マイナー作曲家の楽譜をどこで入手するか

皆さまこんにちは。今回は、知名度・演奏頻度が低い曲の楽譜を手に入れる方法を紹介します。
筆者が知っている方法を、便利な点、不便な点あわせて書いているので、参考になれば嬉しいです。
ちなみにこの記事は、筆者がピアノ曲の楽譜を探す際の方法を書いており、他の楽器や声楽をされている方も基本的に使えると思いますが、古楽器をされている方などには当てはまらない内容もあると思うのでご了承下さい。
また、他に便利な方法をご存じの方も当然いらっしゃるでしょうから、良い方法をコメントなどでご紹介いただければ、筆者が試して追記していきたいと思います。

【実物を見て入手する方法】
・実店舗で購入する
楽譜に限らず、ものを買う時に一番確実な方法ですよね。現物を見てその場で手に入れられる・それまで知らなかったものに出会えるのは一番のメリットだといえます。
ただマイナーな作曲家の楽譜や、演奏頻度の少ない楽器・編成の楽譜(例えばパイプオルガンの楽譜や室内楽の楽譜など)を扱っている店舗は東京や大阪など大都市圏に限られています。筆者は都内在住ですが、地方出身の名残なのかマイナーな曲の楽譜を店で買う習慣は未だにありません。笑
それほどマイナーでないピアノソロの楽譜か、室内楽の楽譜を銀座のヤマハで買うことが多いです。

・図書館や、博物館の資料室で入手する
これも施設にアクセスできるかどうかで利便性が大きく変わってきます。欧米の図書館ではデジタルアーカイブでデータを閲覧できる場合がありますが(詳しくはこの後解説します)、日本では施設を訪れないと資料を見られない場合が多いです。
国内で楽譜を収蔵している施設としては、国会図書館、大学図書館、楽器博物館の資料室などが挙げられます。
総合大学でも音楽にまつわる講義を行っている所では、大学図書館で楽譜を持っている場合があります。筆者は音大出身ではありませんが、学生時代大学図書館にあったグラズノフの楽譜などを閲覧していました。

・人からもらう
筆者には今のところこのような伝手はありませんが、もし機会があれば楽譜のフリマとか開いてみましょうか。需要あるか分かりませんが。


【ネットから入手する方法】
・imslpでダウンロードする
今更説明するまでもないですが、著作権が切れた楽譜を無料でダウンロードできる便利サイトです。バロック音楽などで20世紀的な解釈(強弱・フレージングなど)の楽譜があったりしますが、ご自身で資料批判した上で使いましょう。

・海外のオンラインショップから購入する
筆者は著作権保護期間中のマイナー作曲家の楽譜を、この方法で入手する場合が多いです。使っているサイトはprestomusic(https://www.prestomusic.com/)とsheetmusicplus(https://www.sheetmusicplus.com/)の二つです。
これらのサイトを何年も利用していますが、楽譜が届かなかったことは1回しかないので、基本的に安全性の高い手段だといえます。落丁が届いた経験もありません。楽譜の印刷が綺麗でない場合がありますが、海外の楽譜ならある程度仕方ないでしょう。
prestomusicは現時点では紙の楽譜のみの取り扱いですが、sheetmusicplusの楽譜は紙のものとデータのものがあり、最近はデータの割合が増えている印象があります。
紙の楽譜は国際郵便で送ってもらい、データの場合は購入ページもしくは注文確定メールのリンクから、データをダウンロードします。
紙の楽譜を購入してから届くまでの期間は、郵送方法によりますがおおむね2〜5週間です。ただ昨今のコロナ禍やウクライナ情勢の影響で、予定より配送が遅れたことがありました(大幅に遅れる場合はメールで連絡が来ます)。
国際郵便なので送料はかかるものの、日本の楽器店に取り寄せてもらうよりは安く買えるはずです。
(prestomusicの送料は、https://www.prestomusic.com/delivery に記載があります。sheetmusicplusの送料は楽譜をカートに入れると自動計算されるとのことでした。)
これらのオンラインショップの不便な点を挙げるとすれば、決済方法がクレジットカーかPaypalで、現金決済に対応していないところでしょうか。

・作曲家のホームページから買う
上記二つのサイトから入手できない場合に筆者が使う方法です。作曲家の名前や曲名で検索すると、作曲家のホームページにヒットしてそこから楽譜が買える場合があります。存命の作曲家や、より知名度の低い作曲家の楽譜がこの方法で売られている印象を受けます。
筆者はポルトガルの作曲家であるA.フラゴーソや、ギリシャの作曲家S. Deligiannopoulosのピアノ曲を手に入れました。
※フラゴーソの楽譜販売ページ:http://www.antoniofragoso.com/web2/en/music-scores-sale-and-download/
※ Deligiannopoulosの楽譜販売ページ:https://sdeligiannopoulos.musicaneo.com/sheetmusic/
 どちらの楽譜もデータをダウンロードする形式です。こちらの決済方法はクレジットカードとPaypalで、フラゴーソの楽譜販売ページではデビットカードも使えると書かれていました。

・図書館・文書館のデジタルアーカイブから閲覧
欧米の図書館や文書館では、資料の画像をアーカイブとして公開している場合があり、そこから作曲家の自筆譜などを見ることができます。自筆譜そのものを見たい場合や、出版 されていない曲の楽譜を見たい場合に有効な方法です。
筆者はポルトガルの作曲家であるA.J.フェルナンデスのピアノ曲の楽譜を、ポルトガル国立図書館のウェブサイトから掘り出しました。(https://purl.pt/31340
話が横道に逸れますが、ポルトガルの国立図書館のウェブサイトは見やすいですが、フランスの国立図書館のウェブサイトは極めて見にくいので、当館のアプリである”Gallica”をお勧めします。詳しくは、筆者が以前書いていた別のブログで紹介しているのでそちらをご覧ください。
http://jinbungakuinsei.livedoor.blog/archives/18341856.html

・サブスク
“Scribd“という、サブスクに登録すれば楽譜を見放題のウェブサイト・アプリがあり、無料体験期間だけ筆者も使ってみました。ちなみにこのアプリは本やオーディオブックがメインのようです。
ここに載っている楽譜はダウンロードも可能と書かれているものの、筆者が使おうとした頃(2022年5月)の時点でダウンロードの仕方が非常にわかりにくかったので使うのを諦めました。その時の画面のスクショなどが残っておらず説明がしづらいですが、色々なアプリのダウンロード画面を勧められて、アプリを開いても楽譜が見られなかった記憶があります。筆者が機械音痴なだけかもしれませんが。
調べてみると料金を払わなくても楽譜をダウンロードできる、といった情報も載っていますが…現時点でこのサービスにリトライする予定はありません。


以上、筆者が現時点で知る限りの楽譜入手方法を書いてみました。
これくらいは常識だと思われている方もいるでしょうが、それなりの数の楽譜は上記の方法でカバーできているので、何かしら有益な内容になっていればいいなと思います。
次回もお楽しみに。

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