舞台『リア王』King LEAR    directed by Sean Holmes

シェイクスピア四大悲劇の一つ、リア王
けれど、リア王ってほんとに悲劇の人? 
悲劇に巻きこまれたわけでははい、傲慢な老いた為政者が、甘言も見ぬけず悲劇を招いた

悲劇の種を蒔いたのはリア王自身
老いがリア王を愚かにし、悲劇に導いたのか、それとも本来愚かで老いても熟成できないリア王が悲劇を引き寄せただけなのか。甘言にすがりつくのは老いたからなのか、それとも元々欺瞞に満ちたおだてに弱く本質をみぬけない人間なのか

ショーン・ホームズ演出の舞台は真っ白な壁に覆われて始まった
大事な話を始めようとするリア王、三人の娘たちは鮮やかなピンクのスーツを着ている、そんな場面から舞台は始まった
パイプ椅子にすわっている、そして重臣、家来たちも集まっている
彼らを前にして、自分に対する愛情、そのあらわしかたで与える領土を
決めるリア王、あまりに単純、愚かしい

そして分けられる領土は四半期の売り上げをプレゼンするように線引きされ決められた、プロジェクターで

その軽さ、嫌悪感を覚える

400年以上前の古の物語が今に生きる話しとして俄然緊迫感をもってせまる

やがてリアは財産(領土)しか頭にない二人の娘たちから
財産のない=価値のない人間として虐げられ、転落していく

演出では、蛍光灯がきれる時の音をたてるようすも物語、リアの転落劇の不穏な空気を語って印象的だった

過去の時代の話しと封じ込められないシェイクスピア劇のセリフのおもしろみ、悲しみ、おかしみ、滑稽さが
今につながり、生きづく物語がそこに力強く存在していた舞台だった

ショーンホームズ演出のリア王、見て良かった、おもしろかった

役者もそれぞれ持ち味が生かされていた


演出の妙☆☆☆☆

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