キーポイント
・全体労働者・獣医師共に年齢があがるほど時給が高い
・年齢が上昇するほどに男女差が広がり男性が高くなる
・30代以降で獣医師の時給は日本の平均を上回る
はじめに
獣医師の企業規模別の獣医師の実質時給は紹介しましたが、年齢階層別の実質時給をまとめましたので報告します。図表が多くなりますが、すべてしめしたいと思います。自分の同年代の獣医師がどのくらいの時給(ボーナス込み)で働いているかをチェックしてみてください。
2023年の年齢階層別全体労働者と獣医師の比較
労働者全体・獣医師ともに20歳から60歳まで時給が上昇する傾向があります。若い世代では男女の時給差は少ないですが、徐々に男女差が開いていくことも労働者全体・獣医師共に傾向がみられます。 20代では日本の平均と獣医師では時給の差はみられませんが、30代以降では獣医師の時給は上がっていくようです。 獣医師では複数の年齢階層で男性より女性の時給が高いことがあります。特に、44歳以下の上昇傾向は男女ともに類似しています。近年の獣医師は女性比率が高くなっていますので、この傾向は変化していくかもしれません。
20-24歳の獣医師の時給推移(10人以上事業者)
20から24歳の年齢階層では獣医師免許取得可能な最低年齢が24歳であることを考えると獣医師の初任給を示していると考えられます。男女差はなく、近年は微増傾向にあります。
25‐29歳の獣医師の時給推移(10人以上事業者)
25から29歳の年齢階層は獣医師として見習い・修行の時期に当たります。24歳と比較してもあまり時給が上昇する傾向はありません。また、2009年から近年までずっと横ばいが続いています。
30‐34歳の獣医師の時給推移(10人以上事業者)
30から34歳の獣医師はある程度仕事ができるようになる年齢かと思います。転職をする人も比較的多く、人生のステージとしては結婚・出産・子育てなどのイベントの時期かと思います。近年は特に時給が上昇傾向にあり、29歳以下と比較しても近年は上昇しています。2009年からの推移では近年で上昇がみられます。
35‐39歳の獣医師の時給推移(10人以上事業者)
35から39歳では中間管理職、中堅、独立などに当たる時期です。30から34歳から時給が大きく上がることはないですが、近年は男女差の縮小の傾向にあるかもしれません。2009年からの推移ではあまり変化がないようです。
40‐44歳の獣医師の時給推移(10人以上事業者)
40歳から44歳ではベテランの領域にあり、独立後バリバリと仕事をこなしている獣医も多いのではないでしょうか。35歳から39歳と比較しても大きく時給が増えているようです。近年は上昇傾向にあり、特に2023年では男性を女性が逆転しているようです。
45‐49歳の獣医師の時給推移(10人以上事業者)
45歳から49歳では、常に女性より男性の方が時給が高い傾向が続いているようです。44歳以下では男女ともに同じように上昇していましたが、この年代では男女差が顕著にみられます。
2009年からの推移では男性は横ばい、女性では低下傾向にあります。
50‐54歳の獣医師の時給推移(10人以上事業者)
50歳から55歳では、近年やや上昇傾向にあるかと思います。男女差も常に開いているようですが、近年は縮小傾向にあるかもしれません。
55‐59歳の獣医師の時給推移(10人以上事業者)
2023年度ではこの年代で時給が下がっていますが、数年単位でみると50から54歳からあまり変化がない様子です。近年は男性で時給が上昇傾向にあります。
60‐64歳の獣医師の時給推移(10人以上事業者)
60歳以上は定年後再就職の年齢です。独立している獣医師は変わらずに働いているかと思います。やはり時給はガクッと下がっています。長期的に時給の水準は変化していません。
65‐69歳の獣医師の時給推移(10人以上事業者)
65歳以上では女性獣医師で働き続ける人が少ないようで、2017年度以外でデータが出されていません。2009年から徐々に時給は上昇しているようです。個人病院の経営者の割合が多いためか、比較的時給が高いようです。
70歳以上の獣医師の時給推移(10人以上事業者)
70歳以上では男女ともにサンプル数が少ないようです。じきゅうの水準も低くなっていますが、やや推移としては徐々に上昇しているようです。
まとめ
自分と同年代の時給はどうでしたでしょうか。「(月の手取り+(ボーナス÷12))」÷労働時間、という計算で実質の時給を算出しています。自分の時給を計算してみてください。
獣医系大学は入るのが難しいうえに6年間の勉強が必要で、獣医師になるのが大変な割には初任給は同年代の人(就職後2-3年)と比べて高いわけではないことが示されています。しかし、一人前になる30歳以降では賃金の面での待遇は日本の平均よりも上昇していきます。
45歳以降で女性の時給が低いことも問題になります。特に今後女性獣医師の割合が増えることは明らかですので待遇改善の必要性・必然性を感じます。
今後も統計調査をもとにデータを示していきたいと思います。