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16. THE TOWER / オリジナルタロットカード解説


オリジナルタロット版のカードに込めた物語

苦しみから逃げ出した愚者。

先に進めなくてもいいや、逃げてばかりでもいいや、どこまでも逃げていこう。いつか楽になるだろうし、それでいいや。

そんな気持ちにぶら下がるようにつかんだ風船。
ふわふわと甘い空気の中を進んでいく。

しばらくすると、誰かの声が聞こえてきた。

『いや、ダメだよ』

激しく厳しい声がする。
声の主はどこだろう。

けれども愚者は振り返る間がなかった。
切り裂かれるような衝撃と共に、つかんでいた風船が激しい破裂音と共に割れてしまった。

真っ逆さまに落ちていく愚者。
戻ることも出来ないのかと切り裂かれたような想いを感じながら、やがて深い底に叩きつけられてしまった。

「うう・・・」
痛くてもうめき声がもれた。

次第に意識が遠のいてそのまま愚者は完全に動けなくなってしまった。

タロットカードにおける『塔』の意味

タロットカード本来の意味に加えて、私版のオリジナルタロットの解釈も載せています。広義では同じ意味ですので、どちらを採用してもらっても構いません。ピンときたものを受け取ってください。

タロットカード本来の『塔』の意味

正位置の意味
破壊、破滅、崩壊、災害、悲劇、悲惨、惨事、惨劇、凄惨、戦意喪失、記憶喪失、被害妄想、トラウマ、踏んだり蹴ったり、自己破壊、洗脳、メンタルの破綻、風前の灯、意識過剰、過度な反応、アンチテーゼ、自傷行為、精神崩壊
逆位置の意味
緊迫、突然のアクシデント、必要悪、誤解、不幸、無念、屈辱、天変地異

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

オリジナルタロット版『塔』の意味

正位置の意味
これまでの価値観の崩壊、真の気づき
逆位置の意味
虚無、過去にすがる

これは私独自の解釈なので少し飛躍してる部分があります。

愚者が『自分を知ろう』と自分と向き合うことを決め、自分の中に飛び込んでいく旅です。その旅路の途中で、色んなことを思い出してきた愚者、それらを内包するように色んなものが計らいとして表れ始めます。次に現れたのは『愚者が逃げ込んだ塔を壊した彼の正義』でした。

愚者が苦しくなっている正体、過去に傷ついた根底にある想い、それは『愛してほしい』なんです。愚者はその愛を求め続け、外へ外へと意識を向け続けました。自分と向き合い自分を知ることで、愛が外からやってくると信じ続けているからこそ、いつまでもやってこない愛に苦しみ続けているのです。

愚者が愛してほしいと思っているのは、彼が彼に求めていることなんですが
『外へ外へと愛を求める価値観』これを破壊しなければ、真の気づきは訪れません。

その塔を破壊することこそ、愛の到来なのですが、壊された愚者はたまったもんじゃないですよね。

ちなみに塔を壊したのは愚者の中の正義です。彼が自分と向き合い、自分を愛し始めたからこそ、愚者の正義が愛をもって塔を破壊してくれたんです。

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2024年4月5日
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