南野陽子「Happy New-Yearが言いたくて」

今回は楽曲紹介を。またまたナンノの曲なんだけど、年末年始といえばこの曲を思い出す。

南野陽子「Happy New-Yearが言いたくて」

6thアルバム「SNOWFLAKES」

6thアルバム「SNOWFLAKES」に収録(1988年12月14日発売)
作詞:康 珍化
作曲:山崎 稔
編曲:萩田光男

クリスマスや冬を歌った曲は多いけれど、元旦を歌った曲というのが珍しく、とても印象に残っている。だいたい年末はこの曲が頭に流れて、年始になるとこの曲が聴きたくなるw。1年の最初に恋人に会いたいから部屋に迎えに行く──というとても可愛い曲だ。

いまからちょうど30年前の曲。そして30年経ったいまだに、元旦を迎える曲でこれ以上のものはない。当時、この曲のなだらかに流れそうなんだけど、ポンポンと転がるように変わる音程がとても面白くてよく聴いていた。編曲というか音の作りは完全にクリスマスソングなんだけど、テンポが抑えめで抑揚がない感じがクリスマスを超えて落ち着いた年始の雰囲気を作り出していて本当に素晴らしい曲だなと、いま聴いても感じる。

この年、夏にナンノがアルバム「GLOBAL」を出すのだが、その1曲めの「Hello! Goodmorning」は、別れた恋人にモーニングコールをしていた日々をふと思い出す──という曲なのだが、冬にその対をなす曲を出すところが、なんともナンノらしいなと思ってしまう。

アルバム「SNOWFLAKES」はナンノの初のクリスマスアルバムだ。そして、このアルバムが素晴らしい。「七つのスノーフレイク」というインストが最初にあり、そこからの7曲の全8曲で構成されるのだが、アルバムには、「冬は贈り物をする季節。みなさんに贈り物がしたくて、このアルバムを作りました」というナンノの言葉が添えられている。

ナンノは翌年にもクリスマスアルバム「Dear Christmas」を出すのだが、こちらは新たに収録した曲に「SNOWFLAKES」などのアルバムのクリスマスソングを組み合わせたもの。当時のアイドルはクリスマスのコンセプトアルバムを出すことが多かったが、既存の曲に新規のクリスマスソングを合わせるというものがほとんどだった。この「SNOWFLAKES」のように、一からクリスマスをコンセプトに作られたアルバムというのは珍しい。

このアルバム、7曲を7つの雪の結晶に例えていて、それぞれ、「夢」「希望」「涙」「幸福」「悲しみ」「淋しさ」「愛」──を表しているそうなのだが、「Happy New-Yearが言いたくて」は「幸福」を表した曲だ。この曲の紹介文は、以下のように綴られている。

幸福のスノーフレイクは、新しい年の朝に降ってきました。白雪姫は王子さまのキスで目を覚ましましたが、この歌の中では、愛は、朝の窓ガラスに当たった小さな雪つぶてで目を覚まします。冬は、たくさんの贈り物をくれます。わたしたちは暖かさと呼んでいるものは、寒さが教えてくれるもの。白くなる息も、凍った道も、冷えて澄んだ空気も、みんな冬の贈り物です。もちろん、Happy New-Yearも。

冬の寒さがなければ暖かさがわからない。そんなメッセージも込められているこの曲は、冬を歌いながらも暖かい曲となっている。

今回、楽曲紹介ということで「Happy New-Yearが言いたくて」を取り上げてはいるが、アルバム「SNOWFLAKES」をぜひ聴いてほしい。南野陽子という人のこだわりを、とても感じられるはずだ。

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