見出し画像

DevHRが、戦略によるチームの最大出力を考える。

この記事は、株式会社キャスターさん主催「採用Advent Calendar 2021」に当てた投稿で、私は6番目の投稿となります。
錚々たる採用のプロフェッショナルの顔ぶれで、私も皆さんの記事を読ませて頂くのがとても楽しみです...!

■今回の記事は、こんな方にオススメな内容です

●DevHRってどんなことしてるのか?を知りたい方
●エンジニア採用の戦略から実務への落とし込み方が分からない方
●現場エンジニアとの連携を含め、採用チームの体制構築をしたい方

■自己紹介

私は、READYFOR株式会社エンジニアリング本部でDevHR(Developer’s HR)をしております。

※今回、DevHRの定義に関しては、エンジニアリング本部のHRとして、採用のみならず組織開発を含めた人事業務・テックブランディングも横断的に担い、カルチャーを醸成・構築していくことを役割としています。

画像6


■DevHRとして、私が担う3つの役割とミッション

1.  プロダクト領域の採用(エンジニア採用チーム全体のマネジメント含む)
2.  Tech Branding

<ミッション>
エンジニアリング本部の組織成長の為、READYFORが世の中のエンジニアの憧れの場所になっているようにブランディングし、プロダクト開発の促進に繋がる採用に貢献すること。


3. エンジニアリング本部の組織開発を含めた人事業務

<ミッション>
組織状況把握と課題解決を推し進めることにより、エンジニアリング本部の組織成長に寄与すること。

ちなみに...「エンジニアリング本部の組織開発ってどんなことやってるの?」と良く聞かれるのですが、例をあげると以下のような取り組みをしています。

<取り組み例>

▼ TGIF

現在、Sqd体制という異なる職種のメンバーがワンチームとなって同じミッションを追う体制にしています。所属するSqd外のエンジニアメンバーとのコミュニケーションを深める目的で、話したいテーマに基づいたグループディスカッションを実施し、チーム全体のコミュニケーションを深めています。
※下記参照
https://tech.readyfor.jp/entry/2021/07/09/094249

▼メンバーとの1on1(with HR)
日頃、上長(評価者)との1on1は定期的に行っていますが、別途ヘルスチェック的に現在感じている懸念点やキャリアの話を、私が30分ヒアリングしています。
そこで大きな共通課題感がありそうな場合は、EM以上のレイヤーにフィードバックをし改善に務め、ボトムアップとトップダウンの間に立つような動きをして、PDCAを回していきます。

▼ READYFORヒストレア
社歴の古いエンジニアが「自分が入社して当初にどんな技術課題があって、それをどう乗り越えたか」を、お酒飲みながら皆で聞く任意イベントです。
テレフォンショッキング形式で、次回登壇者を指名して繋げていくシリーズです。これは、上記のエンジニアメンバーとの1on1で「こういう機会があったら良さそうですよね!」という提案から始まった取り組みで、エンジニアが主体となって開催しています。

▼ Ask me anything
CTO&VPoEに聞きたいことを、なんでも良いのでGoogleフォームにて回収し、毎月開催されるエンジニアリング本部会にて、CTOやVPoEから直接回答を話して頂くものです。

----質問例----
開発組織が拡大して、優先度判断・UX・モデリング・情報設計・その他様々な設計においてコミュニケーションがSqdの中に閉じてしまうことがあると感じますが、こういった課題感はあるでしょうか?
----------------
「聞くタイミング逃したけど、わざわざ時間とって聞くものでもなさそう。でもこれどうなってるの...?」といった疑問をラフに聞ける機会を作り、隙間に落ちた課題を可能な限り回収できるようにしています。

他にも、オンボーディングプログラム制度整理、評価制度の理解度を可視化や、毎月のオンライン飲み開催等、今期は主にコミュニケーション施策を中心に実施していますが、組織開発については、また別途どこかの機会でお話できたらと思っています!

