「ニッチなクラシック音楽」にハマったきっかけ

皆さまこんにちは。
今までの記事では筆者が好きなイギリスのクラシック音楽を紹介してきましたが、今回は私がこのように人と違う、ニッチな楽曲を好むようになった背景を書こうと思います。
本ブログの中の人が自身について発信する機会は稀ですが、どんな人が風変わりなクラシック音楽マニアになるか、一例として参考になればと思い(なるのか?)投稿することにしました。


①小学3〜4年:「邦人作品縛り」の発表会
私は5歳頃〜小2まで自宅で母からピアノを教わっており、小3から地元の教室に通い始めました。
その教室の発表会では毎年テーマが決まっており、全ての生徒がそれに沿った選曲をする、という習慣がありました。良心的な年は全員1曲はショパンの曲を弾く、とかだったようですが、私が出た回(当時小4)は全員邦人作品を弾くことになっていました。
先生が高齢だったため生徒の人数は私含め9人しかおらず、4人は高校生、最年少が私でした。出演者が少ないので持ち時間も長く、高校生の生徒は多分1人2〜30分弾いていた気がします。私が弾いたのは湯山昭の小品たち(お菓子の世界ではありません!)、先輩の生徒さんが弾いていたのは、宍戸睦郎の「ソナータ」や、有馬礼子の「失われたものへの三章」などでした。

こんな環境だったため、同年代の子供が弾く曲を知る機会がさほどないまま、大人が弾くような長くて玄人好みの曲ばかり聴いて育ちました。私自身もそうした楽曲を面白いと思って聴いていたようで、先生に感心されたのを覚えています。


②小学5年〜高校:周りと同じ曲を弾くのに疑問を抱く
小学5年から通い始めた教室はそれなりに大規模で、発表会を3日連続でやっていたような所でした。通っている生徒の大半はコンクールを受けるため、コンクール前になるとレッスン室から課題曲ばかりが聴こえてきました。
そこで周りに染まれなかったのが私です。もともと他の人と同じことをするのが嫌いなため、他の人と同じ曲を練習するのも当然嫌でした。更に反抗期真っ盛りで、子供として扱われることや子供向けのものに全面的に拒否反応を示していたので、小学生のコンクール課題曲のような、いわゆる子供が弾く曲も片っ端から毛嫌いしていたのです。
当時の私はテクニシャンとは言い難く、技術的にはさほど難しくなくて内容が大人びた曲ばかりを勝手に選んでレッスンに持っていっていました。小学6年で弾いたモーツァルトのソナタK.333やショパンのノクターンOp.27-2、中学1年で弾いたモーツァルトのK.576はその典型例です。当時の先生方が私の選曲をどう思っていたかは分かりませんが、小学生でそんな曲を弾くのはけしからんなどと言わずに育てて下さったのには本当に感謝しています。
今ほど自由にネットが使えない時代だったので、マイナー作曲家を漁ることはなかったですし、その術も知りませんでした。

中学高校とピアノを続けていると、「ベートーヴェンのソナタを弾きなさい。リストの練習曲を弾きなさい」といったご意見も強くなってきます。音大受験を考えたこともあったので、それらを練習したこともありますが、元々好き勝手な曲ばかり弾いていたのでまあ上手くいかず…。今となっては、ベートーヴェンやリストの音楽的価値・教育的価値をある程度分かるつもりでいますが、10代の私の好みには全く合っていませんでした。
「自分のピアノがここまで下手なはずはない。もっと弾ける曲があるだろう」といったことを考え、高校時代の私は夜中に居間でパソコンを開きYouTubeで曲を漁りはじめます。未だに殆ど弾いたことがないのは不思議ですが、その頃のお気に入りはスペインもので、アルベニスやグラナドスをよく聴いていました。


③大学:パイプオルガンから、曲を探す楽しさを再認識する
大学時代はピアノに加えて、キャンパス内にあるパイプオルガンも弾いており、パイプオルガンのコンサートにも足繁く通いました。首都圏で開催されるパイプオルガンのコンサートは、曲目の受けを考えてなのかバッハが演奏される率が圧倒的に高い気がしますが、私が大学時代を過ごした札幌での選曲はもっと自由でした。特に、札幌コンサートホールキタラには専属オルガニストがおり、ヨーロッパから若手のオルガニストが1年毎に来て、さまざまな時代・地域のパイプオルガン曲を演奏していたので、非常に新鮮で興味深かったです。
また元々パイプオルガン曲に詳しい訳ではなかったので、練習する曲を考える段階から曲探しに精を出すことになります。「曲を探す」という行為を次第にピアノにも適用するようになり、大学時代の最後あたりからダマーズの楽譜を買ったりしていました。


これまでの出来事をとりとめなく書きましたが、周囲の方が私の選曲や、私が他の人と違う曲を弾きたがる姿勢を否定しなかったこと・私の選曲を喜んでくれる人が少なからずいたことで、楽しく音楽を続けてこれたのだと思っています。今は私の子供時代とは比べ物にならないほど、ニッチな作曲家やその楽曲に関する情報や音源が溢れていますし、中の人が皆様の好きな曲探しの手助けの一つになれば幸いです。

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