が空いており、
もしマットが使い捨てであるならば、
プリントと接着してしまった方が良い気もしました。

どうなんでしょう…?

ということで、ギャラリーの主、
イナバさんに聞いてみました。

やはり原則は作品を傷めてしまうので
接着剤などは使うことはないそうです。

また、もし浮きなどが気になる場合は
前面に「アクリル板」でカバーすることで
それをなくすことができるそうです。

その場合は反射とかの問題が新たに出てきそうですね。

どうしても生身の状態だと湿気の影響が避けられないので
「そういうものだ」と思うしかないということですかねぇ。


照明の色温度

照明の色が白熱電球っぽい赤めの光となっており、
色温度はどのくらいなのだろうか?

と、見てみたところ、アイアイエーギャラリーでは
「2700K」で「Ra92」のLED電球をお使いでした。

LDR7L-W-E11/D/E-27
https://www.mitsubishielectric.co.jp/ldg/wink/ssl/displayProduct.do?pid=216110

照明の色を選べるギャラリーもあるようです。

展示作品によっては照明の色によって与える効果が
違ってくるはずですし、家での色の追い込みも、
会場の照明の色によって変えていく必要があるはずです。

この辺りの細かいオペレーションについては
事前に説明がなかったので、こんなものなのか、
もしくはそんなことを気にする人がいないのでしょうか。

どうなんでしょう…?

ということで、ギャラリーの主、
イナバさんに聞いてみました。

「以前からこういった色味の照明を使っており、
 LEDに変えるタイミングでも統一感を重視」

とのこと。
統一感重視で2700Kの照明を使っている、
ということですね!

また、プリントの色合わせについては

「原則として太陽光(5000K~5500Kくらい)で
 合わせるのが良く、そうしておけば
 どんな照明で見ても変な色にはならない」

ということのようです。

またアイアイエーギャラリーは入り口側が
大きなガラスになっているので昼間と夜とで
太陽光と照明のバランスが異なり、
それが故に時間によって印象が変わる
面白いギャラリーになっているとのことでした!

タイトルとキャプション


【写真展を開催する意味について】

写真展は何のためにあるのか?

最後に、暇な時間を持て余して
哲学的な思索にも耽ってしまいました(笑)

写真展を開く意味は人それぞれ無限にあると思います。

グループ展、個展でも意味が違ってくるでしょう。

今回、在廊していて気づいたのが、

  • 平日と週末の人出のギャップが激しい

  • ブックや名刺等は基本、手に取っていただけない

  • 受付名簿やアンケートにもほとんど答えてもらえない

ということ。

仮に目的が「多くの人に見てもらうこと」であったり、
その後の「ステップアップ」を考えていたり、と、
外に向けた発信が重要になるような考え方の場合、
これはマーケティング的に非常に難しそうだな…
と思ってしまったのもまた事実です。

もう少し導線やアイテムの置き方、
そして置き場所を工夫し、
自然な流れでなるべく取ってもらえるような
空間デザインが必要そうです。

また、きちんと在廊し、丁寧にお声がけ
していくことの重要さ
を痛感しました。

もちろん何でもかんでも声をかけると邪魔です。
しかしだからといって躊躇していると、
結局サッと見て帰られてしまうのです。

そこで少しでもご興味を持っていただけそうであれば
積極的に、それでいてさりげなくお声がけをすることで
ブックを見ていただいたり、
名刺を貰っていただけることが確実に増えました。

私は写真業界では名もなき存在です。

だからこそ恥ずかしがっている場合ではなく、
知っていただく努力をしていかないといけないな…
と改めて。

難しいですよね。
自分マーケティングって(^^;

掲載作品「GIFT」


なんだかとりとめのない話になってしまいましたが、
写真展という貴重な機会を経験させていただいたことは
当初考えていたよりも私の中で
すごく大きな財産となって残っていきそうです。

さいごに

今回、写真展を通じて最も感じたのは、
自分の写真とこれまで以上に向き合えた
ということです。

展示作品を作り終えるまではもちろん、
展示中は他にすることがない間、
他の方の作品や自分の作品を
ひたすら観て過ごしたからです。

こんなにも自分の、そして1枚の写真を長く見つめた時間はこれまでにはなかった経験です。
その中で自分自身と向き合う時間も自ずから増えました。

そして朧げながら私の今後目指すべき方向性が見えてきたような気がします。「花」というテーマは誰にでも撮れるし、「ただ綺麗なだけ」になりがち。だからこそ正直、今後の方向性に迷っていた自分がいます。

しかしそれも今回の写真展を通じた自分との対話により、光が見えてきました。

それは

Colors of Life.

きちんと作品として公開できそうな段階で、改めてこの言葉に込められた想いについてまとめてみたいと思います。

さいごに、
改めてお忙しい中足を運んでいただいた皆さま、
このような素敵な機会を頂いた企業の皆さま、
アイアイエーギャラリーの皆さま、
さらには関係者の皆さま…
本当に皆さま全ての力が合って
今回の写真展に臨むことができました。

改めて心よりお礼申し上げます。

ありがとうございました!!


また、今回の写真展で使用したプリンターは
プロセレクションではないコンシューマー向けの
染料機「EW-M973A3T」です。

コンシューマー向けでも写真展が出来る!

そんな新しい発見もありました。
顔料機だけがすべてじゃないぞ、と。

いやぁ、ほんと学びが多すぎて
頭がパンクしそうです(^^;

長文にもかかわらず最後までお読みいただき、
ありがとうございました!


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