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おもいだす

昔々に置いてきた荷物のことを最近ふと思い出す。

その荷物を置いてきたのは小学校だったのか、はたまた中学校だったのか。それとも高校時代によく通ったカラオケボックスだったのか。確かにどこかに置いてきたのは確かなのだけど、それをいつ、どこに置いてきたのかはよく覚えていない。
暑かったような寒かったような。
ただぼんやりとした明るさの中だったことだけは何となく覚えている。

誰にも見つからない場所。

そう考えに考え抜いてしまったから、自分自身ですら見つけることができない場所に置いてきてしまったのだろうか。いや、見つからない場所に見つからないように置いたからといえ、置いてきた本人すら見つからない場所なんてどこにもあるはずがない。ということは、見つからない場所だから見つけられないのではなく、場所は知っているはずなのにその事実から自動的に目をそらすように自分を構築してしまったから見つけられないのだろう。

あの荷物の中身はなんだったのか。
置いてきたあの日ですら中身が何だったのかは分かっていなかったと思う。そして今でも何を置いてきたのかはよくわかっていない。

ただ、ぽっかりと何かが足りない感覚。そのぽっかりと開いた部分にあったものを置いてきたのだろう。


今さらながら、その荷物をまた手元に置いておきたいと思い始めている。
そして思い出す度にその気持ちは大きくなっていっている。

でもどこに置いてきたのかわからない。

もしかすると、どこにも置いてきていないのかもしれない。

新しく作り出す必要があるのかもしれない。

年末あたりからそんなことを考えている。

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