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2023に読んだ本で、「評価★★★★★(5)」だった本まとめ

こんにちは〜!今年も年末になってきたので、読書記録をまとめたいと思います。

年間200冊を目標としているのですが、ギリギリ達成できました。

私の場合は小説を読むのが早いので、読了数の多かった月は図書館でせっせと小説を借りて読んでいましたね。

読んだ本はブクログで管理しています。


それでは、ブクログで評価★5にしていた本をご紹介していきます!

長いので太字だけでも読んでいってください!


俺か、俺以外か。 

ローランドの名言をローランド自身が解説している本です。

2023年の1月2日に読んだのですが、正月に読むにはちょうどいい、「一年頑張ろう」なんてキリッと居住いを正したくなる本でした。来年の正月にまた読みたいです。

ローランドのストイックさと自己愛が詰まった本ですがユーモアで軽い読み口の文章です。気楽に読んで元気がもらえました。


人生がときめく片付けの魔法

上記のローランドの本では、「ジャージばかり着ているとジャージが似合う人間になっていく」という主張がされているのですが、同じようなことをこんまりさんも言っていたのでコチラの本を再読してみました。

最近では世界で活躍しているこんまりさん。Netflixの番組も観ました。書籍だと、こんまりさんの人となりがユーモラスな文章から伝わってきて、これはこれで楽しめるかと思います。片付けにまつわる失敗体験など共感できることも多々ありました。

Netflixの番組では、プロデュースされた形なのかちょっと東洋的で神秘的な雰囲気ですが、本書のこんまりさんは本当におちゃめで可愛らしくて乙女な女性です。


なぜ、あなたの仕事は終わらないのか

Windows95などの開発に携わった著者の時間術の本。一気に読んでこの本の熱量を味わってほしいです。

「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」
この問いとしては、納期の前日に徹夜をするといった「ラストスパート」思考が原因とし、その解決方法として納期までの2割の時間で8割のタスクを終わらせるという「ロケットスタート」を著者は紹介しています。

『本書の時間術が、最も効力を発揮するのは、「嫌なことから逃れたいとき」』と書かれているように、このロケットスタート思考も「自分が熱狂できるものをやる」というのが本質となっているもよう。

著者がマイクロソフト時代に成功したのは、チームの全員が同じ方向を向き、それぞれが全力を尽くしていたからだと言います。私自身、会社の方向性を共有できずに悩んでいたので、この言葉は心に響きました。


「変化を嫌う人」を動かす

企画や提案を熱意を持って説得するも、上司をはじめとした関係者が認めてくれない「あるある」。その理由を4つの【抵抗】に分類し、実際の事例とともにその対策を紹介している本です。

メリットがわからないというよりは、「やり方・手順が分からないから動かない」という、別のところに根本的な理由があったりするもの。そんな時には視点をちょっとずらして考えてみるとよいそうです。

私自身にも購入しない・動きたくないという時はあるので、そんな時に発生している抵抗は何なのか、考える習慣を付けたいと思いました。


フィードバック入門

部下にフィードバックする際のマインドからプロセスまで。分かりやすく実践しやすそうでした。

印象的だったのは、【耳が痛いことを伝える覚悟を決める】ということ。下手あいまいに褒めたり、他人のせいにせず、客観的な事実をそのまま伝えることが大事。「~のように見える」と話すのが良いそうです。

現役マネジャーのフィードバック体験談コラムも面白いです。匿名ってあるけど「森岡さん」はあの森岡さんですよね笑


さて、そんな森岡さんの組織論の本をご紹介します。今年読んだビジネス本で一番良かった本です。

マーケティングとは「組織改革」である

組織で平社員として働く身として、この本はとても刺さりました。なぜかというと、私が働く組織もまさに本書に書かれていたような『呪い』にかかっていると感じていたからです。