■2021年のチャレンジと記事概要

去年の記事では、私がエンジニア採用担当にアサインされ、手探りの中苦戦しつつ身につけたTipsを書かせて頂きました。

今年は、エンジニアリング本部の組織開発業務に加え、エンジニア採用チームをまとめる立場となり、より現場エンジニアとのスクラム体制強化やチームとしての動き方を思考する中で、戦略によるチームの最大出力を考えた際に構築した体制とtipsを記載します。

下記図でいう、ピンク色全体の話になります。
※主な必要知識・スキルをマトリクスとしてまとめました。MECEにするのが難しく...今回粒度はざっくりです。

画像9


■Tips.1 採用戦略から実務への落とし込みフロー


みなさんは、人員計画からどうやって採用計画〜実務まで落とし込んでいますか? 特にエンジニア採用において戦略は要となりますが、思考作業もかなりパワーを使うと思います。

いきなり「スカウトでどのチャネルを使うか?」という各論の議論に入るのは本質的ではなく、まずは中長期目線での戦略から抽象→具体に施策を落とし込む必要があると思っています。

頭の整理も兼ねて、採用戦略を落とし込むフローをまとめてみました。

画像10

1-1 中長期の目標を決める

まず、事業計画からプロダクト計画、そのロードマップに紐づいたヘッドカウントといわれる人員計画が決定されると思います。
その計画を採用文脈で中長期で考えた時に、施策として何が必要かを整理します。

1-2 施策をプロジェクト単位で洗い出し、担当者を割り振る

上記の議論をもとに、人員計画〜採用計画〜施策割り振り〜実行まで落とし込んでいき、採用活動を行います。

<大まかな流れ / 進め方>
a)人員計画(ヘッドカウント)決定
b) 採用ポジション優先順位を確定
c) 優先度の高いポジションの採用ボトルネックになっている部分を洗い出し
d) ボトルネックに対する施策をブレスト
e) 施策の優先順位・実行者を決定し割り振る

eまで決まったら、次にチームにプロジェクト単位でのタスクを割り振っていきます。

<主に決める内容>
a) 実施予定月
b) プロジェクト分類
c) 優先度
d) 内容
e) プロジェクト終了条件
f) 予想される工数
g) 終了トリガー

最終的には、下記のようにシートでプロジェクトを管理しています。

画像9

1-3 〜プロジェクト具体事例〜 カジュアル面談の分析

例えば、カジュアル面談から正式選考のCVRが低い場合、プロジェクトの1つとして「カジュアル面談の分析」を行います。

プロジェクト名 : カジュアル面談の分析

▼目的

カジュアル面談を実施後、候補者の応募意思が獲得できていないという傾向が課題としてある為、要因がどこにあるのかを可視化させ、得られた内容を現場にもシェアし、正式応募意思獲得率の向上に繋げる。

▼分析内容
1. 候補者アンケートにて面談の満足度を回収、カジュアル面談担当者別に満足度の差異が発生していないか等を分析。

2.プロジェクト担当者をアサインして、面談のCVRを下記のように分析してから、分析結果を現場エンジニアにもシェアし、面談の重要性や他社と差別化を整理し、応募意思を獲得する為にはどうしたらよいのか一緒に考えてもらう。

画像9

各プロジェクトのPDCAをまわすことで、全体の採用活動の促進に繋がりますので、是非戦略的にアップデートしていきましょう!


■Tips.2  エンジニア採用チームの体制づくり

私は、エンジニアリング本部組織企画室でVPoE伊藤さんのもと、採用業務・組織開発等含む人事業務・技術広報を横断する立場にいます。
その中で、チームの出力を最大化させる為に、エンジニア採用チームを更に細分化させ、戦力を高めるべく体制を整理しました。

画像9

エンジニア採用チームの中で細分化した主なチームは以下です。
役割を明確にすることで、各プロジェクトも進行しやすくなりますので、ご参考まで...!

