マガジンのカバー画像

とき子のインナートリップ ~ 直江幸法の瞑想体験 ~

12
この記事は私の母の瞑想体験です。全12話、2001年 1月公開です。彼女が見てきた景色は、私のそれともオーバーラップしています。けっして恵まれた境遇とは言えなかった彼女が、その現… もっと読む
運営しているクリエイター

#自分を信じて

9. Who am I … マーヤー

Who am I … マーヤー Who am I マーヤー 見る者であり、ある者  私はようやくあのパニック状態から脱しつつあった。私の内側は輝きつづけ、私はその輝きに吸い寄せられた。もう何もいらない、私はもうこれでいいんだ、これこそ私のすべて、この為に私は生きている。思うより先にそうであった。そして肉眼で見る外の景色は白黒の世界が展開していった。あれほどいとおしくわが身同様であった子供達が、夫が白黒であった。何もかもが白黒であった。現実と思っていたものがモノクロの幻であっ

8. クライシス … クンダリニー

クライシス … クンダリニー クンダリニー 私という枠のたががはずれる  この頃、私の瞑想タイムは朝九時からおよそ一時間、日によって多少前後する程度、更に時間に余裕があれば随時座るという形で進んでいた。その日もいつものように座り、そろそろ終わりにしようと思っていた矢先の出来事だった。尾低骨の辺りにしびれるような感覚を感じた。同じ姿勢で座っていたせいで痺れてしまったのかなと思ったが、その感覚は少しずつ上に上がってきた。まるで尺取虫が背骨をゆっくりと這い上がるように少しずつ少し

7. 回帰 … 光曼荼羅

回帰 … 光曼荼羅 光曼荼羅 起きあがる神人  時間がありさえすれば瞑想に没頭するという日々が続いていた。何をするより先にまず瞑想を行った。私の頭の中は瞑想と瞑想に関連する事柄で一杯だった。どのように進めていけば良いのか常に考え、あのようにしてみようこのようにしてみようと思案した。  私はまず、瞑想が順調に進むことを祈った。心の中から「私を導いて、導いて。」と自然に言葉があふれ出て私は泣いた。それは私にとって唯一の自分の中から溢れ出す真実の言葉だった。また、反復の作業の体

1. 混沌 … 泣きたい時は泣いてもいいよ

混沌 … 泣きたい時は泣いてもいいよ 泣きたい時は泣いてもいいよ でも自分を信じて、明日は必ず来る  20代は悲しみと共に幕を開けた。余りにも幼すぎた私が挫折感を味わうのは当然のなりゆきだったのだろう。若くして結婚した私は長男の出産後、ときを待たずして夫の心変わりを知った。傷は深く人間不信はその極みに達し長いこと立ちあがれないでいた。足元の大地が崩れ行く、白い風が体の中を駈け抜けて、もう戻れないという喪失感。夕暮れの闇に遠く小さな灯りが浮かぶとたまらずに一人泣いたものだ。そ