この本ではそれを『人間の本質によるもの』と主張しており、このような現象が起きている時に「人間の自己保存本能」が働いているという認識をしなければなりません。そのうえで、いちスタッフとして上に提案する方法を本書では教えてくれます。

こういった組織論の本は、経営層やマネージャーの立場から書かれたものが多いと感じていましたが、両方の視点から書かれている本なのでとても有益な本でした。会社の課題図書にしてほしいです。


コンセプチュアル思考

これからの時代、どんな業界・職種においても仕事をするうえで必要となるマインドとスキルを身に着けるための方法がかかれている良書です。

体系化されて図も分かり易くまとめられていますが、ボリュームが大きくて一回読むだけでは自分のなかでうまく整理できなかったです。何回も読みたいものです。ワークもたくさん盛り込まれていますが自分ひとりで行うのはハードルが高いので、社内研修で扱うのが良いかも。


頭のいい人が話す前に考えていること

この本はSNSやニュースサイトでも話題になってましたね。わかりやすかったし、ハッと気付かされることも多々あって今年読んだビジネス書の中でも印象に残っている本です。

さて、私は自分が話すとき、「思考が浅そうな発言をしてしまう」「何も考えずに反射神経でしゃべってしまう」「言語化が苦手」ということに悩んでいました。

それに対する解決方法として、①客観視の思考②整理の思考③言語化の質を高めることを実践方法とともに紹介しているわけですが、それがいい感じに「明日から使えそう」なのが良かったです。


秒で伝わる文章術

ついついやってしまいがちな「ひとりよがり」文章ですが、「とにかく読み手ファースト!」ということを再確認しつつ、明日から使える系の文章術も盛り込まれていて良書だと思いました。定期的に読み返したいです。

UXライティングのことにも触れており、野菜ジュースのパックや任天堂の事例など興味深かったです。そしてやはり行き着くところはユーザーファーストですね。

自分を信頼できる知的な人物だと考えてもらいたいなら、簡単な言葉で間に合うときに難解な言葉を使ってはいけない

これを読んでドキッとしました。同じことを上記の『頭のいい人〜』でも述べられていましたが、横文字は安易に使わないよう気をつけたいものです。


問いかけの作法

ミーティングにおいて、メンバーの個性や長所を引き出しチームのポテンシャルを上げるための「問いかけ」の技術を【見立てる】【組み立てる】【投げかける】の3つのステップで提案している本です。

そもそもうちの会社のミーティングは「ファクトリー型」なので、まずそこからなのですが、、、、

私は今年キャリコンの国家資格を取得しまして、キャリコンの面談ではクライアントのこだわりを探ったり、内省を促せるようトレーニングしているので、本書で紹介されている技術が使えると思いました。


センスは知識からはじまる

「センスのよさ」とは、数値化できない事象の良し悪しを判断し、最適化する能力だと本書では定義されています。
判断するには知識が必要だし、最適化するには思い込みの枠を外し、アウトプットの精度を上げることが必要。

なるほど。「センスのなさ」に悩む私はやはり知識不足だったようです。まずは仕事の領域の雑誌で情報収集してみることにしました。
ロゴ作りも苦手だったけど、商品と書体の歴史的な知識も意識してみよう。


PIXAR

スティーブ・ジョブズのパートナーとしてピクサーを成功に導いた財務管理者が、当時の事を語るストーリー。

著者が経営の難しさに苦しんだり、困難をどう乗り越えるための戦略を立てるプロセスが細かく書かれているから勉強にもなるけど、ストーリー仕立てで著者の気持ちや葛藤も描かれてるせいか感情移入できてとても読みやすく、とにかくめちゃくちゃ面白かったです。

ディズニーとの再交渉に際しての社内の話し合いの場面と結論の着地のさせ方には痺れました。ジョブスとメリット・デメリットを書き出すプロセスは論理的で一流の仕事が垣間見れるのだけでもありがたいのに、結論は、、、やっぱり「気持ち」。もちろん感情論だけではない。一旦冷静になって色んな人と議論したうえでの判断は心を揺さぶるものがあります。エンドロールにスタッフの名前を載せるために全力を尽くす著者の姿とそのエンドロールを観るところはジーンときました。

