見出し画像

方方(Fang Fang)さんの武漢日記に触発されて :12月30日

 新型コロナの指定感染症分類を見直すべきだという議論がある。現在2類相当以上の扱いであるため、軽症と見られる感染者でも入院をさせ、其の結果として病院のリソースが逼迫している、という見方からくるものだ。第3波の増大に伴い、医療崩壊リスクが叫ばれる中で、見直しが可能な対策の一つとして大きな声となっている。感染者数が一桁、二桁大きな欧米に比べて、感染者数も重傷者数も相対的に少ない日本で医療崩壊の危機が叫ばれるのは、この指定の扱いで大変なリソースが取られることに一因がある、というものだ。実は私もその意見に賛同していた。

 しかし、12月17日に厚労省は新型コロナの指定感染症を1年間延長した。この措置について、正しいのかどうか疑問を感じていたのだが、昨日、和歌山県知事仁坂氏が ”知事からのメッセージ 令和2年12月28日” という県ホームページで、県のデータが示すところによれば、厚労省の判断は正しいという見方を示した。大変重要なメッセージなので、記録しておくことにする。それは陽性判明時の症状と入院後の症状を分析したものだ。

画像1

上記の表からわかるように、入院時無症状であっても、そのまま無症状でいるのは4割、残り6割は発症し、うち2割が重症化した、という事実である。やはり、検査の段階で無症状だから、といって病院で対応しないとかなりのリスクがある、ということがデータで示されたのだ。従って、医療の現場の状況逼迫はあるものの、無症状者を放置すると、感染拡大は止まらず、その一定割合は重症化するので、結果として病院の重症者病棟が空くことはない、という指摘をされたのである。仁坂知事は厚労省の判断を「英断」と称賛した。大変明確な意見であり、私も過去の考えを改めた。

 データという事実に基づく意見は大変重く、且つ誰の眼にも明確である。国や自治体は、まもなく1年になる間に蓄積したデータを元に、科学的根拠を持った政策を進めて頂くように期待する。一方で、我々は根拠(データ)の曖昧な感情的意見に振り回されてはならないと改めて思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?