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after COVID19にむけて

Stay Homeのおかげで色々なことを考えているので、自身の忘備録としてまとめておきたい。

ビジネスモデル偏重の世界が変わるかもしれない

いままで AirB&B や Uber など、ユニコーンと呼ばれるベンチャー企業は、その技術やアイデアに基づく新しいビジネスモデルで世の中を変え、我々はそれを称賛してきた。その新しいビジネスモデルは主にソフトウエアの工夫により生み出され、ハードウエアはソフトウエアのイネーブラというポジションに追いやられてきた。確かに、個人よりも全体に重きを置く国では、COVID19の罹患者が過去2週間どこに居たかをスマホの位置情報からトレースし、公開するところも出てきた。このような技術はまさにソフトウエアの力である。しかし、彼らには不足している”人工呼吸器”や”N95マスク”を作ることは出来ない。ピンチヒッターとして人工呼吸器を作り始めたのは、GMであり、ダイソンであり、やはり「ものつくり」企業である。GAFAが世界をリードし、日本企業もシリコンバレーやイスラエルに目を向け、オープンイノベーションを志向してきたが、疫病のような危機のときに底力を発揮できるのは、イネーブラーとしての基盤を作ってきた「ものつくり」企業なのではないだろうか。after COVID19の世界で日本が目指す方向の一つが見えたようにも思う。

効率・経済合理性と安全保障とのバランス

多くのメーカー企業は、トヨタのカイゼンに代表されるように、徹底的に在庫を最小化することでコストを削減し、コンビニも一日に何度も商品を配送する仕組みをつくることで、消費者にとっての利便性を具体化した。しかし、人の移動の制限や物流の過負荷のような危機が起こったときに、何が起こるか、も今回体験した。効率一辺倒ではなく、ある程度の在庫や無駄も持っていることがセキュリティ(安全保障)につながるのである。平時にはその必要性が軽視されがちな自衛隊も、東日本大震災の時の活躍然り、今回のDP対応でも大変大きな力を発揮してくれた。彼らのリソース、訓練、装備がなければ、DPの乗客に対する的確な対応は不可能であった。諸外国でも、臨時の検査施設、病院、収容施設を立ち上げたのは軍隊である。平和な日本では、セキュリティと言えばサイバーセキュリティくらいのイメージだが、今の"stay home"は自然災害、疫病、国際紛争までふくめた「安全保障」にまで意識を巡らす良い機会かもしれない。ICUの不足、人工呼吸器の不足が我々に何をもたらすのか、毎日TVニュースで突きつけられているとき、「ICU」は「高速道路や橋梁の保全員」でもあり、「国境侵犯を監視する戦闘機」にも置き換えることができることを、認識すべきだ。無駄を省き、経済効率を追求してきた世の中の仕組みと、何でも安ければそれにこしたことはないと思う我々自身の意識を見直し、「一定のバッファ」を持つコスト、とその必要性、を認識すべきだろう。安全にはお金がかかる。

自由からの逃走

高校生の時に読んだこの本のタイトルを、最近事ある毎に思い出す。COVID19対応については、現時点で中国、韓国は抑え込んだという国際評価であり、アメリカ、EUはまだ先の見えないアウトブレイクの局面にある。人が媒介する疫病については、人の移動を制限する強力な「ロックダウン」だけが有効である、というシンプルな原理を実現できるのは、国民に有無を言わせないだけの強い権力を持つ中央集権国家だけだろう。個人の権利とのバランスを考えながら、かつ、個人の常識・道徳・正義を信じて、出来る限りソフトな罰則規定だけで対応を模索する西側諸国は、死者数という厳然たる数字に置いて、全体主義国家に負けつつある。個人の権利を制限する「緊急事態宣言」をもっと早く出すべきだ、政府が言ってくれないと店を続けて良いのかやめたほうが良いのか、わからない、というような日本人の声は、まさに「自由からの逃走」そのものではないか? (憲法違反になりかねない私権制限を伴う)「中国のような緊急事態宣言」を早くすべきだ、という声が、一般国民だけではなく、政権の監視員を標榜する左派系のメディアからも出てくる事態が正常であるのか、我々一人一人が自問する必要がある。東日本大震災のときに雪が降る中の避難所で整然とした行動を称賛された日本人と、今回温かい家にいることを求められただけで不満をSNSにぶつけている日本人とは何が違うのだろうか? 自由には責任が伴う。面倒な責任を負うぐらいなら自由はいらない、という方向に進む可能性が after COVID19 の世界に見えないだろうか。

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