トリオリズム

成田悠輔さんがこの本を紹介していたのがきっかけで読みました。恭子さんのセレブな生活や資産家との恋愛、性や恋愛など自身の価値観について赤裸々に語っている本です。

暇つぶしに電車の中で読んだら夢中になってしまい、電車の乗り換え中も読んでしまいました。(書籍の歩き読みは危険です)

恭子さんが恋愛について自由な価値観を持っていることは叶姉妹好きなら有名ですが、これはボーイフレンドに影響されたものだったようです。拒絶することなく受け入れ、それを自分も楽しむことで恭子さんの価値観はより自由になっていったということがわかりました。


陰翳礼讃

教養といえばコレ。と紹介してもらったので読んでみました。谷崎潤一郎の随筆です。日本的なデザインを考えるうえでの教材として国外でも読まれているそうです。

何が良いのか上手に言語化できないけど、「雰囲気の良い読み心地」といった感覚ですかね。旅先で一人静かに読みたいです。外国に行った時に読んで日本に思いを馳せるのも良いですね。書いてあることは「最近の日本の照明は明る過ぎ(・ε・`*)」っていう谷崎のボヤきなんですけど。


武士道

この本は日清・日露戦争中、日本の武士道精神を西洋に紹介することで、日本の国際的地位向上を図ることが狙いで、いわば「広報」的な目的を持って書かれた本です。

世界で日本といえば「サムライ」という言葉が出てきますが、この本によるものだったのですね。

なんならこの本によってルーズベルトが日本びいきになり、日露戦争の調停役になったというのだから胸熱。『武士道』の「その功績、三軍の将に匹敵する」と後書き解説にも書いてあります。そんな本をすっかり平和な時代の日本で読んでいる、というのも感慨深い。。。

切腹の様子を描写しているところをぜひ読んでみてください。「はわぁゎぁ〜(T ^ T)泣」となります。


ミカドの肖像

日本国の天皇(ミカド・プリンス)とは何か?ということを日本はもちろん海外からの視点でも少しづつ丁寧に、しつこくしつこく謎を解きほぐしていきます。世界一周して取材、スゴイ。

西武グループが皇族の土地を買い上げて建てた『プリンスホテル』の謎から堤康次郎の執念が明かされ、『ミカド』というゲームの謎はアメリカの「ミカド」という町からオペラ「ミカド」につながっていく。めちゃくちゃ面白いです。

私は日本人だから、この国の天皇とはどんな人物なのか?他の国からどう思われているのか?やっぱり興味があるんだなぁ。


この流れで読んだ本を2冊ご紹介します。

昭和天皇物語

『ミカドの肖像』で印象的だった昭和天皇の近代的価値観。受けてきた教育や皇后候補探しなどその背景を漫画でわかりやすく理解することができました。昭和天皇を取り巻く明治から大正、そして昭和への歴史的なながれも漫画だとわかりやすいです。そして感情移入しやすい... 

大正天皇をサポートしつつ、皇太子たちの嫁候補を選定する皇后節子の政治家メンズ顔負けの力強さ(恐さ)と、節子とはちがうしなやかな強さがある良子、会津魂が注入されている松平節子。漫画内で描かれる女性たちも魅力的に描かれていました。


李王家の縁談

梨本宮伊都子が娘たちの縁談に奔走する話です。史実に基づいた小説ですが、高貴な身分の人たちが大正から戦後の生活ぶりをかなりリアルに表現しているそうで、そういった描写もとても面白かったです。

