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ピンク紫色の光が漏れている家があっても、そっとしておいてください。

ムーディーなピンク紫色のライトに照らされた、揚げ物用バット2個分のトマトたち。

朝いちばんの段階ではまだ堅い表情をしていたトマトたちも、晩御飯の時間ともなると、なかなかに表情が和らいできたように感じられる。


ムーディーなピンク紫色のライトは、LED植物育成ライト。

トマトたちは植物育成ライトに照らされて追熟をさせられているところだ。もちろん、朝イチからそんなムーディーな雰囲気に醸し出されていたわけではなく、朝日がサンサンと照り付けてくる時間帯、トマトたちははち切れんばかりのみずみずしさで、太陽のスポットライトを浴びていた。

ムシムシとした暑苦しさの中、揚げ物バット2個分のトマトたちは文句も言わず直射日光を浴びながらきっちりと整列している。ひなたに整列させているものの、干しトマトを作りたいわけでは無いので、たまに霧吹きでシュッシュと水をかける。

「追熟方法があっているかどうか」というのは、あまり気にしないでおいて欲しい。

そんないいお天気の中で半日を過ごしたトマトたちだったけど、あの日はお昼を超えたあたりから空がどんよりと曇り始めた。曇っているところにトマトを並べておいても、太陽光を当てるより追熟の効果は低そうな気がする(常温日陰で置いておくだけでも追熟できます)

何かいい方法はないかな。と考えたワタシはあることをふと思い出した。

我が家には昔水耕栽培をしていた時に使った、LED植物育成用ライトがあるじゃないか!光合成に必要な光が補えるのであれば、日光と同じ効果があるに違いない!(←

そんな経緯を経て、トマトたちはムーディーな灯に照らされることになったのである。


LED植物育成用ライトは、かなり眩しい光を発する。なので、人がいる部屋で使用するならば囲いで覆う必要があると思う。長時間見ていていい光ではないはず。でも、たかが半日の追熟作業に使うためだけにイチから囲いを作るだなんてそんな面倒なことはしたくないので、誰もいない部屋でライトをあてることにした。

そして、空調の関係上我が家で今誰も使っていない部屋は、玄関横の外側に面している部屋一つのみ。そこしかないんだからそこで当てるしかない!

と トマトを並べてライトを当てはじめた。


今まで使っていた時は囲いを組み立ててその中で使っていたので気付かなかったけど、うちのLED植物育成用ライトの光はなかなか広範囲に拡散するような気が…

想像ではスポットライトに近い感じでトマト周辺に光が当たる予定だったけど、トマトだけではなく部屋中がムーディーカラーに染まってしまった。

その色はピンク紫。


うわー…これは外から見たらとてつもなくアヤシイ家なのでは…?

慌ててサンダルを履いて外にでて、玄関側から家を見てみるとなかなかのムーディー具合(ピンク紫)な部屋がそこにあった。

まだ日が落ち切っていない時間帯で、このムーディー具合。
外が「夜」と呼ばれる暗さになったとき、怪しさは2倍3倍、いや、それ以上になってしまうような予感しかしない。

少し遠い目をしながら横を見ていると、いつの間にか家人も外に出てきていた。その上、スマホでめちゃくちゃ楽しそうに写真を撮っている。

「面白過ぎるやろ!携帯に送っといたるな!」

・・・・・・


面白い。確かに面白いけど、ワタシはご近所の目の方が気になる。。。
もしも夜、ご近所の家をふと見たときに窓がこのピンク紫色に染まっていたら、迷わず写メをとるだろう。この家の中で今、一体何が行われているのだろうと、知人に拡散してアンケートを取ってしまう自信すらある。

ワタシは1時間ほどしてから、そっとライトの灯を消した。

トマトもその方がよく眠れるだろう……(←



ムーディーなピンク紫色の明かりが漏れている家を見つけたら、それはワタシの家かもしれません。

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もし見つけても、変な噂とか立てずに生暖かく見守ってやってもらえれば幸いです。決してアヤシイことはしていません。信じて…


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