2022年 ノーベル化学賞予想

今回はノーベル化学賞の予想について。まずはいつものように過去の受賞理由の振り返りから。

 2007年 固体表面の化学反応過程の研究
 2008年 緑色蛍光たんぱく質(GFP)
 2009年 リボソームの構造と機能の研究
 2010年 有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリング
 2011年 準結晶の発見
 2012年 Gタンパク質共役受容体の研究
 2013年 複雑な化学系のためのマルチスケールモデルの開発
 2014年 超高解像度蛍光顕微鏡の開発
 2015年 DNA修復のしくみの研究
 2016年 分子マシンの設計と合成
 2017年 クライオ電子顕微鏡の開発
 2018年 酵素の指向性進化法、ファージディスプレイ法(進化分子工学)
 2019年 リチウムイオン電池
 2020年 ゲノム編集
 2021年 不斉有機触媒

これは毎回言っていることだけど、化学賞はとても範囲が広く予想が難しい。しかも、生理学・医学賞でもいいのではと思うようなものも入ってくる。でも、これらのテーマも分子や原子などの物質にフォーカスしたものという理解で化学賞としているのだろう。

昨年は不斉有機触媒に対して贈られ、久しぶりに有機化学ど真ん中のテーマが受賞した。さて、今年はどんなテーマが選ばれるのだろうか。

個人的には、そろそろ次世代シーケンサーを開発したシャンカー・バラスブラマニアン博士、デイビッド・クレネマン博士が受賞してもいいかなと思う。次世代シーケンサーは研究分野だけでなく、社会を支える重要な分析技術となった。そのあたりを評価してもいい気もする。

他には、有機化学の手法と分子生物学の手法を組み合わせて生体分子の機能や反応を追っていくケミカルバイオロジーを切り開いたスチュアート・シュライバー博士もおもしろい。基礎的な有機結晶の研究に取り組んだレスリー・ライセロヴィッツ博士とメイル・ラハブ博士が受賞したら渋いだろうな。

もちろん、生理学賞・医学賞でも紹介したmRNAワクチンやオレキシンが化学賞を受賞してもおかしくない。今年は誰が受賞し、どの分野が脚光を浴びるのか楽しみだ。

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