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方方(Fang Fang)さんの武漢日記に触発されて :1月29日

 昨日からWHOメンバーによる武漢での調査が始まったようだ。1年間言を左右して受け入れを拒んだ中国に対する国際的な批判が少ないのは理解に苦しむ。日本のメディアが忖度して報道しないだけなのかどうか解らないが、1年前の事実を関係者取材から掘り起こす『調査』が意味のある結果を出せるとは思えない。この1週間ほどで気になった情報を忘備録としてメモする。

季節要因についての解析

 ブロガーの藤原かずえ氏が、1月11日に「気温変化とコロナの流行には緊密な関係があります」という論考をアゴラに発表した。それによると、前週よりも気温が-4度低くなる時期と新規陽性者数増加に相関がある、という分析だ。その後、
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陽性者増加は気象が主要因/欧米編-まさかの展開 1月28日
とデータ解析を続けている。これらによれば、日最低気温の先週差増減と実行再生産数増減のタイミングがよく一致している、ことが明らかになり、東京だけではなく他の地域でも、さらには米国のいくつかの州、ベルギー、ドイツ、フランスでも同様の傾向があることを示された。

 藤原氏の結論は、気温変化による免疫力低下の可能性に注目すべきだ、ということで、GoToキャンペーン等を悪者にして経済を悪化させることの危険性を一貫して主張している。私自身も1月7日のnoteで季節要因に言及したが、その背景は、厳しいロックダウンによる行動制限を実施している欧州各国も、緩やかな自主規制要請の範囲を出ない日本も、絶対数は違っても陽性者数の傾向は似ている、という単純な事実である。藤原氏の解析手法について論じるだけの知見がないが、少なくとも、このような点に着目すれば、対策として緊急事態宣言下で考慮すべきことは、20時以降の飲食店を閉店することよりも別の施策ではないだろうか。

超過死亡について

 もう一点、アゴラ主催者の池田信夫氏は、超過死亡マイナスという事実を見るべきだ、と主張されている。超過死亡数を理解するためには、BBCの記事、「超過死亡とは 新型コロナウイルスによる死者数の全体像を知るには」が分かりやすい。すなわち、過去5年間の同時期の死亡者数よりも、今年(2020年)同時期の死亡数がどれだけ多いか、を示すのが超過死亡数である。イギリスでアウトブレイク発生から8週間の死者数と過去5年の平均値を比較すると、過去の平均値は94,593人であるのに対し、2020年は145,521人、すなわち、50,928人が超過死亡数になる。世界の大半の国がプラスであるのに対し、日本は国立感染研究所感染症疫学センターがデータを発表しているが、どうやらマイナスなのだ。つまり、2020年の死者数は例年より少ない。日本と欧米各国の最大の相違点である。

 無論、今だに原因不明、治療法不明な感染症なので、対策は必要だが、超過死亡マイナスという事実を踏まえた時に取るべき対策は、経済を過度に縮小させるものであってはならない、というのが池田氏の主張だ。イギリスのような超過死亡数がプラスの国では、ロックダウンも、一刻も早く国民全体にワクチン接種を実行することも必須だが、日本のようにマイナスの国であれば、ワクチン接種は基礎疾患のある高齢者を優先して、それ以外へは急がなくても良いことになる。

 上記2点の論点を踏まえると、多大な財政出動をし、経済活動を止めたことが、果たして妥当であったのか、改めて考える必要があるだろう。感情論で危険を煽るメディアにおどらされず、データを元にした理解・行動を取るように心がけたい。

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