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涼しい夏の日

走り出す鼓動を感じる。
子どもたちが後ろから駆けてきて、水しぶきをあげ、笑っていた。
青の洞窟グロットの日常。
ジリジリと焼ける様なサイパンの夏は、向けられるカメラに目を開けるのがやっとなほど日差しが強い。
拙い英語の私と、流暢な英語の友人。
マップを手にした涼み客に、それまで仏頂面していたドライバーの顔がミラー越しにフッとほころんだ。後ろを振り向き、
「連れていきたい場所があるんだ」と。
プルメリアの赤いワンピースにビーサンを脱ぎ捨て、焼けた素肌を晒す。
2mある崖から次々こどもが飛び込み、蒼い光の海へと吸い込まれていく。
「おーい、早くおいで」
見下ろせば、濡れた髪の友人がわたしの名前を呼んでいる。
こどもはわたしをすり抜け飛んでいく。
助走をつけて飛び込むんだ。
ドライバーの笑顔が背中を押した。
一瞬宙に浮き、空と海の碧に落ちていく。
いつのまにかわたしたちは手を取り何度も飛んだ。今日という日を焼き付けながら。

#旅する日本語
#涼み客

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