FA補強の話

突然だが阪神の梅野隆太郎が欲しい。彼は今年の5月に初めて国内FA権を取得した。

スローイング・ブロッキング・フレーミング、どれを取っても評価が高く昨季まで3年連続GG賞に輝いている。現在のNPBで最高の守備型捕手と言っても差し支えないだろう。

後ろに逸らさず止めてくれる捕手が加入すれば、投手陣は落ちる変化球を信じて投げる事が出来る様になる。

一方で打撃も今季こそOPS.603と良くなかったが、過去3シーズンはOPS.724→.718→.723と安定。捕手としては申し分ない水準だ。

捕手は他のポジションと比べて息の長いポジションなので、30歳であれば少なくとも(FA権を再取得する)4年後までは正捕手格として稼働してくれるのではないか。


以前も書いたが基本的に、北海道という1年の半分が雪に覆われている土地に自ら望んで来るとは考えづらい。FA補強があるとすれば地元関連鶴岡慎也の様な出戻りくらいだろう。

梅野にしても、捕手はSSと並び最大のウィークポイントなので欲しいに決まっているが獲得出来る訳が無い…と、これまでは考えていた。

しかし、このオフに稲葉篤紀GMが就任した事で風向きが変わった。追加招集ではあるが東京五輪で監督と選手として共にプレーした間柄である。

更に山田勝彦コーチが招集された事も追い風になりそうだ。梅野が入団して以来、ずっと阪神でバッテリーコーチ(二軍の時期も有)としていた。

新しい環境に飛び込む時に担当の指導者が自分をよく知っている人物だというのは大きいだろう。

そして最後に、BIG BOSSことSHINJO監督の就任だ。彼らには同じ福岡県育ち(SHINJOの生まれは長崎県)という共通点がある。

それだけでは繋がりとして弱いが、改めて調べてみると梅野は那珂川市出身だ。SHINJOが育った福岡市南区と隣接している。

梅野は91年生まれなので04-06年当時は中学生だ。その時期に見ていた地元出身のスーパースターから口説かれれば悪い気はしないはずだ。


FA権を行使せずに残留となれば当然ノーチャンスだが、宣言さえしてくれれば可能性はあると思う。

重要な要素の1つである“地元”のソフトバンクが捕手に困っていない事も追い風だ。マネーゲームになればとても敵わない。

梅野の推定年俸は1.1億円で、FAが無ければおそらく現状維持か微減程度だろう。引き留めるなら「1.5億円+出来高×2-3年」あたりだろうか?阪神なら1.8億円でもおかしくなさそう。

となると、3年6億円が最低ラインになるのではないか。更にAランクなので補償は「8800万円」もしくは「5500万+選手」が必要となる。

正直なところリスクはかなり大きいが、それでも行くべきだと思う。さすがにそろそろ「若手の台頭に期待」などと悠長な事を言ってる場合ではないだろう。

ここ数年は清水優心石川亮宇佐見真吾らで回しているが、厳しい言い方をすれば投資に見当たったリターンは得られていない。

捕手は助っ人をあてがう事が出来ず、ルーキーが1年目から大車輪の活躍をするポジションでも無い。もし獲るチャンスがあるなら獲るべきだ。

おそらく3300万円差なら金銭ではなく人的補償になるだろうが、獲られるのはチームで「先日指名されたルーキーや助っ人を除いて29人目の選手」である。

誰が選ばれても残念ではあるが、NPB最高クラスの捕手である梅野と比較にはならないだろう。

レナート・ヌニエスが加入して競争が激しくなりそうな両コーナーに比べ、貧弱なセンターラインに実績のあるレギュラーが1人入ればかなり印象は変わる。

前回取りあげたホセ・マーモレホスは楽天が調査しているという報道があり不確定だが、仮に彼を逃しても他の助っ人野手は獲るだろう。

助っ人2人と捕手でレギュラー野手3人を加えられれば、来季Aクラス入りも充分見えてくる。前例の無い事ではあるが期待したい。

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