キューバ捕手と合意?の話

11月10日の朝、日本ハムが今季まで中日でプレーしていたアリエル・マルティネスと契約する見込みだという情報がtwitter出回った。

キューバのメディア(の記者)が帰国するマルティネスの写真付きでツイートしているので、それなりに信用出来る情報だと思われる。

つい先日「FA宣言した伏見寅威の獲得調査」という話題が出たばかりだが、その時のnoteでこんな事を書いた。

> 基本的に一軍クラスの捕手が市場に出てくる事はごく稀な上に、助っ人で賄う事がほぼ不可能なので、可能性があるなら突っ込むべきだ。

“ほぼ”というワードを付けたのは、マルティネスの存在があったからだ。18年から日本でプレーしており、現在NPBで捕手を守れる唯一の助っ人候補だろう。

ただ、ここまで“捕手”と書いているものの、今季一軍では(途中出場を含めても)マスクをかぶっていない。スタメンで守備に就いたのはLFが58試合1Bが8試合である。

打力を活かすためのコンバートで中日は来季契約も提示していた様だが、本人が捕手に拘り退団となったらしい。確かに中日と言えば木下拓哉がいるので、ベンチよりも他のポジションで使いたくなるのは分かる。

今季の日本ハムを振り返ると、宇佐見真吾以外の捕手は打撃においても守備においても全くアピールが出来なかった。強いて挙げるなら梅林優貴の肩くらいだ。

その点、マルティネスは捕手として破格の打力を有している。札幌ドームと同様に投手有利なナゴヤドームを本拠地にして3シーズン通算169試合でOPS.767を記録。

今季も82試合でOPS.787を残しており、これは(打席数こそ違うが)主砲で同郷のダヤン・ビシエド(.792)とほぼ同じ水準である。

日本ハムでいえば彼よりOPSが高いのは松本剛(.836)と近藤健介(.879)だけで、次点の清宮幸太郎(.734)ですらマルティネスより.050も低い。

守備に関してはほぼ見ていないので言及は避けるが、多少のマイナス程度であれば打撃でそれを補って余りあるプラスを生んでくれるはずだ。


とはいえ、マルティネスが正捕手として起用される事は無いだろう。今季並みの活躍をしてくれれば宇佐見と(獲得出来れば)伏見で攻守共にプラスを出せる。

彼に求めたいのは3番手捕手の役割だ。3番手捕手は扱いが難しく、総力戦になっても有事の際に備えてベンチを温め続ける事が多い。

しかし、他のポジションやDHでスタメン起用出来る打力があるなら、普段はそちらで出場しつつ何かあれば捕手に回れば良い。

もちろん先発投手との相性によってスタメンマスクも有りだ、要は高橋信二のポジションである。問題は彼の捕手への拘りがどの程度なのかだろう。

今季1Bの最多スタメンは98試合の清宮だが、次に多いのは12試合の谷内亮太だ。確かに得点圏打率.480を記録するなど打撃でも予想外の活躍をしたが、OPS.655の32歳が1Bバックアップでは厳しい。

マルティネスと清宮で1B/DHをシェアしつつ捕手で時おり出場してくれれば痒いところに手が届く補強となりそうだ。

近藤の去就次第では1B/DHの大物新助っ人を獲得して、マルティネスはLF起用など柔軟に対応出来そうなのも嬉しい。

キューバ出身の選手は「本人や代理人ではなくキューバ政府との交渉が必要」「シーズン中に国際大会へ招集され離脱する事がある」「亡命」など、他の助っ人外国人にはないリスクもある。

ただ、彼の様な26歳の助っ人が50万ドル(7000万円程度)で獲得出来る事など本来はあり得ない。リスク覚悟で獲得する価値は充分あるので、交渉がうまく纏まる事を祈りたい。

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