SSTIsのVCMとLZD(コクランレビュー)
感染症領域のメモ。
当院では一部の診療科がすぐにLZDをオーダーします。
いやまあ、用量ほぼ固定で楽なのかもしれませんが・・・。
以前メーカーさんが持ってきて、積んでいた文献です。
《題名》
Linezolid versus vancomycin for skin and soft tissue infections.
《文献情報》
Cochrane Database Syst Rev. 2016 Jan 7;(1):CD008056.
《PMID》
26758498
論文のPICO
《Patient》
皮膚軟部組織感染症の患者が
《Intervention》
Linezolidを使用する場合、
《Comparison》
Vancomycinを使用する場合に比べて
《Outcome》
臨床的治癒、微生物学的治癒が改善するか。
死亡が減るか。
《結果》
臨床的治癒(favour linezolid)
RR:1.09
95%CI:1.03-1.16
I^2=13%
微生物学的治癒(favour linezolid)
RR:1.08
95%CI:1.01-1.16
I^2=42%
死亡(favour vancomycin)
RR:1.44
95%CI:0.75-2.80
I^2=0.0%
・RCTを集めている
・複数のデータベースを検索している。
・未発表データも探している。
・2人のreviewer。
・意見が割れた場合は3人目のreviewerを含めて合意を得る。
・最終的に9個のRCTが解析対象
・risk of biasはかなり真っ赤か。High risk of biasが多い。隠蔽化、盲検化、追跡(ITT解析など)は特に酷い。
《雑感》
死亡は変わらず、それ以外は微妙にLinezolidで良さげな結果?forest plot毎にLZDとVCMが入れ替わることがあるのは何でなんでしょうか・・・。
いずれにしてもRisk of Biasが真っ赤か。結果としては鵜呑みにできないと考えていいのではないか、と思いますが。
某社さんはこの文献で資料を作成して「入院期間が短くなります」と紹介頂きましたが、そもそも入院期間のforest plotはなく文章のみ・・・。一応コストも下がる?様子。
抗菌薬適正使用の取り組みが活発になる昨今、コクランレビューとはいえこの内容を資料にしてプロモーションするっていうのはどうなんでしょうか。VCMをきちっとTDMできてる施設ではどのような結果になるのか気になります。
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