ブロッコリーとカタツムリの呪い

恋愛とはつまり呪いだよなぁ、と
つくづく思う。

マッチングアプリとは
しばらく距離を置いて過ごし、
気力がそれなりに復活してきたので
また再開したのが最近のこと。
ありがたいことになんか仕事が忙しすぎるので、
適度に適当にやれている。
いいなぁと思うコもいる。
また会いたいなぁと思うコもいる。
でも、私にかけられたブロッコリーの呪いが、
また私の足をすくませる。
また私を過去に引き戻す。

まだ寒かった3月頭、
君にまた会えると思っていたのに、
どうしてそれが叶わなかったのか、
今をもってしてもよくわからない。
君にもう会えないんだったら
アプリやってる意味なんてないと思ったし、
そもそもアプリをやる気力なんてものは
もう全く残っていなかった。
アプリを消して、
失ったエネルギーを取り戻すべく、
自分のためだけに生きた。
それでよかったと思う。
今こうしてまた元気になったから。
でも、君が私にかけたブロッコリーの呪いだけは、
いまだに私を苦しめていますよ。

"ブロッコリーにはマヨネーズをかけて食べる"
それが君のこだわりだった。
「私はタルタルソースかポン酢かな」と言うと、
「何それ!」と言ってケラケラ笑っていたね。
自分でも変わっているなとは思う。

別に今さら君に会ったって、仕方がない。
会えるとも思ってない。
というか、
急に音信不通にして消えるような君に、
会いたいとも思ってない。
でもさぁ、
スーパーでブロッコリーを見ると、
レストランでブロッコリーが出てくると、
どうしても思い出してしまう。
やめてほしい、ほんとに。
"次もまた同じことになるんじゃないか"
"この人もまた急に音信不通になるんじゃないか"
そんな思いが私の心を占領し、
いつの間にか私の目には涙が溜まる。
ブロッコリーを見てうるうるしている女なんて、
どう考えてもこの世界に私しかおらんだろ...。
何度でも言う、君は私に、
とんだ呪いをかけて消えてったな。

ここから先は、
私の強がりというか、野望というか、
そんな感じのことです。
私は君に会う前日にいつもパックをしていました。
私より年下の君は肌にハリがあって、
私も負けてらんないなと思っていたから。
ちょっといいパックをまとめ買いして、
1枚お裾分けしたのは、私なりの優しさです。
ずっと使ってみたくて、
やっと買ったカタツムリのパックだった。
君がそれを使ったのか捨てたのか、
その辺のことはわかりませんけど、
というかそんなことはもうどうでもいいけど、
カタツムリを見るたびに
私を思い出せばいいのになと。
いや、ちがうな。
私のことは思い出さなくていいです。
私の優しさだけを思い出して。優しさだけを。

もうすぐ梅雨。
私が彼にかけたカタツムリの呪いが、
彼に優しさというものを教えますように。
もう二度と誰にも、
私にしたことと同じことはするな。

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