【シン・アーティストトレース】で草間彌生を読み解け!
こんにちはー^^ 学生時代は教員大学で美術専攻していたaraです。
専門は工芸でしたが、広く浅く美術について学んでいました。
「自分はなんのために作品を創り出すのだろう?」と考えたときに、
創り出す過程が好き
という答えに尽きるな。と最近しみじみ思っています。
さてさて、前回は岡本太郎のアーティストトレースに参加した私ですが、今回は草間彌生ということで、
太郎ばりに「爆発しちゃってる」感があるけど、実はあまりよく知らなかったアーティストだったので、どんな人生を歩んできたのか興味津々です。
今回のアーティストトレースは、いつものマーケティングトレースのようなガッツリとしたフレームワークを使わず、新しい試みで彌生を紐解いていくそうです。
アーティストの戦略や思考はフレームワークだけでは読み解けない!それだけだと抜け漏れがある。とのこと。フムフム。
アーティストトレースは「賛否両論と模倣」がキーワード!
岡本太郎が『太陽の塔』をつくった時も賛否両論が巻き起こりましたが、
社会になんらかの問い投げかけてるような作品なら、賛否くらいあって然るべきですよね。鋭い問いをだすと批判も生まれるというものです。
どの層が賛成で、どの層が反対だったのか見るのも面白そうですね。
模倣に関しても、私が学生の時に
「ありとあらゆるものが出尽くしている世の中で、全くのオリジナル作品を生み出そうとするな」
とか言われたような気がします(・ε・)
アーティストもゼロから生み出すように思われがちですが、他者からインスピレーションを得ているのって普通にあることなんですよね。
アーティストの「3方向からの模倣」を探れ!
アーティストは
・リスペクト
・ライバル
・クロスボーダー
この3つの領域からインスピレーションを受けているとのこと。
ワークショップでは例としてピカソの『アヴィニョンの娘たち』のインスピレーション源を3方向から挙げてくれました。
このように草間彌生も3方向からインスピレーション源を読み解いてみることになりました。
作品を見て、どう感じる?
まず参加者同士で、草間彌生の『かぼちゃ 』をみて感じたことをシェアしてみました。
それにしても『かぼちゃ 』って、いろんなパターンがあるんですね💦 知らなかった
・丸の模様がたくさん。執拗なくらいの点の書き込み
・デッサンの基礎力が窺える
・配色は黒と黄色のみで、 蜂を連想させる 「注意」喚起色
・ポスターとかにありそう ポップが混在
・背景の割れタイルみないなのは何?
・かぼちゃの安定感と後ろの三角のゆらぎ
・タコの妖怪っぽい 不気味 こわい
・タプタプ水が入った風船 安定感はある
・三角の背景はどこから書き始めたのかなあ
彌生は統合失調症で、幻覚が見える症状を克服するために水玉のモチーフを書いていました。
こうすることによって、こわいもの→おかしいものに変えていったのです。
かぼちゃの背景にある三角の模様も、無限に広がって飲み込まれそうです。
この模様は『無限の網』と言って、「水玉」の集積を反転したものだそうです。強迫観念に駆り立てられながら、水玉や網の目で空間、そして自分自身を覆い尽くし、彌生は自己を消滅させる体験をしていたのです。
草間彌生のインスピレーション
■彌生のクロスボーダーは?
長野生まれの彌生は家が裕福で、絵を習う余裕もありました。一方両親が不仲だったり、母親から絵を書くことを反対されるという抑圧もあったそうです。
さきほども書きましたが、彌生は10歳の頃から統合失調症で、幻覚や幻聴に苦しんでいましたが、家族に支えてもらうことはできず、よりより閉鎖的な性格を強めていきます。
「恐怖から逃れるため、自殺への憧れを頭から追いやるため」必死で絵を描いた。と彌生は語っています。
■彌生のリスペクトは?
