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某劇場職員のいまの感じ 2020年5月

某劇場で制作として働いている。
2月末から4月頭にかけて、次々と劇場主催の公演、貸公演が中止中止となっていく過程で、我々劇場職員の雰囲気は、淡々としていた。ヤケクソというわけではないが、数ヶ月、数年間に渡って取り組んできた自分の仕事が水泡に帰す徒労感はなかなかのものがある。一方で、公演を打つプレッシャー、大量の業務から解放される安堵感もあったと思う。みんな、その2つの複雑な感情の間で逆にフラットになっちゃった感じだ。劇場内には、コロナ対策のためそこら中開け放した窓から吹く風のごとく、茫々とした虚しさが漂っていた。

4月からリモートワークとなり職場には必要最低限行くだけになった。先の見えない中で、前向きな仕事ができないフラストレーションが溜まる。とはいえ何かは進めなければ、とじりじり手探りで出来ることを探っている状態だ。

私個人としては…自分たちの居場所だと思っていた劇場があれよあれよという間に空っぽの箱になってしまったあっけなさに呆然としている。
勤務先の話ではないが、先日、東京芸術劇場内の郵便局に寄った。東京芸術劇場は大好きな劇場だ。明るい広々とした空間にカフェバーや郵便局等を併設し休憩スペースも充実の芸劇は、劇場に用がない人の姿も多くいつでも賑わう広場だった。ガラス張りの天井から降る太陽光の下にもガランと人のいない芸劇をみるのは切ない。しばらくぼーっと立ち尽くした。

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