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エイプリル
2021年8月20日 18:22
右にひねると瞬く間に温かい水が流れ出し、一瞬の間に身体を包みこんだ。耳元で鳴るザーーッという音ともにあの日の出来事がフラッシュバックする。赤ちゃんができたの。震えた声と膝の上でギュッと握られた小さな手、まだ5時だったのにも関わらず確かあの日は記録的な豪雨で外はすでに真っ暗になっていた。何日前のことだろうか、まるで映画のワンシーンかのように思い出せる。あの時も俺は菜奈の顔を見てい
2021年8月17日 19:04
冷たくなった左足を右の方の足でさする、外はもうすっかり暗くなっていた。店内は相変わらず人でごった返しており、遠い異国で流行ってる疫病のことなど嘘かのような賑わいだ。2時間前に頼んだアイスコーヒーも今じゃコーヒー風味の水となっていた。明るすぎる照明がデスクトップに反射する。この照明にも、効きすぎた冷房にも早苗はすでにうんざりしていた。隣の席では暇を持て余した中年女性達が、まるで映