「金沢らしさ」を楽しむ宿
石川県金沢市東山。観光名所でもある『ひがし茶屋街』のすぐそばに、ひっそりと佇むホテルがあります。
2021年5月にオープンしたばかりのこのホテル。
伝統工芸がたっぷり施され、客室は全てデザインが違うといったこだわりの詰まったホテルです。
入口の扉をくぐると、まずは金箔を施した壁一面の組子細工がお出迎えしてくれます。国内生産量の98%を占めるといわれる金沢金箔。手作業に手作業を重ねたであろうこの組子細工は圧巻で、入口からそのこだわりを感じることができました。
わくわくしながらお部屋へ向かうと、冷蔵庫には和菓子が。加賀棒茶と共に上品な上生菓子をいただき、ほっとひといき。
今回私が泊まったのはツインベッドのとあるお部屋。備え付けのドレッサーと椅子には、加賀友禅の絵柄がデザインされていました。
部屋のなかをチェックしようと、脱衣所の扉を開けてみる。びっくりしたのは、洗面台の鏡が美しい組子で囲まれていたことでした。
扉を挟んで向かい側の壁にはちょうど姿見の鏡が設置されており、現代アートのような写真を撮ることもできました。まるで「KAMU kanazawa」で公開されている、レアンドロ・エルリッヒのアート作品《INFINITE STAIRCASE》を見ているよう。
さらに、和紙のようなグレーの壁紙も、温かみがあり上品で、わたしの心をくすぐりました。
そして、私が特に心を惹かれたのは洗面台。なんと、洗面台のボウル部分には信楽焼の器が嵌め込まれていたのです…!
こういった細部のアイテムも各お部屋で違うのだろうと思うと、他の客室も覗いてみたくなってしまいました。
さて、気になるお部屋の雰囲気はこんな感じ。
壁の組子部分は明るさが調節でき、照明のひとつとなっていました。
朝にはまた少し違った雰囲気のお部屋を味わうこともできますよ。
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学生時代、ホテル代は旅の予算のなかでもなるべく削りたいところのひとつでしかありませんでした。社会人になって、少し背伸びをして憧れのホテルに宿泊してからというもの、わたしはそれまでとは違った旅の楽しみ方を知りました。
「ホテルを利用する」ということ自体を楽しむようになったのはそれからもう少し経ってから。
旅先だけではなくて、非日常的な空間を楽しむためにホテルに泊まったり、カフェやレストランを含め、ちょっとしたご褒美として憧れのホテルを利用したり。今ではそんな風に、ホテルの利用が休日の過ごし方の選択肢に組み込まれるようになりました。(お財布との兼ね合いもあるので、それほど頻繁には行けないのだけど…。)
素敵な空間で、有意義な時間を過ごすこと。そんなひとときは間違いなく、私の人生を豊かにしてくれるもののひとつとなっています。
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