「秋の臨時国会はじまる。」

 10月20日(金)より、秋の臨時国会が始まりました。12月13日まで、55日間の会期で論戦が行われます。

 最大の争点は、「物価高騰対策」についてです。物価上昇に賃上げが追い付かず、今年8月まで、実質賃金は17カ月連続で減少をしています。

 可処分所得の減少が家計を圧迫し、景気の下押し要因になるとの懸念があります。多くの皆さんも、暮らし向きの厳しさを感じていらっしゃるのではないでしょうか。

 こうした状況を受けて、岸田首相は、新しい経済対策を策定し、今国会で補正予算を成立させる方針を示しています。
 報道などでは、岸田首相が「所得税の減税」を検討するよう指示した旨、報じられました。
 物価の上昇に伴い、国の税収が額面上は70兆円を超えました。その増収分を国民に「還元」するというのが総理の主張です。そのための手段が「所得減税」だそうです。

 「それは助かる」と感じる方も、いらっしゃるかもしれません。でも、よくよく考えてみてください。本当に、そんな美味しい話があるのでしょうか。

 来年度から、防衛費の倍増が始まります。そのために、法人税・所得税・たばこ税の3税が増税となる見込みです。
 防衛費のための増税を行う一方で、同時に所得税の減税をする。なぜこんなややこしいことをするのか。それなら、はじめから増税をする必要などないはずなのです。

 答えは簡単です。今回の減税は、次の選挙に向けたアピールでしかないのでしょう。
 ひとまず解散総選挙さえ乗り切れれば、そのあとは、待っていましたといわんばかりに、増税が始まることが目に見えています。

 そもそも、所得税の減税は、現在の物価高への対応としては、時間がかかって効果が乏しいことが見込まれます。減税が始まるのは、来年の春・夏以降になりそうです。

 時限的な措置とのことですが、ということは、しばらくしたら、税額は元に戻さなければいけません。結局、元の税負担に戻ることが分かっていれば、たいていの家庭が減税分を貯蓄に回すことになるでしょう。
 
 しかも、本来必要のない、高所得者層も同じように減税されるわけです。多額の税金を使った、選挙前のバラマキに他なりません。

 少なくとも、今の物価高にすぐにでも対応するのであれば、「インフレ手当」といった形で給付を行う方が明らかに効果的です。これなら、年内にでも給付が可能でしょう。私たちは、一律3万円の給付を提案しています。
 
 対象は、中所得世帯を含む、全世帯の6割程度です。住民税非課税の低所得世帯だけでなく、大多数の中間層にも給付を行います。現役世代の働く皆さんにこそ、しっかりと政策を届けていくためです。

 政府・与党の経済政策は、過剰なバラマキで、さらに厳しいインフレを招く恐れがあります。
 いま必要なのは、さらなるインフレを抑制しつつ、物価の高騰を乗り越えるのに必要な経済対策を実行することです。そのためには、物価高騰に苦しむ中間層までを対象とした直接給付こそが効果的です。

今次の臨時国会では、徹底的に、経済対策の中身を議論していく必要があります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?