さて、当時の身分の高い女性の仕事は「縁談をまとめること」。伊都子が娘方子の縁談だけでなく次女や親戚の縁談をまとめるという使命感で力をみなぎらせていきます。

「縁談をまとめる」能力ってかなりの調整力...その能力がある女性はかなり有能。伊都子が現代にいたらバリバリ企業で仕事していたのかもしれないなと思いながら読みました。

そして有能な「仲人おばさん」がほぼ消滅した現代。そりゃ結婚もできなくなるわ。


縁談といえば面白かったのがこちら。

細雪

蘆屋の旧家のお嬢様姉妹の日常をゆらゆらと描いた作品で、戦争などの情勢などもリアルなものになっているそう。華やかで贅沢もするけど、お父さんは亡くなっているので財産も限りあるし落ち目も感じ…。当時の暮らしぶりがリアルにえがかれていて興味深く読みました。

お見合いするにも当時はお互いの家柄をはじめ、世間の評判などあらゆるものを徹底的に調べていたようです。あとは姉妹間で結婚の順番を意識したり、本家・分家における立場の考え方など、「ここまでするんだ」と現代との違いを味わうのも楽しいです。今と違って情報量が少ないし、関心ごとも家族中心のことになるのかな。


人生は名言で豊かになる

名言というと昔の偉人や哲学者の言葉かと思いきや、そういう名言ももちろんありましたが、日本のドラマや映画・小説などからの名言が多くリアルタイムで聞いたりした言葉だったりするので、内容がすっと入ってきやすい本でした。引用されている本も読んでみたいです。

タイトルの通り、「名言」を知ることでその言葉の背景や想いを知ることができ、好奇心が刺激されてとても豊かな気持ちになれたと思います。


世界一わかりやすい俳句の授業

小林聡美さんのエッセイで俳句について興味を持ちました。この本めちゃくちゃ分かりやすい!俳句の基本がよく分かりました。俳句を詠むつもりはなくても基本的なことだけでも知っておいて損はないと思います。

私も俳号作りました⭐︎
翠夜見(すいよみ)
お酒と読書が好きなのですが、「酔読み」だとそのまんますぎるので、素敵っぽい漢字にしてみました。ちなみにChatGPTにヒントをもらいながら作りました。

苦手なコオロギを観察しながら「一物仕立て」の俳句を作り上げるのが興味深かったです。


机に向かってすぐに集中する技術

今年は『集中力をつける』という目標を掲げていたので、マインドフルネスやアスリートのトレーニングに関する本をたくさん読みました。そのなかで一番実用的でよかったのがこちら。

集中力をつけるトレーニングの紹介も多からず少なからずで、どれもそこまで難易度高くない。私はカードのトレーニングが一番やりやすかったです。

キンドルなのでダイヤモンドのカードはスクショして、机に向かって集中したいときに見るようにしました。

とりあえず「やりたくない」という気持ちは後回しにして、姿勢を正して深呼吸し、カードを見る!

心を整える。

「最近自分、ちゃんとできてないな〜」と思っている人におすすめです。

長谷部選手が周りの人たちに影響を受けながら自分をアップデートしていく過程が興味深かったです。失敗や葛藤、出来ないことを受け入れているのが成長の秘訣なのかな。

チームでは全体を俯瞰して見て、バランスを取るのがうまいし、海外のアスリートたちのようなハングリーさや頑固さ、「なめられてはいけない」という気の強さもある。

確かに組織のためにプレーしようという意識と、自分の良さを出したいという欲がぶつかって、 葛藤 が生まれることもある。けれど、「自分を殺すこと」と「自分を変えること」は違う

このマインドは見習いたいです。


縄文の生活誌

日本史の歴史の教科書で一番面白かったところが縄文・弥生時代。勉強した頃からだいぶ経ちましたが改めて縄文時代のロマンを味わいたくなり、この本を買いました。『暇と退屈の倫理学』で紹介されていた本です(遊動生活は充実していたという文脈で紹介)。

この本の特徴は、著者が想像した縄文人の生活がストーリーとして取り入れられていることですが、残念ながら後半部分ではほとんどストーリーが紹介されていなかった点が少し残念でした。

