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乃木坂46 35thシングル選抜メンバー選定の狙い

2024年2月18日深夜の「乃木坂工事中」で発表された35thシングルについて、選抜メンバー選定の狙いを考察する

選抜メンバー概要

2024年5月での卒業を予定している山下美月が参加するラストシングルとして、山下を中心に3期生11人全員が選抜メンバーとなり、4期生が4人、5期生が5人の合計20人で表題曲のレコーディングに参加する

前回と比較して、3期生は吉田、佐藤楓、阪口、伊藤、中村がアンダー→選抜となり、4期生は筒井、柴田、黒見が選抜→アンダーに、5期生は菅原、冨里が選抜→アンダーとなった。

選抜メンバー選定のオモテの狙い

かつて深川、橋本、西野、白石、飛鳥と続いてきた「卒業シングル」の系譜に初めて3期生が加わるにあたって、同期の皆で送り出す形を取ることで特別感を演出すると同時に、これまで選抜経験のなかった吉田を選抜メンバーに起用することで、グループを支えてきた労を報いる、というのが素直な解釈である

2020年発売の25thシングル「しあわせの保護色」で当時残っていた1期生11人全員を選抜に起用した歴史と、今後3期生も順次卒業が予想されることも踏まえて、ある程度3期生の人数が揃っているうちに「3期生全員選抜」をやっておきたかった、というのもあるだろう。

ウラの狙い

私は、ここにはもうひとつの狙いがあるとみる。それは、中長期的に選抜メンバーの顔ぶれを入れ替えるにあたって、何人かのメンバーをアンダーに落とす口実がほしかった、ということである。

乃木坂46の4期生と5期生は、「選抜に選ばれたメンバーが次のシングルで誰かと入れ替わりにアンダーになることはなく、同期の選抜メンバーが純粋に増えていく」という時期を経験してきた。4期生については2023年の32ndシングルで林が選抜→アンダーに行き、清宮が休養から復帰してアンダーになるまで、選抜経験者が一つの例外を除いてアンダーに行くことはなかった(※1)。5期生についても、今回の35thシングルまで、一つの例外を除いて選抜経験者がアンダーに行くことはなかった(※2)。

※1 筒井が2019年の24th「夜明けまで強がらなくてもいい」で選抜メンバーとして活動したあとに25th「しあわせの保護色」で選抜入りしなかった。ただしその時期はアンダー曲、アンダーライブもなく、アンダーとしての活動はなかった。更にいうと4期生がアンダー曲に合流したのは2021年の28th収録曲「マシンガンレイン」からであった。

※2 中西が2022年の29th「Actually…」で特例的に選抜メンバーとして活動したあと、しばらく5期生を選抜メンバーに選ばない時期が続き、2023年の32ndで5期生が選抜とアンダーに分かれるようになったタイミングで中西はアンダーメンバーとして活動するようになった。

もし今回「3期生全員選抜」をしなかった場合、焦点は中西、小川を選抜にするか、休養明けの金川は選抜メンバーとして復帰させるか、そして代わりに誰をアンダーに行かせるか、となり、アンダーに行かせる候補としては筒井、柴田、黒見、菅原、冨里(今回アンダーに行った5人)が検討対象になったはずである。筒井、柴田、菅原は選抜回数は多いものの人気は低下気味、黒見と冨里は人気は上昇傾向ではあるがまだ選抜回数も浅く、アンダーに戻しやすい、という状況がある。

4期生と5期生の人数バランスも考慮の材料になり、5期生の選抜メンバーを増やしてその分4期生の選抜メンバーを減らすとメンバーのモチベーションに影響を与えることもあるだろう。

アイドルも人気商売である以上、人気の浮き沈みは当然あるが、乃木坂46の選抜メンバー選定においては、単純な人気順だけではなく、「芸能界での存在感」や、あるいは「選抜常連としての”格”」のようなものも重視する傾向がある、と思っている。

選抜常連をアンダーにするには大きな覚悟が必要。そして「◯◯の代わりにアンダーに行った」という状況が可視化されるとメンバーやファンへの精神的負荷が大きくなる。いったん緩衝材を入れるために「3期生全員選抜という特殊事情の影響でアンダーになった」という言い訳をできるようにした、という側面もあるのではないか。

例えば、柴田を例にとると、「金川、中西、小川と比べられた結果アンダーに行った」という状況を突きつけられるよりは「4期生の4番手までに入ってなかったからアンダーに行った」というほうが諦めも付きやすいのではないかと思う。もし仮に今後、金川、中西、小川が選抜に入って柴田がアンダーのままということがあったとしたら結局は同じことなのだが、①同期内の序列の勝負、②選抜候補者との勝負、という2つの結果が一度にこないほうがショックが少ない、ということはあるだろう

そして2025年以降は6期生の加入も予定されており、採用したメンバーによっては更に選抜メンバー選びに頭を悩ませることも予想される(といいつつ、2期生みたいに選抜常連になるのは2人ぐらいにとどまっちゃうかもしれないが)。

来年も見据えて選抜常連(オタク用語でいうところの「聖域」)は少なめにしたかったのかなー、と想像している。

山下美月卒業コンサートのときに、最新選抜に3期生全員いれておけば、ちょい古めの表題曲とかは3期生中心で選抜フォーメーション組める、という利点もありますね!