2-1 主なチーム構成

a)採用戦略・企画チーム

▼ミッション
エンジニア採用全体の戦略を考える。中長期の目標から要因計画を採用計画へと落とし込み、業務優先度を決定してプロジェクト/役割をメンバーに割り振る。また、現場エンジニアとリクルーターチームの間に立ちプロジェクトマネジメントする。

b)リクルーターチーム(母集団形成)

▼ミッション
採用戦略・企画チームでたてられた目標数値計画をもとに、注力媒体でのスカウト・自己応募による母集団形成を行う。現場エンジニアとの採用背景を細かくすり合わせ、スカウトや求人に反映し、ターゲットにリーチをして面談獲得をして採用に繋げる。

c) CX向上 (候補者対応) チーム

▼ミッション
CXを意識した候補者対応を行う。単にオペレーションを行うのではなく、スピード感はもちろんのこと、連絡メール1つ1つをカスタマイズしたプロフェッショナルな対応を目指す。

■Tips.3 現場とのスクラム体制強化

これまで、エンジニア採用担当としては私一人しかいませんでしたが、採用ポジションの難易度も高まり、より現場とのスクラム体制を構築していかないと採用活動自体が長期目線で持続可能ではないと思い、下記のような整理を改めてしました。

3-1. 意思決定者を明確にする

現場エンジニアと人事がMTGで議論をしている時に「結局、この部分の最終責任って誰が持つんだっけ?」というお見合い状態にならない為に、意思決定者を敢えてテキスト化して可視化させました。

正直かなり細かく言語化したので、全部覚える必要はないのですが、MTGで一度読み上げながら方向性の認識合わせをすることに価値はあると思います。

画像5


3-2. MTG帯を整理する

現在MTGは、下記のようにセットしています。

▼現場エンジニアとのMTG

画像10

a) CTO、VPoE、EM陣+HR(西和田)のMTG(1時間/週)

<概要>
●EM以上のレイヤー全員が参加するMTG
●毎週の採用進捗と相談事項を共有。アジェンダの中に、優先度の高い各ポジションの進捗報告をするものがあるのですが、ここは各ポジションの現場責任者であるエンジニアが自ら報告してもらう形にします。数値や現状課題を把握する重要性を認識してもらい、当事者意識を持ってもらう為です。
※MTG後半は人事関連の共有事項としています。

<主なアジェンダ>
●ポジション別進捗共有
(数値共有、現状課題、検討施策等)
●その他相談事項/共有事項

b) 採用優先度の高いポジションの現場責任者とのMTG(30分〜1時間)

<概要> 
●aの全体MTGだけでは話しきれない、細かい施策を更につめる。
●特に採用優先度の高いポジションのMTGでは時間を長めに(1時間前後)とり、進捗を確認しながら、何度も訴求整理をして情報アップデートしていきます。ファシリもアジェンダ作成も各ポジション責任者のエンジニアにお願いしています。前述した意思決定者というのが「自分であること」を認識してもらい、あくまでも人事はPM役に徹する立場というポジションでいる為です。

<主なアジェンダ>
●進捗(数値、有力候補者の状況確認、アプローチ方法)共有
●主な現状課題
●検討施策
●その他相談事項/共有事項
※スカウトのCVRに課題がある場合は、リクルーターチーム(母集団形成)にも入ってもらい、再度訴求点の整理やスカウト施策の相談も行います。

上記は現場エンジニアとのMTG体制ですが、エンジニア採用チームのMTGも戦略・企画チーム、リクルーター(母集団形成)チーム...と分けて目的別にMTGを行っています。

■まとめ

エンジニリング本部の組織開発を含めたHRというと、「開発経験のあるエンジニアの経歴を持っている方のほうが適任なのでは...?」という意見もあると思います。

そういう意味では、尚私はチャレンジングなミッションを担わせてもらっていると感じます。その中で、トップダウンとボトムアップの中間的立ち位置として、敢えてエンジニア経歴のない私がDevHRとして出せるValueを考え、またエンジニア採用チームにおいても、戦略部分を主に担う自分が「しっかり責任取れる施策決定をしているか。」は常に問い、プロジェクトを推進する理由をチーム全体に浸透させ、ミッション達成に繋げていきたいと思います。

画像9

ということで、私もまだまだDevHRとしての自分のValueの出し方は模索中です。

リクルーターチーム・エンジニア組織どちらの文脈においても、戦略と体制構築により、チームの出力を最大化させることにより、プロダクト価値を向上し事業貢献に繋げられるようにしたいと思っています。

明日の採用Advent Calendarは、ナイルの渡邊さんの登場です。お楽しみに!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?