音楽理論Ⅰ 〜音名・音階・階名〜
こんにちは。AprilAdmnという者です。音楽を作ったりゲームを作ったりしてました。今は小説を書いています。
気まぐれで、音楽理論について備忘録の意味も兼ねてここで解説していきたいと思います。今回のテーマは「音名・音階・階名」です。
§Ⅰ-1. 音、音名
まず、音とは何かについて解説していきます。音というものは、空気の粒が規則的に密集したり、まばらになったりしたものです。例えば、太鼓の音だったら、太鼓の膜が震えることによって、空気の粒が集まったり離れたりして、あなたの耳がそれを捉えて、音として認識されるという訳です。
そして、その密集したりまばらになったりする一秒あたりの回数を周波数(振動数)と言います。周波数が大きければ大きいほどその音は高い音です。その周波数が一秒に440だった時、その音をA4(一点イ)と呼びます(なお442などにする所もあります)。チューニングするための音叉がこの音です。
また、周波数が2倍、4倍、8倍、……であるとき、その音は同じ種類の音に聴こえます。例えば周波数880, 1760, 3520のような音は先程言ったA4の音と同じ種類の音に聴こえ、この音のことをまとめてA(イ)とよびます。ピアノの鍵盤でいうと下の図の赤字の位置にある鍵盤の音がそれです。
また、Aを基準にして、黒い鍵盤(黒鍵)も含め右に移動するごとに(このときの移動間隔を半音といいます)周波数が約1.06倍されます。このようにして、上図のように他のGとかD♭とかの音が定まっていきます。(D♭とC♯などは厳密には異なりますが、同じものとして扱ってあまり差し支えはありません)
ここでは書いていませんが、音名には和名と言って、Aがイ、Bがロ、Cがハ、……というようにいろは順で表記する方法もあります。(なお、♭を付けるときは先頭に変、♯のときは嬰をつけます。例えば、B♭は変ロといいます)
そして、2半音分のことを全音、3半音分のことを短三度、4半音分のことを長三度、5半音分のことを完全四度、6半音分のことを減五度(三全音)、7半音分のことを完全五度、8半音分のことを短六度、9半音分のことを長六度、10半音分のことを短七度、11半音分のことを長七度、12半音分のことをオクターブ(完全八度)といいます。ここらへんの用語は全音とオクターブ以外は出てくるたびに解説するので、今は全音とオクターブだけ覚えていて下さい。
【コラム: 平均律と純正律】
上で半音毎に周波数が約1.06倍されるというのがありましたが、実は音が綺麗に響く純正律という調律はその値が1.06周辺なのは変わりませんが、響きを良くするためにその比率が一定ではありません。これに対して、平均律という調律はその比率は一定(厳密に言うと2の12乗根倍)です。
§Ⅰ-2. 音階、階名
次は音階(スケール)について解説していきます。音階というのは規則的な音の並びのことを指します。色々なものがありますが、ここでは、かなりの曲で使われている長音階と短音階のみに絞って解説していきたいと思います。
まずは長音階(メジャースケール)から解説していきます。メジャースケールというのは、基準の音である主音から全音、全音、半音、全音、全音、全音、半音の間隔で音を並べた物です。例えば、Gを主音にしたト長調(Gメジャースケール)は、下のようになります。
尚、GメジャースケールのFの半音上の音はG♭ではなくF♯と表記されます。原則として、同じスケール内では同じ調号(♯や♭のこと)が使われ、スケール内で同じアルファベットは用いられません。そして、Cメジャースケールなんかは全て白い鍵盤(白鍵)で、調号はありません。
また、この長音階に関連する事柄として移動ド唱法というものがあり、基準となる音をドとし、長音階と同じく全音、全音、半音、全音、全音、全音、半音の間隔で、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ドとするものです。(実際には半音毎にも名前が付けられていて、♯は母音をi、♭は母音をeに変えて発音します)このド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ドは絶対的な音の高さを表すCやAなどといった音名とは区別されて、階名と呼ばれます。ただ、基準音をCと固定した固定ド唱法なるものがあって、日本、イタリア、フランスなどでは定着しています。なので、ここでは混乱を避ける為に、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ドは使いません。
次に、短音階(マイナースケール)について解説していこうと思います。
マイナースケールとは、基準の音である主音から全音、半音、全音、全音、半音、全音、全音の間隔で音を並べた物です。例えば、Gを主音にしたト短調(Gマイナースケール)は、下のようになります。
前にも記述した通り、GマイナースケールのA, Dの半音上の音は、A♯, D♯ではなく、B♭, E♭と表記されます。短調は、暗い響きがする音階で、暗いと感じるような曲は大抵このマイナースケールが使われています。
また、短音階や長音階のように全音五つと半音二つでオクターブ上に戻ってくる音階のことを全音階と言い、全音階上の主音をI, 二番目の音をⅡ, 三番目の音をⅢ, 四番目の音をⅣ,五番目の音をⅤ, 六番目の音をⅥ, 七番目の音をⅦとローマ数字で割り振った物を音度記号と言います。そして、例外も有りますが、曲の最後はIで終わることが多いです。これはなぜかというと、Iが音階の中で一番安定して聞こえるからです。
§Ⅰ-2♯ 和声的短音階・旋律的短音階
実は上で述べた短調は殆ど使われることがありません。では、何故使われることが少ないのでしょうか。これは、前に述べたように、Iが曲の最後で使われるのと関係しています。長音階ではVIIは導音と言って、Iが次に来ると音階が終わったような感じにする働きがあります。これは、長調のVIIがIの半音分低いために起こる現象です。しかし、短調のVIIはIと全音分差が開いてしまっています。この差を是正するためにVIIを半音上にしたものが和声的短音階(ハーモニックマイナースケール)です。しかし、これではVIIとVIで短三度(三半音)ずれてしまっています。これを更に是正するためにVIも半音上げたものが旋律的短音階(メロディックマイナースケール)です。
Gを主音にすると上のようになります。
【コラム: 移動ド唱法における短音階】
移動ド唱法を理解していただけた方へのコラムですので、読み飛ばして問題はございません。移動ドにおける短音階は、二つの派閥があり、それぞれLa-Based minorとDo-Based minorと呼ばれています。それぞれ、名前の通り音階の基準音をラ、ドとする物です。基準音をラとすると、ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ、ソとなって、基準音をドとすると、ド、レ、ミ♭、ファ、ソ、ラ♭、シ♭となります。どちらも利点があるのですが、少なくとも最初はLa-Based minorで考えるのが良いでしょう。調号が付かないので楽ですし、何より音楽理論を学ぶ際には混乱が起こりません。
§Ⅰ-3. 最後に&確認問題
これにて今回のテーマは終わりです。ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました。
実際に身についたかチェックする際に下の問題を使って見て下さい。答え合わせは次回やります。
問1. 周波数440の音を何というか。
問2. 問1の短三度(三半音分)上の音の周波数はどのくらいだと見積もれるか。十の位まで求めよ。
問3. 問1の1オクターブ下の音の周波数を答えよ。
問4. Dメジャースケール(ニ長調)の構成音を答えよ。
問5. Fメロディックマイナースケールの構成音を答えよ。
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