見出し画像

君たちはどう生きるか(感想)

※ネタバレ含みます。

2023年7月14日(金)レイトショーで観てきた。
ニュースを見る習慣がすっかり無くなってしまった私の時事情報源は主にTwitterなので(それもどうなのか)知ったのは本当に数日前。事前告知一切無しとのことだったので、あの時呟いてくれたフォロワーさんに感謝したい。
ありがとうございます。
ちょうどオンラインチケット予約可能日で、近隣の映画館をチェックするとほぼほぼ満員に埋まっていた。

事前告知無しでこれはすごすぎるぞ宮崎駿氏…!

一人で観る時はもっぱらレイトショー派なので、その日はネタバレを避けるべく、なるべくTwitterを見ないようにした(とはいえ、WEBオンリーを二日後に控えているのに夜映画はなかなかの奇行)
期待に胸を膨らませ、いざ行かん!!と意気込み自転車を漕いだ。

映画は20時過ぎからの上映。終わるのは23時過ぎ。
客層は様々でおじさんからカップル、一人で来てる人もちらほらと。

ジブリファンかと言われたらファンというには本物のジブリ(宮崎駿作品)ファンに失礼だなと思いつつ、それなりに、かなり好きな方だ。
映画館で観たのは『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『風立ちぬ』だけだけど、どれも強烈に記憶に残っている。
一番好きなのは『もののけ姫』で当時父親が全作ジブリビデオを買ってきてくれて、その中でも『もののけ姫』は学校が終わると急いで帰って毎日毎日親に正気を疑われるくらい繰り返し観ていた。どの作品に入っていたかは忘れたが、特典映像で入っていた激辛カレーを食べるアニメがもう死ぬほど好きで私も好きだと言う方がいたらぜひ握手したい。死ぬほど観たといいながら一番好きなのは『紅の豚』であとはすべて同率2位。変動あり。

宮崎駿を見ると、昔、宮崎駿のドキュメンタリーかなんかで、(風立ちぬの制作時のやつだったかな?)作画修正しているシーンで駿が「も~めんどくさい。めんどくさい。本当にめんどくさいよ。アニメって本当面倒くさい。しんどいよ」と何回も溢していたのがなんかめちゃくちゃ面白いかったのを思い出す。
あー良かった!こんな天才でも作業はめんどくさいんだ!と安堵する。

映画が始まった。
空襲の音が鳴り響き、恐らく館内にいた全員が(戦争もの?)と頭がいっぱいになったと思う。主人公はどうやらこの美少年。あまりにも美少年。アア~ジブリのこの美男子大好き…ッと震える。あ、お父さんキムタクだ。ハウル~!相変わらず良い声。
駿がある年からアニメ声優の起用をあまりしなくなり(リアルティが無くて嫌だとか)、今回もほぼ俳優が声を当てるのだろうと思ってはいたが、俳優が当てると本当に誰か分からない。唯一キムタクはピンときたのでキムタクすごい。(みなさんは聞いただけで分かるのかな?)

燃える建物。慌てふためく群衆。走る主人公。焦る呼吸。舞い上がる火の粉。
ああああ~~~~・・・・・これです。これが観たかった。これぞジブリ。
開始数秒で泣きそうになり。もうこれだけで満足していた。

ここでタイトルを思い出す。戦争もの?ということは「君たちは今の幸せにあぐらかいちゃってるんじゃないの?」っていう説教ものか?と思ったらどうやらそうでもない。そもそもタイトルに起用された『君たちはどう生きるか』を読んでいないのでなんともいえない。

 幼いながらに母を亡くし、東京から離れ「母によく似た人が新しい母だった」(セリフはうろ)という言葉にビビる。
姉(妻)を事故とはいえ失ったからとはいえ、その妹と結婚する・・・のか。名家同士、時代背景もあり、仕方ないか。こういう当時の奇妙な"当たり前"を解説もせず、あえて触れもせず、ぶっこんでくるのシビアコです。

わーーーージブリのババアがたくさんだ。ジブリのババアしわしわで憎たらしくて可愛くて大好き。駿に「俺はこういうババアが大好きなんだ」と言われた気分になる。俺も大好きだッ♪

美しいアオサギが一変して、禍々しく、口の中から人間の歯が覗き、人の言葉を操っていた。こう思うと、駿は口の中の描写もめちゃくちゃ好きだよなと思う。大抵の場合(というか私の場合)、絵を描く時、歯をあえて一本ずつ線を入れないし、構内のしわはあえて描かない。多くの場合、デフォルメされがちだ。なんていったって生々しすぎる。
アオサギの口から人間のような歯が見えた時、その生々しさにゾクゾクした。

主人公、眞人(マヒト)は礼儀正しい名家の跡継ぎ。品が良さそうな男児かと思えば、いじめられたらやり返すし、なんなら自らコトを大きくしようと自傷行為もするしで、なかなかにイカレてて今日何度目か分からない(アア~~~ずぎでず~~)と心の中で鳴いた。

このまま日常+弱ファンタジー(風立ちぬ系)でいくのか、どっぷりファンタジーでいくのかドキドキしていたら後者のストーリー展開だった。
観客置き去りのまま、今までのジブリの世界がごちゃまぜになったような世界が引きずり込まれる。
モネの睡蓮のような美しい川?湖?を眞人が渡るのが印象的だった。そう思うと私が知らないだけで名画のオマージュめちゃくちゃやってたんかな。

終盤であんなに焦がれていた母親よりも新しい義母に執着してる眞人。
「夏子さん・・・夏子母さん!!」って泣きながら叫ぶのが母を失ったことを理解し、受け止めて、新しい母と生きていこうと決心してる感じで非常に良かった。

石を持ち帰るシーン。今回、石が物語の中ですごく重要な存在になっているっぽい。異世界の"もの"を持ち帰るシーンは千と千尋の神隠しを思い出させた。

最後のEDが青くて、それはたぶんスタジオジブリの青で、ああ・・・駿のジブリが終わってしまったんだなとまた少し泣いた。
頭の中が「???」で埋め尽くされている中、米津氏の『地球儀』が流れ、キィキィと地球儀を回す音?が曲中に入っていてすごく良い。
見終わった感想は「訳分かんねえけどすんげえもんみた」だった。

意味が分からな過ぎたせいか、終劇後の館内はザワザワしていた。
中には外人がカタコトで「コレガ10年ブリノ新作?ワケワカンナインダケド!!ガッカリ!!」とブチ切れてこの映画が如何につまらないかを連れと力説していた。が、中には何も言わずに「俺は分かってるよ、駿」顔をしている人の二つに分かれていた。

私としてはジブリ作品をリアルタイムで映画館で観れた。その事実だけで満足。ありがとう宮崎駿。ありがとうジブリスタッフ。

人の考察を読むのもまた楽しい。し、訳分からないけど、だからこそ考察を読む気にさせてくれる作品が大好きだ。


せっかくなのでアオサギを検索して模写した(笑)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?