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アナログバイリンガル

「出来た!完成じゃ!」

ここ一週間研究室に籠りっきりだった博士がそう言いながら部屋から飛び出してきた。

「何ですかそれ?」

博士の手にあるスマホのような小型機械を見て僕はそう尋ねる。

「君はバウリンガルというものを知っているかね?」

博士はいつものように僕の質問とは全く関係のない事を当然のように話し出した。

「犬の言葉が分かるとかいう端末ですよね。類似品にニャウリンガルなんかもあったような」

「そこでだ!最近行間が読めない人間が増えているということで、行間を読むことが出来るアナログバイリンガルという装置を作ったんじゃ」

「はあ」

「なんだ、乗り気じゃないな。これさえあれば、行間が読めない事から起こるくだらない揉め事が全てなくなるんじゃぞ」

「行間が読めることによる揉め事が新たに発生すると思いますけど。あ、博士。犬と猫はどこに?あとアナログバイリンガルっていう名前のくせに、それ超デジタルですよね?」


「ええい!行間の読めない男め!」

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