とはいえ学生の時に学んだ縄文史の常識とされていたことがアップデートされているたり、どんな暮らしで何を食べていたのか、貝塚に捨てられていたモノなど、ロマンを感じながら読みました。


自転しながら回転する

母からもらった山本文緒の『恋愛中毒』が衝撃的でどハマりしていた頃がありました。久々に山本文緒を読みましたが、亡くなってしまったのが本当に残念です。

さて、『恋愛中毒』などで私が衝撃を受けた【人の闇のネタバレ】、っていうんですかね、読み手が「えっこわ!」ってなる感じ。本書でもちょっとだけありましたよ…。

内容は本当にリアルで、私ならどうするだろう?と考えながら読みました。成り行きまかせで生きてきた都と、中卒だけど一緒にいると居心地が良い貫一。結婚したいかしたくないかわからない、という「あるある」がこれでもかと盛り込んであります。阿見アウトレットモールで働いているというのもこれまたリアル。

そよかが都に言った、「お洒落な人は狭量だ」という言葉。私も拘りがあるタイプの人間なので、狭量なんだろうなと思いました。お金や物に執着がないけど父親を世話したり災害ボランティアに行ける貫一の心の広さが羨ましく思います。

何かにこだわればこだわるほど、人は心が狭くなっていく。
幸せにこだわればこだわるほど、人は寛容さをなくしていく。
幸せになろうと思い詰めると、 ちょっとの不幸が許せなくなる。少しくらい不幸でいい。思い通りにはならないものよ。

都の自問自答が最後の最後に回収されていて、清々しいラストでした。


星を継ぐもの

ひたすら「ルナリアン」であるチャーリーの謎を解く(ときどきガメニアン)話で恋愛もサスペンス要素も一切ないのに、読ませてくる作品です。

なにしろ私にはチャーリーのルーツなんて、「でもま、地球人ではないっしょ」くらいで、情けないほど想像がつかないままズルズルと話に引き込まれていく感覚がありました。途中、手がかりになるような発見や新たな謎が出てくると、まるで宝箱を開けたみたいでうれしくなったものでした。もう一回じっくり読みたいな。

ハントがガニメテから木星をみた時のシーンが、情緒的で印象に残りました。

小説は想像力の賜物だとは思うけども、SFにおける想像の世界はまた別の次元だなと。「創造力」と呼ぶほうが合ってるな、なんて思いながら読み終えました。


サロメ

「未発表のサロメ」とは?「事件」とは?

ビアズリーの姉メイベルの弟に対する執着心に引き込まれ一気に読んでしまいました。相変わらず原田マハ作品はアーティストの背景などの理解が深まるので嬉しいです。

読み進めるにつれて、少しづつ糸が解きほぐれていく爽快感がありましたが、衝撃のラスト...なんか分かったような分からなかったようなモヤモヤな後味。嫌いじゃないけども。

ちょっと話が出来過ぎなところもありましたが、実在した人物の「もしこうだったら?」の想像の話って面白いなぁと思いました。

風神雷神

これもマハ。マハといえば西洋美術のイメージですが日本美術も味わえるなんて最高だな。

安土桃山時代の天正遣欧少年使節に派遣された原マルティノたちと俵屋宗達との出会いと、ローマへの旅の物語です。

とにかくスケールがでかい。ほとんど閉ざされた日本に、キリシタン文化が入ってきて、キリシタンになった少年たちはセミナリオに入ってポルトガル語などを吸収していく。
時を同じくして京都の扇屋の息子である俵屋宗達は、南蛮寺に魅了されその好奇心と天下人・織田信長の好奇心がマッチ。信長は宗達に「ローマ版『洛中洛外図屏風屏風』」を書かせるべくローマに宗達を派遣する。それが天正遣欧少年使節だったってわけ。

そんな史実はないからマハ流ファンタジーなのだけど、その想像力が楽しいよねぇ。

宗達が信長の前で『白像図』を描く様子や、セミナリオでマルティノ等に披露した鷺の絵。宗達が活き活きと筆を動かす様子は、文字を読みながら頭の中でもその様子の映像が流れるみたいでとても楽しい読書体験としておすすめです!


