私も着られる宇宙船内服

日本時間の10月6日に打ち上げられたクルードラゴン運用5号機は、10月7日6時1分(日本時間)に国際宇宙ステーション(ISS)とドッキング、7時49分(日本時間)にハッチオープンした。若田光一宇宙飛行士も元気にISSに乗り込み、長期滞在が始まった。

日本人宇宙飛行士が宇宙に行くのは、社会の関心も高いようで、クルードラゴンが打ち上げられた直後はテレビでも、いろいろと報道された。その中の1つをたまたま見ていたら、今回の長期滞在には、JAXAと日本企業が協力してつくりあげた製品がいくつか持ちこまれていることを伝えていた。

その1つが宇宙船内服。若田宇宙飛行士長期滞在の特設サイトでも紹介されている。

開発したのはアウトドア総合メーカーのスノーピーク。オンラインストアでも販売されていた。

だが、金額がとてもいいお値段。この上下を揃えるだけで5万円オーバーだ。ただ、このウェアはそれだけ高くても仕方がないかなという側面もある。このウェアは糸を編んでつくるニットで、速乾性や体温調整機能のある糸を使っている。それに加えて、最終製品の形にそのまま編むホールガーメントという技術を使っているのだ。

ふつう、服をつくるときは前身頃、後身頃、袖など、最初にそれぞれのパーツをつくってつなぎあわせる。でも、それだとつなぎ目がパーツの部分よりも出っ張ってしまい、着心地が少し悪くなる。ホールガーメントは1つ1つのパーツをつくらずに最初から完成形で糸を編んでいくために、つなぎ目ができずに着心地のいい服をつくることができる。

このホールガーメントの技術は和歌山県の島精機という開発した技術で、ノースフェイスやパタゴニアなどのブランドでも採用されている。実は10年ほど前に、このホールガーメントについて取材して記事にしたことがある。

10年ほど前に書いたホールガーメントの記事の一部

最近、スノーピークのお店に行く機会があったから、宇宙船内服とほぼ同じニットのウェアを実際に見てきた。さわりごこちはとてもいい。店員さんに話を聞くと、スノーピークは2018年からホールガーメントの製品を扱っていて、ホールガーメント製品のファンも一定数いるようだ。

以前の製品はジャケットタイプで、今回のようにかぶりの形状は珍しいという。また、JAXAとのコラボ製品だからかわからないが、価格は今回の製品の方が少し高いそうだ。

話をしていて、試着もできるというので、実際に着てみた。上下セットで着ると部屋着感がすごかった。イケメンが着れば何でも許されてしまうのだろうが、ふつうの中年おじさんが着てしまうと、ゴミ捨てのついでに近くのファミレスにコーヒーを飲みに来た人みたいになってしまうので、セパレートで着た方がいいだろう。

お店の人は「パンツもシャツと組み合わせてきてもいいですよ」と難易度の高いことを提案してくれた。

確かにいい製品だし、宇宙飛行士が着ているものと同じタイプの服を着られるというのは魅力的だ。だが、いかんせんいいお値段。ただ、オンラインショップをチェックすると売れ行きはいいようだ。サイズによっては売り切れているものもある。セットアップといかなくても、上だけでも買った方がいいのではと思えてくる。でも、値段がないの堂々巡りだ。

To buy, or not to buy, that is the question.


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