セールスマン・ブルース

 僕がギターを始めたのはティーンエイジの頃に姉の影響でナンバーガールを聴いて、向井さんのようにギターを弾きたいと思ったからなんですが、家にギターがあったことも幸運でした。長らく弾かれてなかったんですが、父が祖父にプレゼントとして貰ったギターだったんですよね。
僕がそれを弾きだしてリビングに置いてたりすると、父がギターを手にとって『禁じられた遊び』で有名な愛のロマンスを必ず弾いてたんですよね。
まあ、もちろん、暗いわけです。(いい曲なんですが。)
なので、母はいつもそれを聴いて「あんた、その曲、暗いからやめて。」
というところまでがセットでした。
 クラシックの名曲ですが、もう哀愁が半端無くて、あれは父なりのブルースだったんじゃないかと。(レパートリーが1曲しかなかった説もある。)
その頃、父は営業推進部だったので、セールスマンの魂をこめて弾いていたのかもしれない。それこそが、セールスマン・ブルース。

 「サトシって呼んでくれよな!」でおなじみのポケモンのサトシにいつも尊敬の念を抱いてしまいます。「~って呼んでほしい」とか、「ニックネームは~です」という類のものがすごく苦手で今でも全く出来ないんです。
ずっと、呼ばれているあだ名的なものはあるんですが、自分からは上記のように絶対に言えないんです。
大学に入った頃も、ネイティブの先生と話す授業では必ず、下の名前で呼ぶように設定しなければならなかったのですがそれも苦手でした。自分の名前を呼ばれるタイプじゃなかったのもあって違和感と苦手意識が強かったんです。

こういった、自己紹介苦手というのが、いろいろなところにも影響が出ていて、一番わかりやすいのがハッシュタグです。
ハッシュタグつけるのすごく苦手なんですよね。嫌というか、苦手意識がすごい。こういった媒体でなにを言ってるんだと思われるんですが毎回、かなり無理をしてつけています。恐らく、多くの人が苦悩せずしてると思うんですが、「うう…」とうずくまるような気持ちでつけています。だから、つけているだけでも僕なりにはがんばっているので、いいね!や好き!みたいなの押してほしい気持ちです。
 ハッシュタグ≒「自分(の記事)を営業する、紹介する」ということだと思うんですよね。それが苦手なので、自分がつくっているものも(音楽、写真、文章)多くの人に伝えられないんです。
珍しく今日は直接的な表現をしていますが年々、「ストレートに表現する」ということも難しくなってきている感じがしています。
メンタルが戦前の女学生に近いんですよね。僕を映画女優として使ってほしいくらい 「恥じらい」 を持ち続けています。

 母は「営業を推進ってなんなん。」と父に言っていたけれど、僕は父に僕の営業を推進してほしい。子から父へのブルース。届け。いや、届かないでくれ。恥ずかしいから。

おわり。


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