流浪の月

9歳の女の子を誘拐した大学生が逮捕された事件。
事実は真実と違う。女の子は大学生の家で伸び伸びと暮らしていたのに...
何を言っても誰も信じてくれない絶望的な状況は大人になっても続く。というお話。

最初から最後までずっと面白くて、あっという間に読み終えました。助走なし。最初からサビのJ-POPみたい。とにかく序盤からぐいぐい引き込んでくる本でした。

更紗がいくら「文はいい人だった」だと言っても、まわりは更紗が洗脳されてストックホルム症候群になったと思って取り合ってくれない。

なんで「いとこの孝弘にレイプされて逃げてきた」って言わないんだ!
それさえ言えればこんな辛い思いがここまで続くことはなかったかもしれない。そうモヤモヤしたけど、言えないんだよね。被害者の気持ちはそれ以外の人には分かり得ないものなんだと、物語なのに自分の無力さを感じてしまいました。

自由の象徴であるアイスクリームの装丁が素敵。


美しい日本語の風景

まだ知らない日本語がたくさんあると感じました。万葉集からの引用が多かったので万葉集にも興味が湧きました。

それにしても日本語も日本の風景も美しい。
古代の人は正確に自然を観察していて、それを知恵として対応していた。という著者の意見には本当に納得。

今度山登にいったら、山が重なる風景を観て「山がたたなづく」、なんて言ってみたいです。


なんで僕に聞くんだろう。

2017年に「余命3年」と宣告されたがん患者の著者によるお悩み相談。ちなみにまだご存命。著者のアドバイスを求めてものすごい数のお悩みが寄せられるそうで、「人の役に立つ」実感というのは余命を伸ばすくらいすごいんだなと思わずにはいられません。

相談者からのお悩みをいったん自分ごとにとらえて、そこから本質を炙り出しています。ユーモアを交えてかなりライトな口当たりですが、時に厳しくズバンと重い球を投げ返している。読みごたえはかなりあります。


オフ会したらとんでもないやつが来た話

ヤクザ❌オタク。お互いの専門用語が飛び交うのが面白かったです。ミキがあたりまえのようにヤクザ用語を使いこなすのもじわじわきます。

『腐女子のつづ井さん』みたいに、オタクたちが集まって、大好きなものについて楽しく語ったり、イベントに行ったりグッズを買い漁ったり。めちゃくちゃ良い趣味だなぁ。ヤクザも主婦も学生も関係ない、推しの愛に溢れた平和で秩序の保たれた世界なんだね『推し活』って

老後の趣味候補にしようと思います。


ながたんと青と

LINE漫画で無料で読んだら続きが気になってしまいました...

駆け落ちした妹の代わりに、15才年下の周と政略結婚したいち日。
ドライな関係の二人が料亭の立て直しを通して段々惹かれあっていく、というお話。

メインテーマのまわりに「女性の料理長」「イケメン兄弟」「おいしそうな創作料理」「かわいい着物・洋服」「養子の子がかわいい」「ウブな年下夫」などなど「『キュンきゅんの宝石箱』や〜(*゚ヮ゚*)」といった感じ。京都弁もいい。



おわりに

いや〜 読書ってほんとにイイものです。

来年も変わらず目標200冊を目指してコツコツ読んでいこうと思います。

そうだな…今年は古典文学やノンフィクションを読んで、その当時の様子に想いを馳せる読書体験が良かったな。そうだ来年もそうしよう。

みなさまも良い読書ライフを。こんど一緒にお酒でも飲みながら読んだ本について語りましょう。


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