「人のセックスを笑うな」を観て

以前、大麦こむぎさんやぺちこさんがレビューを書いていた映画「人のセックスを笑うな」を観ました。
感想はひとこと、とても素敵な映画でした。タイトルのインパクトの大きさで、気になってはいたものの、なかなか観れなかった映画だっただけに、観終わると良い意味で裏切られたような、この映画と出会えてよかった!という気持ちになりました。
おすすめしてくれてありがとうございました。

大麦こむぎさんのレビュー
そして、大麦こむぎさんのレビューの中にぺちこさんのレビューがあります。


おふたりとも映画の紹介がとてもうまいです。
今回映画を観ようと思ったきっかけの大麦こむぎさんのレビューからは、いつも作品やアーティストへの愛情が伝わってきます。

ここからは私の感想です。

ストーリーはとても穏やかに進行していって、ある大学生達のThe日常という感じです。その中によくある、恋の三角関係と人間模様。

朝方、ユリが不機嫌な様子で靴を投げ捨て坂道を下ってくるシーン(犬さえユリを相手にせず、目の前を横切っていく)から始まります。
わたしはこの始まり方が本当にいいなと思いました。映画を観る前にすでに物語が始まっていて、観る人に想像を膨らませる余地を与えてくれる。
そしてユリが裸足で走って暗いトンネルに消えていく後ろ姿が印象的でした。

初めてユリが“みるめ”に出会うシーン。
ユリちゃんはトラックを追いかけて、乗せてもらえるようお願いする。もうトラックには3人乗っていて、「荷台なら空いてるよ」ということで、ユリちゃんひとり荷台で運ばれていくのかと思えば、みるめ自ら荷台に移り、ユリちゃんと2人で運ばれていくシーンがのどかでとても可愛い。そして、みるめの優しさも伝わってきます。

この映画の登場人物たちは、みんな愛くるしい。
それは人間のクスッとしてしまう行動や仕草、あるあると共感してしまうズボラさ、良い加減な力の抜け方を、良い具合に一人一人醸し出しているからだと思う。
20代前半のときにこの映画を観たらきっとユリちゃんは憧れの女性かもしれないが、30代に自分が突入した今、ユリちゃんサイドにちゃくちゃくと近づいているがゆえ、ユリちゃんはとても自然体だけど、その中に頑張りたい部分やちゃんと自分と向き合わないといけない部分があって、たまに強がったり、向き合おうと旅に出るんだけど、結局怖いから旦那さんを道連れにしたり、灯油も1人で入れられなかったり。 要するにユリちゃんは人に甘えて生きてきた部分があって、だけど今、何かを打破したい暗いトンネルの中なのかもしれない。

みるめは、ユリちゃんの電話に出たくても、出れないように電話を縛って、自分から連絡を取らないようにと必死で我慢してたり、だけど本当は会いたくてたまらなくなって、結局会いにいったりする。自由奔放なユリに振り回されつつもユリが忘れられず学校へも行かなくなってしまったり、酔っ払ったり、とても恋心に素直なみるめに共感してしまった。

何より、みるめに片思い中のえんちゃん。
みるめに想いも告げられなければ触れることも出来ず、ただユリちゃんとみるめの様子を見るだけで切ない。鬱屈とした思いを抱えつつ、やっぱり好きな人の元気ない姿に納得できず、みるめに喝を入れる。こちらもえんちゃんを頑張れと応援せざるを得ない。

きっとユリちゃんが登場しなかったら、えんちゃんとみるめが上手くいってたか、みるめがいなかったらユリちゃんは不倫をせずにすんだかといえば、きっとそうでもない気もする。

えんちゃんに片思いしてる堂本も、ひとしきり恋の行く末を見守って、最後の最後になってやっとえんちゃんに本性を出していける。というより、仲良し3人組の中で、片思いしてる人が相方に夢中なんて、とても辛いだろう。

大好きな冒頭のシーンの次に好きな、最期のハート形のライターに火がつくシーン。
もう、ライターの火がつかない。
それは、みるめとユリちゃんの恋が終わったんだろうなと見せかけて、実はまた火がつくシーンだが、ここも好きだ。
物語の続きも感じさせられる。

永作博美さんも、蒼井優さんも大好きなので、この2人のそれぞれ違う女性の可愛らしさが見れたことも、この映画の見どころでした。

全体的にポップで軽快な雰囲気も楽しめました。

物語の中で、ラジオから聴こえてくる曲
https://youtu.be/9PSPTnbWBWI
こちらもとてもよかったです。
ユリちゃんが自転車を漕ぎながら口ずさむシーン、何気なく流れている音楽は、心地よい映画の日常に誘い出してくれます。

#映画

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