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サバクトビバッタ大発生によるパキスタンの農業・食料安全保障への影響

アッサラームアライクム。

日本の地方では、コロナの行動制限が解除されつつある中、パキスタンという国は、今、とても危機的状況に直面している。

コロナのことでしょ、と思うかもしれない、半分正解である。

事実、パキスタンはこの5月から急速に感染者数が増加している(一説には、インフルエンザの患者が多数混じっているようですが)。今では、日本の倍以上の感染者数で、1000人辺りの検査数も、日本と同等という、全く先が読めない状況となっている。

さらに、ここからが本題。今年の1月頃から、アラビア半島南部、東アフリカからパキスタン南部地域に飛来した、サバクトビバッタが、コロナの感染者数と同時並行で、どんどん増加、繁殖している。(FAOや現地情報によると)。

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過去の歴史を振り返っても、人類は常にバッタの異常発生、「蝗害(こうがい)」に悩まされていた。ただ、今回は過去に事例のない、いろんな不安要素が二重、三重と重なりあっている。その一つは、ここ最近のコロナ感染者数の急増。二つ目は、サバクトビバッタのイラン南部からの飛来や孵化の急増と同じタイミングで、収穫時期に入った、主食の小麦、そしてOil Seedsとひよこ豆の収穫量の激減によって、食料危機を引き起こす可能性がある。特に、ラマダーン中や断食明けのイードの食料需要の急増が見込まれる中で、そのような危機が起きる可能性は十分ある。そして、三つ目は、ラマダーン中やコロナによる、農業労働者の確保の難しさ、行動制限により移動が限定的な点である。

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さらに、今回のサバクトビバッタの数は、過去27年間で最悪であり、6月から9月まで南西方向から吹く季節風にのって、中国の雲南省まで飛来すると予測されている。その為、中国政府は現在、コロナ・サバクトビバッタ対策の、二重の緊急支援をパキスタン全域で行っている。日本も先月、パキスタンへの緊急支援を発表し、今後のこれら非常事態の状況に目が離せない。

私は今、パキスタンの農業分野に携わっていることから、何かできることはないかと考えて、まずは情報発信をしようと想い、ここに書くことにした。

アッラーハーフィズを祈るしかない。ジャザカッラーフ。

シュクラン!

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