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意識障害と人格変貌で散髪

[備忘録]22日目【散髪】

2009-03-30 18:52:37


事故からの記録

当時の私は、自宅のカレンダーとノートに事あるごとに記録をつけていた。両方とも捨てられずにいる。記録でもあり証拠でもあるからだ。そしてICレコーダーを常に持ち歩いていた。何を言われるかわからない恐怖があったからだ。

人格変貌

ノートを開けば父の記録がほとんどで、この日は「散髪」。
意識混濁状態で呂律がまわらない大声を上げる父。人格変貌が特に衝撃的でどれだけ傷ついたことかわからない。父は気にいらなければ暴言を吐いていた。「コロセ、コロセ、コロセ」と叫んでいた声が、今も脳裏に焼き付いている。主治医に対してもよくコロセと暴言を吐いていた。治せれないならコロセ!ヤブ!と侮辱するような暴言にハラハラさせられた。

そんな父を散髪に連れ出すなんで大冒険だった。10階から1階までの距離が果てしなく遠く怖く感じた。母と二人で父を車椅子に乗せた。父はエレベーターの中でも暴言を吐くため、乗り込んでくる人に終始気を遣う。院内の理容店だから、障害の患者も多少は遭遇しているだろうが、待つことができないため、また暴言を吐く。私は順番街の列に並び、母は父の気を紛らわすために車椅子でロータリーや小さな庭を廻って時間を潰した。

このときも、自分の思い通りの道をゆかないと父は母に罵声を浴びせていた。体が思うように動かないため、罵声は怒声とエスカレートしていく。どれだけ、なだめてもすかしても、大声は続く。周囲からは二度見三度見され、冷たい視線にさらされる。これも交通事故の二次被害だ。

交通事故の後遺障害でも、見知らぬ人々から見たら、人格変貌した父が父なのだ。頭のおかしい変な人が父なのだ。

そしてノートの次のページには、損保からの電話のやりとりが記録されていた。

加入損保の不適切な対応

この日の前日にかかってきたN火災の担当者からの電話のメモだ。

・加害者側の損保が事実をねじまげている感じがする。
・物損について⇒交渉のテーブルにものってこない。
・これだけ、入院治療費がかかっているので、お宅で払ってもらえませんかと加害者に言いに行け。

3番目の、「(支払いの請求書を持って)これだけ入院治療費がかかっているので、お宅払ってもらえませんかとあなたが、●●さん(加害者の名前)に言いに行って下さい」この時の担当者の声や口調はいまだにフラッシュバックを起こすたびに蘇る。なんで被害者がこんなに下手に出なくてはならないのか。それだけ父が加入していた損保が弱かったのだ。被害者に対してここまで自分で行動しろなんて行ってくる損保に呆れる。なんのための自動車保険か。

そして最後には必ず一刻も早く弁護士をと言う。だったらそちらが納得のいく弁護士を紹介せよと言いたかった。でも紛争処理センターを紹介するぐらいで具体的な弁護士サポートは受けられなかった。これも何かの圧力がかかっていたのかもしれない。