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2024年 ノーベル物理学賞受賞者予想

今日はノーベル物理学賞の予想です。
まずは、最近の受賞分野のおさらいから。

 2007年 巨大磁気抵抗の発見
 2008年 自発的対称性の破れ、CP対象性の破れ
 2009年 光ファイバー内光伝達、CCD素子
 2010年 グラフェン
 2011年 宇宙の加速膨張
 2012年 量子系の計測、制御
     (量子コンピュータを実現するための技術の実証)
 2013年 ヒッグス機構(ヒッグス粒子)
 2014年 青色発光ダイオード
 2015年 ニュートリノ振動
 2016年 トポロジカル相とトポロジカル相相転移
 2017年 重力波検出(LIGO)
 2018年 光ピンセット、超高出力・超短パルスレーザー
 2019年 宇宙論に関する理論的発見
      系外惑星発見
 2020年 超大質量ブラックホール
 2021年 地球の気候モデリング
      スピングラス
 2022年 量子もつれ
 2023年 アト秒パルス光

昨年、2023年は、アト秒パルス光の研究者であるピエール・アゴスティーニ博士、フェレンツ・クラウス博士、アンヌ・ルイエ博士の3人に贈られました。実は、予想の中にアンヌ・ルイエ博士とフェレンツ・クラウス博士の名前を入れていて、とてもビックリしました。これは予想が当たったといっていいですよね。

まあ、予想の中に何組もの人の名前を挙げているので、少しずるい部分もあるかもですがね。

それは、さておき、今年の予想をしていきましょう。一時期までは物性分野とそれ以外の素粒子や宇宙などの分野が交互に受賞してきたのですが、近年はその順番が崩れています。そろそろ宇宙や素粒子分野の業績が受賞してもよさそうですが、近年、この分野で目立ったものが思い浮かばないのですよね。

こういうときは、量子コンピュータのアルゴリズムを提案したデイビッド・ドイチュ博士、リチャード・ジョサ博士というようにすごく意外な分野に目を向けて見るのもいいかもしれません。デイビッド・ドイチュ博士は、数学者で素因数分解を高速で解く量子アルゴリズムを提案したピーター・ショア博士と2024年のクラリベイト論文引用賞を受賞しています。量子コンピュータはまだ黎明期で、画期的な応用さきながかなか見つからないながらも、商用機なども開発され、注目されている分野なので、ノーベル賞受賞があってもいいかもしれません。

あと、最近、生成AIが普及して社会を大きく変えたが、その根本的な技術であるディープラーニング(深層学習)の発展に貢献したヨシュア・ペンジオ博士、ジェフリー・ヒントン博士、ヤン・ルカン博士が受賞したら、かなりインパクトの大きなサプライズになるでしょう。この分野にノーベル物理学賞が贈られる可能性はかなり低いとは思いますが、物理学の様々な分野がビッグデータ化してきて、その中から有益なデータを発見するためにAIの力が活用されています。学問の世界を飛び出して社会の基盤技術となりつつあるAI関連の受賞があってもいいのではないかなと、個人的には思います。

宇宙関連の分野で候補者を挙げるとしたら現代宇宙論の標準モデル形成に貢献したサイモン・ホワイト博士あたりがおもしろいと思うのですが、宇宙論では2019年にジェームズ・ピーブルス博士が受賞しているから、かなり厳しいかな。

日本人では、光格子時計の香取秀俊博士の名前が最近はよく挙がっています。もちろん、香取博士が受賞すればうれしいのですが、光格子時計の受賞はもう少し先のような気もします。

私が注目しているのは、六方晶窒化ホウ素という原子レベルで平らな結晶をつくった谷口尚博士と渡辺賢司博士です。六方晶窒化ホウ素はまだ基礎的な物性などをよく調べる段階でありますが、層状構造で紫外線を発光するなどおもしろい性質を示していて、注目されています。そのポテンシャルが評価されれば受賞もあるのかなと思います。

今年は(も?)大きな決め手もなく、雲をつかむような話になってしまいましたが、こんなところでどうでしょうか。果たして、2024年のノーベル物理学賞は誰が受賞するのか、今から楽しみです。


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