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第一志望に合格したことがないある若者の話

自分はある一定期間に目標に向かって勉強を続け、試験で結果を出し、合格を勝ち取るといった受験勉強で成功した試しがない。ここでいう、成功とは第一志望に合格することだ。

小中は公立に通い、高校進学でいよいよ受験勉強をしなくてはならなくなった。中学生の時の成績は、上の中くらいだ。中学校はいろんな成績の人がいるし、定期テストも暗記がメインで覚えることは努力でなんとかなったので地頭は良くなかったが、定期テストの成績は悪くはなかった。だから模試のような、今まで習ったことを総合して解くような問題は非常に苦手だったため賢くはない。そんな中、高校受験となれば定期的に模試はあるし、高校の入学試験の問題は暗記だけでなんとかなるものではない。それに、そもそもその当時は受験勉強においてどうやって勉強を進めたらいいのかまったく分かっていなかった。集団の塾に通っていたので、そこで問題を解いたり、分からないところは質問したり、毎日の課題をこなすことで勉強した気になっていたのだ。

当然、自分の弱点を理解し、そこを克服するための計画を立て、ひとつひとつ弱点を潰していかなければならなかったわけだが恐らく当時はその弱点さえも分かっていなかった。間違えた問題をチェックしておき、後で復習しろと塾の先生や親からも散々言われ嫌々ながらもやっていたがまったく身についていなかった。それでは学力も大して伸びるはずもなく、毎月の模試では気持ち程度成績が上がったくらいだ。結果、高校受験は第一志望だった公立高校には落ち、滑り止めで受けていた私立の高校に通うことになった。

第一志望の公立高校で結果発表を見に行って自分の番号がなかった時は本当に悲しかった。泣いたぐらいだった。恐らく、自分は受かるだろうとなんとなく思っていたからその気持ちとのギャップが大きかったのだ。

変わって、大学受験の時の話だ。この時も自分の弱点、足りない部分を見つけ、分析し、どう勉強を進めればいいかについてはうまくできていなかったと思う。結局、勉強の仕方については高校受験の時と大して変わっていなかった。しかし高校受験の時と圧倒的に違っていたのは勉強量だった。前述の通り、自分で目標に向かって何が必要か勉強の計画を立てることはできない、と分かっていたのでどこかのタイミングで塾に通いたいなぁとは思っていた。

そして高校2年生の冬に入塾した。その塾は映像授業だったので、行く時間を自由に決められて自分のペースに合わせて授業を受けることができた。基本ひとりなので誰にも干渉されずに勉強できたのが良かったのだと思う。大学受験の受験生としては当たり前なのかもしれないが、夏以降は毎日6~10時間以上は勉強していた。最初こそ辛かったものの秋、冬とそれくらい勉強するのが当たり前になってくると、学校がない日は朝から夕方まで塾の自習室で勉強し、家に帰って少し休憩し、後は寝るまで勉強する日々だった。

高校生の時も定期テストはそこそこできたが、模試になると頑張って偏差値50くらいがいつものことだった。大学受験も高校受験と同様飛躍的に成績が伸びるといったことはなく、少し偏差値が上がったり、また下がったり、その繰り返しだった。地頭も良くなく、極論全部覚えればなんとかなるだろうと思っていた私はセンター試験でも別にいつもの模試と同じくらいの結果で、ここで特に落ち込むことはなかった。「まぁこんなもんか」と。

センター試験のあとの大学ごとの入試でいくつかの大学を受け、最終的には行きたい学科のある私立大学に合格し、そこに入学することに決めた。塾に、そして高校、大学と私立の学校に通わせてもらっていることは両親に感謝しかない。そしてもちろん、第一志望の大学には落ちている。しかし、今回は高校受験と違うことがあった。たしかに、第一志望の大学に入学することを夢見て必死に勉強していたわけだが、高校受験のようにとても悲しい気持ちになることはなかった。目標としていた大学は自分のレベルには遠く及ばず、さすがに無理だろうな、と思っていたからだろう。

しかしここで考えてみることは、もし、目標をもっと低く設定していたらどうだっただろうか。目標が手に届きそうな高さだと、落ち込むことは少ないのかもしれない。でも、自分は大丈夫だ、と謎の自信から途中でアクセルを緩めてしまうことになってしまわないだろうか。

大学受験は自分にとって目標がかなり高かったがゆえに、常に「自分はまだまだだ。もっとやらなくちゃいけない。」と感じていて全力で走り抜けることができた。試験の成績で言えば大した成長はしていない。でも途中で投げ出すことなく愚直に勉強を続けていたからこそ、少なくとも自分には満足がいく結果になった。

元々過去の自分のうまくいかなかったことを引きずる性格ではないので、結局高校も大学も第一志望の学校ではないけれど、いい友達にも恵まれたし、毎日楽しく過ごしている。

目標の高さ1つで終わったあとの自分の気持ちが違った。目標は常に高く持とう。その大きな目標に向かって一歩一歩進めていけばいいのだ。



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