①ジョージア・オキーフ
20世紀のアメリカを代表する女性画家。夫は写真家のアルフレッド・スティーグリッツ。
70年にも及ぶ長い画歴のなかで、ほとんど風景、花、そして動物の骨だけをテーマとして描きつづけた。なかでもオキーフの名を一躍有名にした画面いっぱいに拡大して花の絵を描いた作品群や、牛の頭蓋骨をイコンのように威厳を込めて描いた作品群がよく知られる。またアメリカで(世界的にみても)抽象画を描きはじめた最初期の画家の一人。wikipediaより
松本の本屋で見つけたオキーフの画集を見つけて「これだ」と思った彌生は、彼女に手紙書いてしまうほど憧れていたようです。
オキーフはそんな彌生の渡米の支援をしてれた、恩人の一人として重要な人物です。
②ドナルドジャット
当初は画家・版画家であり美術評論でも高い評価を受けたが、次第に立体作品の制作に移った。箱型など純粋な形態の立体作品は多くの美術家や建築家、デザイナーらに影響を与えている。抽象表現主義の情念の混沌とした世界の表現に反対し、その対極をめざすミニマル・アートを代表するアーティストの1人。必ずカウボーイハットをかぶって記者会見をしていた。wikipediaより
環境や言葉に従属せず作品単体として自律する純粋芸術を追求したアーティストです。ミニマリズム(ミニマリストの語源)の代表作家とも忌まれています。
彌生の友人でもあったジャットは、彌生の作品を認め、そんな彼を彌生は「もちあげてくれた」「ジャッドは私をスターにした功績大である」と語っています。
③ジョゼフ・コーネル
アメリカのアーティストで、アッサンブラージュの先駆者の一人。シュルレアリスムに影響を受けた。前衛的な実験映画の制作者でもある。wikipediaより
アッサンブラージュとは、箱の中に、コレクションしてきた膨大な数の写真、骨董、本の1ページを入れ、構成したものです。ごみやがらくた、廃棄物ではなく、古本屋や古着屋に頻繁に通って見つけた昔の美しいものや貴重な品に美を見出し、まるで箱の中に詩を作ったかのような作品です。
コーネルは彌生の恋人でした。彌生がアメリカから日本に帰国したのはコーネルの急逝が理由でもあるそうです。
■彌生のライバルは?
ジャクソン・ポロック
第二次世界大戦中に戦禍を避けてアメリカに避難していたシュルレアリスト達との交流や、かねてから尊敬していたパブロ・ピカソやジョアン・ミロらの影響により、しだいに無意識的なイメージを重視するスタイルになった。1943年頃から、キャンバスを床に広げ、刷毛やコテで空中から塗料を滴らせる「ドリッピング」や、線を描く「ポーリング」という技法を使いはじめる。
単にキャンバスに絵具を叩きつけているように見えるが、意識的に絵具のたれる位置や量をコントロールしている。「地」と「図」が均質となったその絵画は「オール・オーヴァー」と呼ばれる。wikipediaより
当時アメリカで流行っていたアクション・ペインティングの代表的な画家です。
彌生はこれを批判し、 正反対のものを発表したのが先ほどのカボチャの背景にも書かれていた『無限の網』です。
ポロックの筆使いのダイナミックさと、彌生の静かで丁寧な網の広げ方が対照的です。
これで彌生はポロックと反対のポジションを取っていたというのが面白いですね。
描くことで幻覚から逃れ、別の世界と繋がる体験をしているという彌生。
冒頭で、私が何のために制作するのか考えた時に「その過程が好き」だと思ったように、彌生も創り出す時間が唯一無二の特別なものなんでしょうね。
あくまで自分のために描いている気がします。
作品制作の時間を目一杯とりたい。四六時中、命をかけた制作を全うするために不眠不休で制作をしてぶっ倒れることもあったそう。
彌生のストイックさや狂気じみたところが作品にも垣間見えて、とてもひきつけられます。
さて、アーティストトレースのワークショップでは、3方向からの模倣シートを使って、「自分の作りたいもの」についてのワークを行いました。
「アーティストトレース」の構造も模倣の視点からみるとこうなります👇
芸術作品だけじゃなく、仕事のプロジェクトや「理念」のようなものにも使えてとても良いワークシートです!
他の方のアーティストトレースものぞいてみてください^^
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