(雑文)アメリカの良心
これも2006年頃の文章です。
9・11同時多発テロに関連してアメリカ人の道徳観と彼らがイス
ラム諸国を嫌悪しているならば何故なのか?を考察したものです。
もちろん現在もここらへんの状況が変わっているのではないわけで、
少し文章を追加して掲載。
アメリカの良心 ------------------------------------
写真は同時多発テロのNYです。(ウイキメディアコモンズより)
今回はアメリカ人と宗教の話。
(この文章で「アメリカ人」とひとくくりにしちゃってますが、
キリスト教信者を想定しています。アメリカにはもちろんイスラム
教や他宗教の方もいらっしゃいますが……主流ではない。)
みなさんは不思議に思った事がないでしょうか?
アメリカの裁判で真実を話す宣誓をする時に聖書に手をあてているん
ですね。仏教徒はどうするんでしょうね。
(お経とか用意してるんですかね?)
さて、なんで論理で戦いを挑む法廷の場に聖書を持ち込むのか?
(ちなみに裁判とは裁判官(アメリカでは陪審員かな?)を「説得す
る」作業の事をさすそうです。)
これはそもそも一体どういうことなのでしょうか??
-------------------------------------------
日本人はよく欧米なんて言い方をしてアメリカとヨーロッパを一緒に
しますが・・アメリカもヨーロッパから見たら、なかなか異質な国ら
しい。
以前、日本に来たアメリカの教師が言ったそうな。
「聖書の時間がないのにどうやって道徳教育するんだ?」
拙者が聞いたところ彼らの道徳教育はマジで「聖書の時間」らしい。
つまり日本と違い自分にイヤな事は他人にもしてはいけません・・
とか社会性を教えるわけじゃないようなんです。宗教を通して……聖書の教えに背くからダメと教える。つまり、彼らの良心とは宗教によって立脚しているのです。したがって、裁判の時まで聖書に宣誓するというわけ。
拙者が考えるに……
つまり神を信じないのは、極論すれば良心がないも同じ事のようなの
です。
アメリカにメイフラワー号に乗ってきた清教徒達はキリスト教の中で
もかなりストイック(かつ過激)な一派だったようです。
当然、彼らの道徳教育は聖書が中心であり、それが脈々と現代まで受
け継がれて来た・・ということなのでしょう。
しかし、それが彼らの精神や行動にも大きな影響を及ぼしているよう
なのです。
例えばサルの研究(本田勝一いうところのサル学)は日本の研究がト
ップクラスなのですが、サルの群れを観察するのに、サルにあだ名を
つけます。
また、サルが楽しそうだ・・のように擬人化した表現を記録に使いま
す。
ところが、アメリカの学者はそれを否定する。動物を擬人化するのな
んてとんでもない。魂があるのは人間だけだ……というのです。
もっとも、その点に関しては最近のアメリカ人もだいぶ柔軟になって
きたようですが・・。ニューズウイーク日本版に載っていたけれど
「ペットは飼い主がいなくても天国にいけるか?」というアンケート
でかなりの割合の人(具体的には忘れた(笑)半分近かったような)
が いける と答えてました。
しかし、こんなアンケートとる事自体がアメリカならではなのですが
……。日本じゃこんなアンケート意味ないでしょ?
そういえば、アメリカ人の1/3は進化論を信じていない。かつ学校で
教えないという話もあります。理由は聖書の教えに反するからです。
-------------------------------------------
……で、同時多発テロ。
拙者の解釈では
アメリカ人にとってはキリスト教でないイスラム圏の人々は道徳基準の
異なるエイリアンなのです。ゆえに 文明の衝突 みたいな大げさな表
現をしてイスラム教諸国との関係を大問題のように扱うのです。
とにかくイスラムがアメリカにとって最も遠い国々・・であることは間
違いないと思います。
ブッシュがイランやイラクを単純に目の敵にするのは、(石油利権うん
ぬんよりも)やはりここがポイントなのではないでしょうか?
-------------------------------------------
宗教問題って根が深く、米国の国際政治にも大きな影響を与えているの
に、日本人はそれを理解(認識)していません。日本の外交オンチはこ
んなところにも原因があるのではないでしょうか?
(了)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?