レナート・ヌニェスの話
多くの日本ハムファンが感傷に浸った本拠地最終戦から一夜明け、稲葉篤紀さんのGM就任が正式に発表された。
そして、タイミング的に新GMは全く関与していないだろうが、来季の新助っ人候補についても報道があった。
今季はDETとMILでプレーした(MILは傘下3A級)27歳のレナート・ヌニェスを調査しているとの事だ。
彼は16年にOAKでMLBデビューを果たし、18年にTEXを経て加入したBALでプチブレーク。しかし長くは続かず昨オフにリリースされ、前述の様に今季はDETで開幕を迎えていた。
とりあえずMLB公式サービスのFILM ROOMでハイライト動画を作ってみた、特にログインなどは不要なので見て貰いたい。
これは今季DETで放った4本のHRのうち3本だが、ご覧の通り典型的は右のプルヒッターだ。今季のPull%は51.4(通算で46.3)とかなり高い。
主にDHとして起用され19年には151試合で打率.244/31HR/OPS.771、(60試合制の)20年も52試合で.256/12/.816と引き続きバットでは結果を残していた。
放出されたのは実力不足ではなく、大腸癌で昨年全休したチームの顔トレイ・マンシーニがDHとして復帰するからだ。
今季は14試合で.189/4/.690と一気に数字を落としたが来日候補としては悪くないし、3A級では95試合で.268/21/.878と優秀な成績を残している。
今季は平均を大きく下回ったもののキャリアを通じて高いBarrel%を残しているので、アジャストさえ出来ればHR数はある程度計算出そうな打者だ。
Launch Angleも一貫して平均以上と角度を付けられるので、フェンスが高い札幌ドームでも問題無さそうなのも嬉しい。
三振が多く四球が少ない打撃スタイルは気になるが、3A級では平均程度の数字を残している。これは来日前のブランドン・レアードもそうだった。
セレクティブな打者がNPBで成功しているかと言えばそうでも無いのであまり気にする必要は無いだろう。ちなみに余談だが、ロニー・ロドリゲスはマイナーでも変わらず悪かった。
続いて守備だが結論から言おう、レギュラー3Bを任せるのは諦めた方が良い。これもダイジェスト動画を作ってみた。
そもそもMLBでは18年に540.2回を守って以降は19年に64.0回と大幅減、そして20年はわずか18.0回しか就いていない。
今季に至っては出場無しで、マイナーでも1試合のみ。「本職は3B」と紹介される事が多いが実際には18年で見切られている。
肩自体は強そうだがスローイングもキャッチングも不安だ、そもそも身のこなしにあまり守備のセンスを感じない。マイナーでGG賞に輝いた事もあるレアードとは違う。
調べてみると意外に守備指標は悪くないのだが、基本的には1B/DHの選手と見なして良いだろう。ちなみにLFも19年に1.0回就いたのが最後だ。
ただ、野村佑希も今季の打撃成績は(高卒3年目としては良いが)レギュラー3Bやクリーンアップとしては物足りない。チームが来季のAクラス入りを目指すなら尚更である。
このまま一軍で使い続けて順調に成長してくれるなら構わないが、一度立ち止まって鎌ヶ谷で鍛え直すプランも有り得ると思う。壊滅的なレベルでないなら3Bもオプションとして残しておきたいところだ。
日本ハムのチームHR数は現在75本でぶっちぎりのリーグワーストで、HR王の杉本裕太郎(32本)が加入したとしても5位の楽天(108本)に及ばない有様だった。
助っ人がNPBで活躍出来るかどうかはやってみなければ分からないが、彼は市場に出てくる候補の中では間違いなくトップクラスの打者と言えるだろう。
ヌニェスが期待通りの活躍を見せて大田泰示が復活してくれれば、とりあえず上位打線は形になる。野村を下位で楽に打たせる事が出来るのも嬉しい。
それに打線の軸がしっかり決まると案外、周りも乗せられて打ち始めたりするものだ。彼にはチームケミストリーが起こるキッカケになって貰いたい。
少なくとも閉幕(10/30)まで進展は無いだろうが、とりあえず今は交渉がスムーズに進む事を祈って待とう。
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