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21歳のヨーロッパひとり旅14_(1989年の夏 45日間)

●バイクでバチカン回り
(1989.7.25)
 運良くユースホステルに3連泊予約 できたので、昨夜はユースホステルに泊まった。
 昨日の午後は、インフォメーションに一緒に並んでいて同じく3連泊することになった香港人二人、スペイン人2人の計5人で、暗くなるまでコロッセオ、フォロロマーノあたりを歩きまくった。
 みんなで食べた街角のはかり売りのピッツァ(エビがいっぱい乗っていて生地が薄い)もとても美味しかった。夜は皆でユースホステル内のバーに行く。

 今日のことを書く。午前中、メトロでチネチッタに行ったが、当然なかには入れず外から見ただけだった。
 その後、バチカン市国に行くと、「ローマはビジネスで何度も来ているからよく知っている」となぜかフランス人のおじさんがついてきて、無料でガイドしてくれた。
 職業が建築家ということで、サンピエトロ寺院内の建築様式をやたら詳しく説明していたような気がする。
 「バイクを1日レンタルしているから眺めのいいところに連れてってあげましょう」と、バイクで高台に連れて行ってくれた。風を切るバイクは気持ち良かった。バチカンだけでも見所を歩いて回ると1日かかるらしいが、バイクで回ると早い。思わぬガイド兼運転手に会えてよかった。
 「日本人はヨーロッパに来ると、スリやひったくりが多いと警戒してしまう。確かにジプシーの子供達とかには注意しなきゃいけないけど、他のヨーロッパの人たちは親切ないい人たちだから、過剰に警戒してはいけないよ」と、そのおじさんは何度も言った。思い出にと、バチカンの絵葉書とキーホルダーもくれた。おじさん、どうもありがとうございました。

 バチカンからテルミニ駅に戻り、シチリア島行き列車の予約をするために並んでいると、日本人の同い年くらいの女の子が列車予約のことを聞いてきた。彼女も15日間の一人旅をしているところで、今日ローマに着いたばかりというので、二人で近くの骸骨寺へ行くことにした。 
 ひんやりとした教会の内部にその部屋はあった。5つの部屋はどれも人骨で壁や天井を飾り付けてあり、約4000人もの骨がたったこれだけのスペースに収まっていることを思うと、敬虔な気持ちというより虚しさを覚えた。
 一緒に行ったその女の子は教会をメインにして歩いていると言う。「教会内のキリスト像をよく見ると、行く先々でキリストの殺され方や杭の打たれ方、血の流れている箇所が少しずつ違っているよ」と言った。そういう視点で宗教画を見ていくのも興味深いものがあるかもしれない。
(続く)

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