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中東が好きになったのは何故だろう - 初めての中東・在庫モデルと売れ筋

”日本製だ”と 原産国を答えて反応を待ったが、何もなかった。


つと、レバノン人が せわしなく帳簿をめくりながら、聞いてきた。
”一体、どのモデルが売れるんだ?”

いや、それは、私が聞きたい事でしょ。と 心の中。
それでも、一応説明する。
このモデル。これも。これからはこれ。
持参した顧客の購買履歴のリストを見せて、
モデルにマークをしていく。
モデルの横に書いたスペックをペンで指しながら、
雨水はどんどん深く掘らないと出てこなくなっていると聞いている。
だから、これからは、それに対応するモデルが必要だと考えている。
だから、このスペックを持つモデルは 今後売れると思う。

この辺りまでの事は、今までの上司のレポートや話から蓄えた知識で
説明ができる。まあ、実際に現場を見たわけでないので、
自信のなさが、言葉に出てしまう。 ”考えている” 

一階にいるインドの方たちにも 当然聞いているはずの内容だから、
彼らと私の話が一致するのか 確かめたかったのだろう。

そして、何故、そうなのかを 私から聞きたかったのだ。
オーナーの孫は任されたばかり。
レバノン人もつい最近雇われたばかりだった。
業界を知っていても、自社の販売商品を覚えていくには時間も必要だ。

悲しいことに、業界も、仕様も、価格も、競合も すべて知っている番頭が突然いなくなったことが こちらの会社の痛いところだった。
新しい番頭は、2番手で支えていた人なので、彼が幾分か知っていたが、彼らは、販売はするが、製品の構造や理屈を分かって、何故そのモデルが売れるのかを知る人はなかった。
分かる必要もなかった過去の流れもある。 
日本製だから品質は問題ない。
彼らが鍛えていたのは、
高いと言われることへの交渉力。
競合の名前を出されることへの対応力。
同業他社の情報引き出し力。
この当時は、修理も殆ど行っていなかった。使い捨てしていた。

在庫数をモデルごとに聞いて、持参したリストに書いていくと、
オーナーの孫が、あとでまとめて知らせるよ という。
びっくりした。
在庫リストなんて、見た事がなかったからだ。
本当に出てくるのか不安になったが、仕方ない。

台帳を流し見している中で、売れ筋モデルの在庫が無い事に
気づいていたので、
”在庫リスト待ってるよ。
在庫ゼロのモデルも忘れずにリストに載せてね。
だって、このモデル、在庫ゼロ、売れ筋だよ。
過去の購入台数をみても沢山買ってるよね”

机の向こうで、二人が首を伸ばして、え~ というそぶりをした。
レバノン人が、またまた 台帳を激しくめくり、
そのモデルの販売履歴を見ている。
オーナーの孫は、1階にいる新しい番頭を呼びだし、
この台帳には今まで購入したモデル全てが書かれているのかと聞き、
在庫が不足している物はあるのか? と聞いた。
番頭は、スペックをすらすら答え始めた。

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