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方方(Fang Fang)さんの武漢日記に触発されて :12月15日

自分を守ることが協力になる

 これは方方さんの1月29日(旧暦1月5日)の日記の見出しだ。1年前に真っ先にコロナ禍にみまわれた地域に暮らす作家の発した短い言葉が、1年後のいまなお響く真理であることに無力感を覚える。本日全国でのGoTo一時停止が決まった。私は全面的に賛同するわけではないが、不要不急な移動を抑制することが自分を守り他者をも守ることを我々一人一人が再認識すべきとは考える。

 この日の日記の最後に「おととい、私のブログの文章が遮断された」とあった。旧暦1月1日から始めたブログは、わずか3日後に遮断されたのである。私の知っている検閲社会中国だからな、とまず思った。ところが、多くの読者が「遮断」「削除」されるまえにコピーし、転送してくれることで生きながらえたのだ。ブログは毎日夜中の12時ころに更新されるので、それを待って転送する多くの人々が方方氏を支えたのである。

また、旧暦1月8日(2月1日)のブログには方方さんの言葉で「政府が情報を隠蔽するはずはない。」とある。旧暦1月14日(2月7日)のブログでは、感染症発生を最初にSNSで発信し罪に問われた李文亮医師の死が記録され、ある武漢市民が「家族と子供は我々武漢市民が面倒を見るぞ!」と叫んだと書かれている。

私の知らない中国

 これまで、私の知っている中国は
・香港に「国家安全維持法」を施行し、民主活動家を次々に拘束した
・月探査機「嫦娥5号」を月面に着陸させ、サンプルを採取した
・趙立堅・報道官が、オーストラリア兵士が、子供の首元に血塗りのナイフを突きつけている画像をツイッターにアップした
・ウイグル人やイスラム教少数民族を収容所に拘束し、同化政策のもとに教育をしている
等々、新聞やWEBニュースの記事から得る情報によって作られてきた。そこには、方方氏のプログをコピーし、転送するような人々がいる、という情報は皆無だ。武漢市民が李文亮医師に哀悼の意を示したことも伝えられていない。即ち、メディアの情報から得る「中国」は「中国共産党」であり、「中国国民」ではないのだ、ということを改めて認識したのである。今更何を寝ぼけたことを、と思われるかもしれないが、それくらい、私の中の中国には、方方氏や彼女を支える人々、一般の市民の姿は無かったのである。

メディアリテラシーを持たねばならない

 日本でも報道しない自由や一部の切り取りを使いこなすメディアが跋扈し、アメリカでもPost Truthが溢れている現在、メディアの情報を鵜呑みにせず、自らオリジナルの情報にあたる努力を怠ると、我々は容易に間違いを犯してしまう。しかし、英語であればともかく、オリジナルが中国語であると残念ながら私には手が出ない。なんとか、中国の一般の市民の声を知る手立てはないものだろうか。

 他人に頼るよりも自分で解決策を探すべきという天の声も聞こえる。過去何度か挑戦しては断念した中国語だが、時間の有り余る高齢者の目標としては適当かもしれない。

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